さわやかな空

今日はこの秋一番の冷え込み(というほど寒くないけど)。秋のさわやかな空に、力の無い雲が出ては消えていきました。

高積雲の塔状雲が、やや放射状に広がって見えます。どうってことない雲ですが、どんどん形を変えていくようすがどことなく、はかなく美しいですね。

(生物担当学芸員 秋山)

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地質調査日誌9/26 上野原市鶴川上流

9月26日木曜日。曇り。
今日は、9月3日に地質分野の博物館実習生と一緒に調査した上野原市の鶴川上流部へ再調査に出かけました。

木の葉が少し色づいてきています。もう秋ですね。

台風で増水したためでしょうか、河原の草はなぎ倒されていました。今日よりも1メートルは水かさが増したようです。今日も9月3日よりは水量が多く、砂を採集した場所は水の中でした。

前回採集した千枚岩は、千枚岩になった後に、さらにマグマの熱による変成作用も受けています。今回はそのマグマを探しに行きました。マグマと言っても今では冷えて固まった岩石、火成岩として地表に露出しています。地質図を見るとすぐそばに露出しているようです。

これは熱の影響を受けて赤く変色した千枚岩です。よく見ると縦方向に縞模様が見えます。

川の中にあった転石ですが、上の写真の岩石も赤くなければこんな風に見えたと思います。

千枚岩に熱の影響を与えた火成岩その1、ひん岩。

火成岩その2、こちらもひん岩。「その1」に似ていますが、大小様々な大きさの丸い石ころ状のものを含んでいます。

火成岩その3、アプライト.アプライトも岩石の名前で、非常に粒の小さい白っぽい花崗岩のなかまです。写真ではわかりにくいですが、「その1、2」と比べると白っぽく、粒も小さいです。

別の場所では千枚岩と火成岩が接触しているところを見つけました。黒が千枚岩で、白が火成岩です。この火成岩も「その1~3」と種類が違っており、その4になります。「その4」は流紋岩です。

火成岩その1~4は、ぱっと見はよく似ているのですが、ハンマーで割ってよく観察するとハッキリと違いがわかります。今日調べた範囲はわずか数百メートルですが、数種類の火成岩が見つかりました。複雑なマグマの活動があったようです。

(地質担当学芸員 河尻)

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クサグモの卵のう

博物館の入り口で、葉っぱが糸で綴られたものを見つけました。

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こういうものの中にはイモムシがいたりしますが、開けてみると…

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クサグモの卵のうでした。良く見ると、母グモがガードしています。卵のうは、まるで紙か布のような丈夫なシートで作られた、美しい多面体です。何故こんなにきっちりした形にするのか、どうやって作るのか、不思議です。近縁のコクサグモはまったく違う丸っこい卵のうなので、なおさらです。
いつかこのブログで紹介したいと思っていたので、ここで見つけられてラッキーでした。
でもクモにはちょっと悪い事をしました。明日になっても開いたところが修復されていなかったら、保護する事も考えなければ…。(学芸班 木村)

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樹林地のスズメバチ

今日、博物館お隣の樹林地の中に立つ大きなヒマラヤスギの根元に、物々しい柵が設置されました。

大きなスズメバチの巣が見つかったのです。高さ10mくらいの位置に(矢印の先)、おそらく直径50センチ以上はあると思われるスズメバチの巣があります。

たくさんの働き蜂が出入りしています。キイロスズメバチでしょうか。

じつは先日も、博物館の建物の裏手にキイロスズメバチが巣をつくってしまい、駆除業者さんに頼んで撤去してもらいました。いくら自然の生きものとはいえ、スズメバチについては、危険すぎて寛容な対応ができません。ここも遊歩道の真上で、一日中たくさんの方がお散歩やウォーキングで通る場所です。この樹林地を所管する市の部署へすぐに連絡し、冒頭の柵となりました。まもなく駆除業者さんにより撤去されることと思います。

秋はハチたちの警戒心が高まり、危険な季節です。ハチに出会ったら、手で払ったり、いたずらに騒いではいけませんが、とにかく、速やかにその場を離れることが重要です。それから、スズメバチも命がけですし、集団行動を取るので攻撃的になったスズメバチは極めて危険です。飛ぶスピードは人間が走るよりはるかに速く、集団攻撃態勢をとられたら、人間が立ち向かって勝てる相手ではないことも心得ておく必要があります。「逃げる!」これしかありません。

必要以上に近づかないこと、うっかり近づいてしまったら、静かに速やかに逃げるのが鉄則です。

(生物担当学芸員 秋山)

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舘野さんと養老先生

今日は舘野鴻絵本原画展の作家、舘野さんが展示会場に一日詰めてくれていました。絵本を購入してくれたお客様にサインをしています。「いったいどうやってこんな細密な絵を描くのか?」というような質問に、丁寧にこたえてくれています。

そこへ、講演会の講師として来館されていた養老孟司先生が展示を見に来てくださいました。同じ“虫屋”として、通じるものがあります。

舘野さんと養老先生のツーショット!

絵本原画展は10月27日まで続きます。舘野鴻さんの独特の世界観をどうぞお楽しみください!

(生物担当学芸員 秋山)

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養老先生と虫のおはなし

今日は午後から市史講演会・津久井町史自然編刊行記念「虫は不思議でおもしろい!」が行われました。講師はあのベストセラー「バカの壁」などで有名な解剖学者の養老孟司先生です。じつは、養老先生は解剖学者になるよりも前から、昆虫博士であり、津久井町史自然編の執筆陣のお一人でもあるのです!地階ホワイエでは、臨時の展示も!

養老先生の昆虫標本(のほんのごくごく一部)も展示しました。そして、会場は満席。

ご自身と津久井町との関わりや、ご自宅を出るときに見られたトンボのお話から入り、あっという間に養老ワールドに。それは約90分ノンストップで続き、さらに会場からの質問にもこたえていただき、2時間の濃密な講演会となりました。

津久井町史自然編、意外な執筆者もいる楽しい本です。まだご覧いただいていない方はぜひ博物館や市内の書店などでお手にとっていただければと思います!

(生物担当学芸員 秋山)

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展示解説やりました!民俗分野実習生・水曜会

今日も博物館はたくさんのお客様においでいただいています。

特別展示室では、入って右側の展示スペースでは、資料を整理して展示を作ったボランティアグループ、水曜会のみなさんが展示解説。

お客様に自然な雰囲気で話しかけています。解説というより、対話ですね。ご年配の方には懐かしい資料もたくさんあり、お互いの思い出話に花が咲くこともしばしば。展示室を見渡すと、あちらこちらでそんな対話が繰り広げられています。

さて、実習生制作展も、展示解説はラストの出番となった民俗分野の学生たちが懸命に解説しています。

というのも、熱心に耳を傾けてくださっているのは、なんとこの展示資料の所蔵者のご家族です。実習生たちも緊張しまくってます。でも、所蔵者のみなさんも改めてじっくりと見ることがなかったそうで、こうしてケースに収められ、展示されたことを大変喜んでくださいました。

実習生も「すごく緊張しました」とのことですが、所蔵者のみなさまに展示解説をできるなんて、ほんとうに幸せなことです。この体験はきっと、深く記憶に刻まれることでしょう。

そして最後に記念撮影を、ぱちり。

実習生制作展は10月27日まで続きます!

(生物担当学芸員 秋山)

 

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秋の色がマッチしてきました~青根にて

今日は緑区青根の里山へ行ってきました。稲刈りを間近に控えた田んぼはすっかり秋の色。

現在、環境省が主導してモニタリングサイト1000という大規模な市民参加型自然調査が全国で進められていますが、この青根の田んぼもそのサイトに登録されています。今回は、調査の運営やとりまとめを受託しているNACS-J(日本自然保護協会)主催で、数ある調査項目の中からカヤネズミ調査の研修会が行われたのです。

講師には全国カヤネズミネットワークの畠佐代子さん、参加者は麻布大学のあざおね社中のみなさんや、附属渕野辺高校ボランティア部のみなさん、そして地元小学校や一般の市民の方々も参加して、総勢約40名!カヤネズミ調査の基本から実地の調査方法まで密度濃く学びました。下見で見つけた、カヤネズミの球巣です。

ススキの穂と青空がマッチする季節になりました。

稲穂の色とアキアカネの色もしかり。

色はすっかり秋でも、気温は高め。ススキ原に潜り込んでの調査は、ススキとカナムグラの花粉がもうもう、湿気もむんむんでなかなかハードでした。

(生物担当学芸員 秋山)

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考古分野、地質分野、博物館実習終了!

考古分野と地質分野の博物館実習は今日で終わりです。

最終日の今日は自分たちで作った展示の解説です。

考古分野の実習生の展示解説の様子です。

こちらは地質分野の実習生です。

初めのうちは緊張や恥ずかしさが見られましたが、最後の方はしっかりと解説ができていました。

9日間の実習、お疲れ様でした。

(地質担当学芸員 河尻)

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地質学会巡検2日目(9/18)午後

地質学会巡検2日目、後半です。

2日目の昼食場所は前期三畳紀(約2億5千万年前)のアンモナイトなどの化石産地です。あまり保存の良くない小さなアンモナイトを採集することができました。

残念ながら写真のような立派なものは採集できませんでした。写真のアンモナイトは岩石が大きすぎて持ち出せないので現地に残されていたものです。小さく割ろうにも割れないので、誰も手を付けていません。

写真の場所にはかつて水産振興センターが建っていて、魚竜やアンモナイトの化石が展示されていたのですが、2年前の地震の津波で被災しました。今は建物は撤去されています。映っている建物は隣に建っていた魚竜館で、クダノハマギョリュウが現地保存されていますが、内部を見学することはできません。

こちらは、三畳紀の示準化石であるモノチスが密集した泥岩です。モノチスが含まれている泥岩のかけらを採集することができました。

今回の巡検の目的ではありませんが、2日目は海岸沿いを回ったので、津波被害の痕跡を見ました。

塀だけが残っている住宅です。建物は撤去されています。

画面中央やや左に映っているのは解体の方針が固まった南三陸町の防災対策庁舎です。走っているバスの窓から撮影したものです。

2日間で古生代から中生代までの岩石を見学することができ、充実した巡検でした。
また、被災地域の復興はまだまだこれからということも、強く思いました。

(地質担当学芸員 河尻)

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