地質調査日誌10/13 相模原市緑区石老山

10月13日,日曜日.晴れ.

今日は相模原市緑区にある石老山へ,ボランティアグループの相模原地質調査会のメンバーと一緒に調査に出かけました.山頂には登らず,中腹の林道沿いで石老山礫岩と呼ばれる礫岩(石ころたちが固められてできた岩石)の調査です.

日なたに出ると暑いくらいでしたが、日陰は涼しく、秋らしくなってきました。調査地の近くにあるお寺にコスモスが咲いていました.

この石老山礫岩は約600万年前にやや深い海でたまった石ころが固められてできました.

今日の目的は礫を最低,100個採集すること.ハンマーとタガネを使って,礫岩から一つ一つ取り出して採取しました.なんとか目標をクリアーすることができました.

礫岩に含まれている礫がどこから運ばれて来たのかを突き止めることにより,当時の地形の様子が分かります.600万年も昔になると,山の高さも海岸線の場所も今とは全く違っています.礫岩も当時の様子を知るための重要な手がかりです.

(地質担当学芸員 河尻)

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歩くだけでなく

今日午前中、中央公民館のウォーキング教室のお手伝いをしてきました。この教室は、中央地区健康づくり普及員協議会と中央公民館が共催して、この地区を歩いて知ろうという健康と地域学習のコラボイベントです。
まずは、歩く前の準備。しっかりと体をほぐします。

約9000歩のコース、広めの歩道を歩きながら、街路樹を観察しました。途中で見つけたハナミズキの果実。青空に映えますね。

ふだん、何気なく通過してしまう街路樹も、じっくり見てみるといろいろな種類があります。参加者のみなさんの多くが、ユリノキをプラタナスと思い込んでいて、こちらもへー!と発見しました。

最後に富士見公園で、ドングリと落ち葉の観察。クヌギとコナラの落ち葉の写し絵をして、ドングリの形と見比べてもらいました。ドングリが細長いけど葉が丸いのがコナラ、ドングリは丸いけど葉が細長いのがクヌギ・・。こんがらがったかな?

早朝の強い雨がからりとあがり、暑いくらいの陽気でした。皆さん元気に歩き通してくれたので、きっと美味しいお昼ご飯になったことでしょう。

(生物担当学芸員 秋山)

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近所の小さな水族館

今日は、相模原市南区北里にある、水族館に行って来ました。博物館からはクルマで15分くらいの距離です。
えっ?そんなのあったっけ?という人も多いと思いますが、その水族館の名前は「北里アクアリウムラボ」。
北里大学海洋生命科学部校舎の中にあるミニ水族館です。

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水族館や博物館の職員を目指す学生の皆さんが企画・展示をしているそうです。小規模ですが、ちょっと目を引く楽しい展示でした。平日のみ公開していて、一般の方も見学可能だそうです。詳しくは直接大学にお問い合わせください。
公式情報:http://www.kitasato-u.ac.jp/mb/news/n20110723.html
スタッフブログ:http://s.ameblo.jp/kitasato-aquarium-labo/(学芸班 木村)

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残念、、、でもラッキー!!

今年12月上旬ごろに、肉眼でも見えるくらいに明るくなるのではないかと期待されている(話題の!?)アイソン彗星ですが、各地の天文台や、天文ファンの方たちが撮影したとの報告が徐々に増えてきています。

天文担当としては撮りたい気持ちがウズウズとしていたところ、晴れの特異日とされる10月10日、かなり早起きをして午前4時20分ごろ自宅から撮影に挑戦しました。
残念ながら今日撮影した画像(クリックで拡大表示)では確認できませんでしたが、国立天文台のホームページやインターネット検索して撮影した方の画像と比較すると、○印のところにいたハズなのでした(> <;)

【結果】
※アイソン彗星の明るさは、今のところ10~11等くらいとのこと。まだまだ双眼鏡や望遠鏡での眼視観察はできない。
※デジタル一眼レフカメラのみで撮影に挑みましましたが、街明かりがある市街地では、夜空が明るいため、露出時間を長くすると画像全体が真っ白けになってしまい、微妙な設定が要求されます。

国立天文台のホームページで特集が組まれています。また、11月1日(金)以降は、アイソン彗星を見つけようキャンペーンが行われます。ぜひ、こちらに参加してください。

近日点通過後の12月上旬ごろに、肉眼で見えるようになることを期待しつつ、それまで待てない方は、東の低空が見渡せる安全なところで、ぜひ挑戦してみてください。
10月中は、しし座の中を火星とともに移動していきます。10月15日(火)には、しし座の1等星レグルスに大接近しますので良い目印になるでしょう。

追伸
早起きは何とやら?
ちょうど、この時間の南天低空(地上2度ほど)に、りゅうこつ座の1等星カノ-プスが赤色に輝いて見えました。縁起がいいとされる星なんですよ。ラッキー!! 画像だけでもお裾分け(^_^)

(天文担当 有本)

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神奈川工科大学で打ち合わせ

市民協働事業「博物館情報ネットワーク事業」の関係で、神奈川工科大学 白井研究室へ行ってきました。
いつも博物館での打ち合わせが多いので、ちょっと新鮮な気分です。
今日は、今までの到達点の確認と、これからの方向性について、かなり具体的な話ができました。
ITの最先端の研究をしている大学の研究室と、博物館のコラボ。実に刺激的で素晴らしい試み…と、手放しで自画自賛したいところなのですが、とにかくお互いの土俵が大きく違いますし、初めての試みです。話し合いも、何を求めているか、何を伝えたいか、という事を確認し合いながら進めていきます。こちらがIT技術に疎いので、「手探り」といった方が近いかもしれません。特に今日の話し合いは中身が濃く、ああ、こういう視点で見ているんだ、という「気付き」の連続で、正直言って終わる頃にはかなりヘトヘトでした。
それでも何か新しいものがつくられて行く過程はとても楽しいものです。今年度も残り半分を切りましたが、これから何が出来上がるか、ますます楽しみになってきました。(学芸班 木村)

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白井研究室の皆さん。この明るさが「面白い事をやる」原動力?
普段、どんな事をしている人たちか知りたい方は、こちらのブログページをご覧ください。
http://blog.shirai.la/

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キノコの饗宴

昨日の小倉山調査では、この季節らしくキノコがたくさん見られました。特にたくさん見られたのが、白いテングダケのなかま。とにかくたくさんありました。菌床が輪を描くように広がるフェアリーリングとまではいきませんが、それに近いくらいに、林内にかたまって発生していました。

キノコは、野外で見るもののほとんどが図鑑に載っていないといえるくらい、未分類のものが多いので、安易に名前を言えません。このキノコも、シロタマゴテングタケかそれに近いなかまとしか言えません。

こちらはずばり、タマゴタケ!美しい!

イグチのなかまですが、こちらは種類がわからず。

登山道にもさもさと生えていた変わった形のキノコ。フサタケ?

 

登山道入り口近くの畑の隅に生えていた、キツネノタイマツ。

ほかにもいろいろと発生していました。色といい、形といい、キノコは楽しいですね!

(生物担当学芸員 秋山)

 

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下から照らされる雲

今日の調査の帰り道、青い空の下に灰色の層積雲が出ていました。青い空には白い雲が定番ですが、低く厚い雲が部分的に出ている時は、じつは夕方の空が楽しみです。なぜなら、夕日が下から雲を照らし、きれいな夕焼けを作るからです。

果たして今日も、そんな夕空。

特に今日は雲が厚めで、しかも西の空が晴れていたため、近い空に広がった層積雲が遅い時間帯まで下側が照らされていました。

帰り道、人知れず興奮しながら歩いていたのですが、住宅地の空はやっぱり狭い。特に夕焼け雲を撮るには、低い空に建物やら街灯やらいろいろなものがかぶり、ちょっとフラストレーションがたまりました。

(生物担当学芸員 秋山)

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貴重な照葉樹林 小倉山

今日は緑区の小倉山へ調査に行きました。採石場の拡張で山塊がごっそり削られる計画があることから、9月にも調査を行い、ブログに掲載しました。

相模原植物調査会では、これを機にしっかりと小倉山の現況を調査しておこうと、集中的に調査を行うことにしました。今回は、北東斜面の一部にある、貴重な照葉樹林の調査です。一般的な登山路や林道の無い場所なので、高圧鉄塔の管理路を歩きます。

途中、倒木を迂回したりしながらたどりついた小さな尾根に、その照葉樹林はありました。

この樹林はスダジイが優占し、西日本によく見られる照葉樹林の様相で、相模原周辺で一般的に見られるシラカシ林やアラカシ林とはまったく異質のものです。小倉山山頂付近には、サカキやシキミ、イズセンリョウといった西日本に多い樹木が多く見られるので、どうやら山頂付近はもともとこうした西日本型の照葉樹林に被われた山塊だったのかもしれません。それが、植林などにより現在は置き換えられ、この場所にだけ、残存しているようです。なお、詳しい植生調査の結果は、相模原市立博物館研究報告第18集(2009)で宮崎卓さんによって報告されています。

林内のモミの木に、テイカカズラのつるが盛大にからみつき、茂った葉が重そうに垂れ下がっていました。

幸いこの場所は、採石場の拡張予定地からは、わずかに外れています。特異で貴重なこの樹林の学術的な価値をしっかりと把握して保存していかれるよう、今後とも注意深く見守っていきたいと思います。

(生物担当学芸員 秋山)

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うろこ雲

今日は朝からいろいろな雲が見えていました。ちょっと大気の状態が不安定な午前中から、午後はゆるやかな回復傾向に。夕方には、巻積雲のうろこ雲ができていました。

じつは、この写真の北側の雲もなかなかすばらしかったのですが・・でも、ちょっと空の色がイマイチ。高い空にできる雲もきれいなのですが、低い空から高い空へ伸びる雲も美しく、見ていて飽きません。雲が楽しい季節になってきました。

(生物担当学芸員 秋山)

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地質調査日誌10/5 宮ヶ瀬湖周辺

10月5日土曜日。雨。
昨日はあいにくの天気でしたが,神奈川地学会の巡検に参加してきました.雨の中,10人以上の方が参加されました.清川村の宮ヶ瀬湖周辺を見学しました.

まずは宮ヶ瀬ビジターセンターで宮ヶ瀬湖周辺の地質の説明を受けました.その後,午前中はビジターセンター近くを見学しました.

雨のため,遠くまでは見渡せませんが,ビジターセンター付近の地形の見学です.

約500万年前の丹沢層群落合層の礫岩.関東山地の南にあった海でたまったものです.

昼食後,雨が少しは止むかと期待しましたが,雨足は弱まる様子も無く….待っていても止まないので,車に分乗して次の見学地点へ出かけました.

ここは丹沢層群寺家層(約650万年前)と愛川層群宮ヶ瀬層(約800万年前)が断層で接しているところ.この断層は活断層ではありません.雨で落石の危険があるので遠く離れた場所からの観察です.ダム湖の水位が下がっているので観察することができました.満水の時は水没して見られません.

ズームで撮った写真です.左下側の色の薄い部分が寺家層,右上側の濃い部分が宮ヶ瀬層です.

次の見学地点は中津川を遡ったところ.急な斜面を下って川原まで降ります.この斜面はヒルが多く,何人かが被害に遭いました.私もその一人.大小2匹のヒルにやられました.大きい方は靴下の上から,小さい方は靴下の目の間から潜り込んで血を吸っていました.

中津川は雨のため水量が多いようでした.

ここでは,約1500万年前の枕状溶岩を観察しました.枕状溶岩は海底火山の証拠です.丹沢山地は海底火山活動でつくられた地層できています.

雨は止まないし,ヒルに血は吸われるし,少々大変でしたが,新しい発見が多くあり,楽しく観察することができました.

(地質担当学芸員 河尻)

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