彼方からの旅人~明け方のアイソン彗星


※画像クリックで拡大します。

太陽系のはるか彼方から、ひとり静かに旅を続けるアイソン彗星。
今朝、明け方の空に、水星、土星とともにスリーショットの記録写真を撮れました。
明日以降は、さらに太陽に近づくため、徐々に明るくなりつつある低い空に見つけ出すのは時間との闘いになりそうです。
※アイソン彗星が太陽に最接近する11月29日(金)とその前後数日間(11月25日から12月2日ごろまで)は、彗星が太陽のすぐ近くにあり、誤って太陽を見てしまうおそれがありますので、観察は控えてください。

12月上旬に再び明け方の東天で観察できるようになり、このころが一番の見ごろになります。
肉眼でも確認できるほど明るいその姿を見せてくれることを期待して待ちましょう。

(天文担当 有本)

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地質調査日誌11/21 檜原村

11月21日、木曜日。晴れ。

20日に引き続き檜原村の調査です。
午前中は北秋川で調査を行いました。

朝から快晴です。まずは路線バスの終点「藤倉」バス停付近で調査を行いました。

バス停の目の前の紅葉は見事でした。

石造物が多くあり、古くから人が住んでいたことが伺えます。

このあたりでは泥岩の中に大小さまざまな岩塊が含まれている含礫泥岩が見られました。

さらに下流の小岩集落付近では地層の境界をなす断層を観察しました。写真中央に見えている斜めの線が断層です。左上が主に砂岩から成る地層、右下が主に泥岩から成る地層です。

有名な払沢(ほっさわ)の滝付近でも調査を行いました。この滝は北秋川の支流にかかる滝です。滝の周辺は白亜紀の砂岩です。

滝の手前(下流側)に小さな断層があり、そのため岩石がもろくなり、滝ができたようです。写真中央のややくぼんでいる部分が断層です。

今回の調査の最後に一カ所だけ南秋川に寄りました。檜原村役場のすぐ近くの橋の下です。このすぐ先で北秋川と合流します。

ここでは砂岩と泥岩が交互に積み重なった砂岩泥岩互層が見られます。部分的に細かく褶曲しています。

払沢の滝や檜原村役場に分布している白亜紀の地層は相模原まで続いています。今回の調査は、礫の“ふるさと”探しだけでなく、相模原の地質をさらに詳しく知るための調査でもあります。

(地質担当学芸員 河尻)

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地質調査日誌11/20 檜原村

11月20,21日と檜原村へ地質調査に出かけました.

今回の目的は10月の奥多摩丹波山の調査と同じで、相模原周辺に分布する礫岩中の礫の“ふるさと”探しの旅です。主に白亜紀の砂岩や泥岩を調査しました。

11月20日、水曜日。晴れ。
北秋川の上流部、白岩沢で調査・資料採集を行いました。

12時頃ですが、快晴なのに沢の中は暗く、夕方のようです。写っている岩は砂岩です。

小さな滝がいくつもありました。

このあたりは砂岩と泥岩が交互に積み重なった砂岩泥岩互層が広く分布しています。地層は水平ではなく急傾斜しています。

紅葉がきれいでした。

北秋川と月夜見沢の合流付近です。

このあたりも砂岩泥岩互層が見られますが、強い力を受けたため砂岩(白っぽい部分)の層が切れ切れになっています。

(地質担当学芸員 河尻)

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名古屋から犬山へ

今週20日、21日は週休日に出勤したぶんの振替休日をいただき、ドイツから来られている視察団と行動を共にして名古屋方面へ行きました。

昨年一緒に日本からの視察団としてドイツへ行ったメンバーのお一人が勤務されているトヨタ博物館へ。小学生向けのワークショップを見学しました。ドイツが誇るベンツ社の創業者が作った最初の小型自動車の復元モデルを、実際に走らせてくれます。

そのまんまのエンジン音やガソリンのニオイなど、今とは違うけど、原理をなまなましく見せてくれる印象的なワークショップでした。そしてもちろん、常設展示も。トヨタ社がつくった最初の量産型自動車の曲線美と質感の美しさに、一同歓声が上がりました。

基本的にここに展示されている自動車はほぼすべて動態展示、つまり走らせることができるそうです。その整備工場にお邪魔すると、かつての整備士さんがひとつひとつの展示車のレファレンス(始動の仕方や整備の仕方が書かれた説明書)を手描きでつくっていて、実用に裏付けられた美しさと職人さんの資料への愛情に圧倒されました。もちろん、ものづくりの伝統を持つドイツのみなさんは食い入るように見ていました。

ディスカッションの中で印象的だったのは、ドイツのみなさんから、ドイツの各自動車メーカーの博物館は自社製品しか展示していないのに、ここではさまざまなメーカーが公平に扱われているのがすばらしいという感想でした。それに対してトヨタ博の館長さんは、それは自社製品で自動車の歴史をすべて語ることができるからで、日本ではそれができないからにすぎません、とおっしゃっていました。しかしその謙虚な言葉の裏には博物館の信念が含まれており、ドイツのみなさんもそれを感じ取られているようでした。

トヨタ博の後は、国宝犬山城へ。西日に輝く天守閣

 

修復中で、一部が足場で被われていましたが、ドイツのみなさんはまったく気にかけるようすはありません。それもそのはずで、あのケルン大聖堂は、永遠に修復が続く建造物で、いつ行ってもどこかしら修復が行われています。

天守閣最上階から見た木曽川。日本ラインの別名はもちろん、ドイツを代表する河川のひとつ、ライン川になぞらえたもので、ドイツのみなさんに強い印象を残したようです。

とても充実したディスカッションもあり、濃密な一日でした。翌日訪問した美濃加茂市民ミュージアムでのようすはまた後日、アップします。

(生物担当学芸員 秋山)

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【お知らせ】落ち葉のカレンダーつくりませんか?11/24(日)

今日、実習実験室では相模原植物調査会のみなさんがなにやら準備作業をされていました。

じつはこれ、こんどの日曜日、24日に行われる植物のワークショップの準備です。

「落ち葉のカレンダーをつくろう」

植物調査会のみなさんが、いろいろな落ち葉や花殻、果実などを集めて乾燥させてくれました。これを素材に、カレンダーの台紙へ貼り付けます。たとえば・・

こんなのはどうでしょう?

自由な発想で、カレンダーを飾り付けてください。材料や台紙はすべて用意されています。10時から16時まで、参加費無料でどなたでもご参加いただけます。人数が多い場合は少しお待ちいただくことがありますが、おそらく午前中は空いていると思います。

たくさんの素材をご用意してお待ちしています!!

(生物担当学芸員 秋山)

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ふだんのボランティア活動

博物館では今、「市民学芸員」が企画・展示・運営する「学習資料展」が開催中ですが、9〜10月には「水曜会」が、5〜6月には「福の会」が展示を行っていました。こういった会は普段、どんな活動をしているのでしょう。

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今日は「福の会」の活動日だったのですが、この写真、何をしているところかわかりますか?虫干し?何かの品定め?
実はこれ、資料を洗っているところです。かつて市内の新屋敷という地域で冠婚葬祭に使われていた道具で、「福の会」結成のきっかけとなった福田家御当主の呼びかけで、博物館でお預かりする事になったものだそうです。
長年しまわれ、ほこりをかぶっていた品々は、こうしてきれいに洗浄、整理され、博物館資料として登録されていきます。 そこまでして初めて、資料としての価値を持ち、展示などで紹介する意味がでてくるわけです。
さまざまな展示は、こういった地道な作業に支えられています。これは人文系、自然系、いずれにも通じる事で、それぞれの分野にボランティアの皆さんがいて、日々こつこつと資料の蓄積が行われているのです。全く頭が下がります。

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洗浄の後は乾燥です。快晴の空の下、作業は順調にはかどったようです。

ところで、普段このブログを読んでいただいている方の中には、相模原市立博物館は自然系に偏った館と思われている方もいらっしゃるようです(先日、そのようなご質問をいただきました)。そんな事はありません。もしご興味がおありの方は館ホームページの「博物館の窓」をご覧ください。特に民俗分野は「目指せ、連載100号!」の勢いで頑張っていますので、ご一読ください。(学芸班 木村)
博物館の窓:http://www.remus.dti.ne.jp/~sagami/90-00mado.htm

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普通の一日

この頃なぜかどたばたと過ぎる日が多いのですが、今日は特に急ぎの仕事や突発事件もなく、落ち着いた一日でした。
といってもヒマを持て余していたわけではありません。
朝から小学校や団体の展示観覧がありましたし、大学生グループの質問に答えたり、総合学習の小学生の対応、中学生の職業体験受け入れ、社会人グループの資料調査対応などもありました。そうそう、昼間の金星観察もありました。それぞれの担当者がそういった合間をぬって、消耗品をチェックしたり、不具合のある器機の対応を考えたり、週末のイベントの準備をしたり…来館者と直接接しながら、日常業務をこなすという、当たり前の、でも近頃滅多にない日。たまにはこういう地に足がついた「普通の」日がないといけないなあ、と、しみじみ感じる一日でした。(学芸班 木村)

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真昼の金星

今日は天体観測室の望遠鏡を使って、昼間の星を見る観察会を開きました。
「博物館のまわりのミニ観察会」のように、館内アナウンスで時間になったら集まってくださいと呼びかけたところ、平日にも関わらず数名の方がいらっしゃいました。
金星などの明るい星は、青空にまぎれているものの、望遠鏡を使えば昼間でも見える事を知ってもらう企画です。

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担当学芸員からの説明。

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おおー、見える!
でも青空に向けた天体望遠鏡。ちょっと変な感じです。

見える場所さえわかれば、肉眼でもポツンと光っているのが見えます。私の少々古びた目では、視界を飛ぶものが多くて苦労しましたが…

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金星を見た後は望遠鏡を筒先から覗いて、構造を確認。これは普段の星空観望会でもなかなかできません。参加された皆さんにも大変満足していただけました。

この、昼間の星の観察、何度か試験的に開催した後、定期的に開催したいと思っています。もし博物館にいる時に案内が聞こえたら、ぜひ参加してみてください。(学芸班 木村)

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2つの彗星、撮影成功!!

11月16日(土)と11月17(日)の2日間、アイソン彗星とラヴジョイ彗星の観測を相模原市立博物館天文クラブ(SMAC)の方たちが実施し、撮影に成功しました。(※画像クリックで拡大表示)

【ラヴジョイ彗星】2013/11/16

【アイソン彗星】2013/11/16

【ラヴジョイ彗星】2013/11/17

【アイソン彗星】2013/11/17

、、、と、なかなかの力作です。

アイソン彗星は、太陽接近に伴い、徐々に明るさを増してきていますが、今のところ肉眼で見えるほどにはなっていない状況です。
11月29日(金)の近日点通過前後(11月25日ごろから12月2日ごろまで)は、アイソン彗星が太陽のすぐ近くにあるため、誤って太陽を見てしまうと危険ですので、観察はお休みをし、肉眼で見えるくらいの明るさに増光するのではないか?と言われている12月上旬、それまで期待して待ちましょう。

また、彗星の話題は、プラネタリウム番組「彼方からの旅人~明け方のアイソン彗星」と、博物館エントランスホールに設置したパネルでご紹介していますので、事前学習にご利用ください。

アイソン彗星を見つけようキャンペーンが行われていますので、ぜひ参加してください。また、彗星の軌道や見つけ方などの詳しい情報は、国立天文台のアイソン彗星特集ページをご覧になってください。
(天文担当 有本)

☆相模原市立博物館天文クラブ(SMAC)とは?
 博物館主催事業「天文教室」の受講者で組織し、2011年12月に発足した博物館天文分野のボランティアグループ。月例の観測活動などを実施しています。

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学びの収穫祭 終了

2日間にわたって行われた「学びの収穫祭」が終了しました。

こんなに賑わっていた展示発表コーナーも・・・

16時の終了後、がらんどうに。

あの展示発表はどこへ?ぜんぶ片付けてしまったの?

ご心配なく。みんなで力を合わせて1階エントランスまで持っていきました。

年明けくらいまではこのまま展示します。

それにしても、濃密で充実した収穫祭になりました。ご参加いただいたたくさんのみなさま、そして会場に来てくださったみなさま、大変ありがとうございました。

明日からまた、来年の収穫祭に向けての1日目が始まります!

(生物担当学芸員 秋山)

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