舘野さんのギャラリートーク&イプシロンPV

今日は午前11時から舘野鴻絵本原画展「ぎふちょう」のオープン記念イベント「舘野鴻ギャラリートーク」が行われました。

当館では展示室内でこうしたトークイベントを行うのは珍しく、いつもとちょっと違った雰囲気です。でも、作品を前に作者がその作品世界を語るようすは舘野さんの人柄もあり、とても楽しくあっという間に1時間が過ぎました。

舘野さんの独自の作品世界をさらに奥深く鑑賞する機会に恵まれたみなさんには、終了後に即席のサイン会と、舘野さんから「ツチノコ」のポストカードのプレゼントも!次回作のナイショのお話もあり、充実したオープニングイベントとなりました。

ところで午後2時にはイプシロンロケット発射のパブリックビューイングが行われ、たくさんのみなさんがエントランスの画面に見入りました。

会場で配られた「さがぽんの正座早見」も好評です。

発射の瞬間わき起こった拍手。よかったですね!

(生物担当学芸員 秋山)

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こんなところにエノキ

窓際の席で仕事をしていたら、窓の外で風に揺れるものがあります。

エノキの幼木でした。

2階の部屋の外は、二重になった外壁の間になるので、いわば屋根の上。「生えるべき場所でないところ」に生えてしまったということになります。窓を開けてよく見たら、コナラやヒメジョオンもありました。

エノキは果実を鳥が食べてフンに種子がまじっていたのでしょう。鳥による種子散布の現場を見た気分です。ヒメジョオンは風に乗って。コナラは近くに木があるので、ぽろりとここへ落ちてしまったのかも。いずれにしても、異なる種子散布の方法をとる植物が同居する結果となりました。

でも、ヒメジョオンはよいとしても、コナラやエノキは大きくなったら建物の維持管理上好ましくないので、いずれ伐られる運命にあります。こんな日当たりもあまりよくない場所でせっかく伸びてきたのに、ちょっと気の毒にも思いますが・・。

(生物担当学芸員 秋山)

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ちょっとオトクな?ボランティア連絡調整会議

今日は午後からボランティア連絡調整会議が行われました。2カ月に1度、主に11月に開催する「学びの収穫祭」の企画や準備を行うための会議ですが、それだけではせっかく集まっていただくのにもったいない、ということで・・。

これから毎回、学芸員などが話題提供してボランティアのみなさんにとっての「おトクな」時間にしていくことになりました。その第1回は加藤学芸員による「相模原市立博物館ができるまで」と題したお話です。博物館建設準備室時代から開館に至る14年という長い準備期間のことや、地域博物館というコンセプトの背景と今後の展開などが紹介されました。こうした話題は通常の講演会や講座などで聴く機会はありません。職員も含めて、30人以上のみなさん(ボランティアグループに属していればどなたでも参加可能です)が熱心に聴き入っていました。

ところで今朝は、秋らしい雲が。

巻積雲のうろこ雲の下に、高積雲の波状雲。すがすがしい朝でした。

(生物担当学芸員 秋山)

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やっぱり早起きは三文の…

以前も似たようなタイトルで「朝の斜めの光でクモの網がきれいに見える」というような事を書きましたが、今朝、見かけたのは、セミの抜け殻です。

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ランタンのように光っています。
太陽がちょうど抜け殻の向こう側にあって、かつ、木の幹でまぶしさがおさえられる位置でだけ、こんな風に見えます。
辺りではアブラゼミやミンミンゼミがうるさいほどに鳴いていましたが、夏に比べれば日差しは低く、斜めの光が美しい季節になってきました。
やっぱり朝はちょっぴり得な事があるようです。(学芸班 木村)

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今日も博物館は大盛況

大盛況、といっても、見学者の事でありません。

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昨日に引き続き「水曜会」のみなさんは、特別展示室で作業。

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実習実験室でも「水曜会」の作業…の向こうでは文化財保護課の職員が、考古遺物を調べています。

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そしてこちらは、実習生(歴史分野)が展示の相談中。

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今日は民俗分野の実習もありました。野外から帰ってきて調べ物をしています。

写真は撮らなかったのですが、市民研究室でも資料調査をするグループや個人の方々がいて、静かな中にも非常に活気がある一日でした。
この頃こういう日が少しずつ多くなってきたような気がします。
こんな風に、皆が博物館にやってくるのはなぜだろう、と、ふと考えてしまいました。
もちろん、イベントがたまたま重なった、とか、事業やボランティア活動の積み重ねといったと事があります。
でも、根本にあるのは、博物館にある膨大な資料や情報が持つ、求心力のようなものではないか、と私は思うのです。
だとすると、今、この博物館ではそういう力が上手く働きつつあるのかもしれません。そう思ったら、ちょっとわくわくする気持ちになる、今日はそんな日でした。(学芸班 木村)

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雨上がりの小倉山

今日は市内緑区の小倉山へ調査に行きました。小倉山は相模川右岸のなだらかな山塊の中心にそびえる山です。山頂には三角点もありますが、一般的な山歩きコースからはちょっと外れて、マイナーな存在です。しかし今、この小倉山の山頂を含む北斜面に建材の骨材となる採石場の拡張計画があり、このまま計画が進めば30年後には山頂がごっそり削られることになります。そんな山の現状を確認しておくための調査です。

相模原植物調査会のみなさんと、標高のわりに歩きがいのある道を登ります。山頂はこのとおり、眺望もなく、ちょっと残念な雰囲気・・。

でも、植物相はかなり特異です。絶滅危惧種や特徴的な植生も見られ、そこはしっかりと調査しておく必要があります。希少種などの情報はここでは公開できませんが、印象的な写真をいくつかアップします。まずは、立派なフジの幹。つる植物ですが、数十年をかけて、ごぶとい幹を形成しています。

ミズヒキの花。さりげなく美しいですね。

途中、冬虫夏草(菌類)に侵されたカミキリムシの亡骸をみつけました。

今朝はかなりしっかりと雨が降っていました。でも、近場の山歩きなら「楽」観天望気。たいていの雨模様は、現場で覚悟を決めちゃえばなんとかなります。今日も最初にちょっと傘をさしたくらいで、あとは気温がさほど上がらず快適な調査となりました。本格的な山登りなら「悲」観天望気で大事を取りますが・・。

雨もけっこういいものです。たくさん汗をかいたけど、ここ紹介した以外にもすばらしい成果がありました。返りにちょっと寄った水田では、ミソハギが美しく咲いていました。

たくさん歩いたけど、心地よい疲れが満足感につながる一日になりました。

(生物担当学芸員 秋山)

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特別展示室の作業も大詰め

今日は今週末、14日からトリプルオープンする企画展の列品作業で、特別展示室は大賑わいでした。

向かって右側は収蔵品展「埋もれた“モノ”に光を」、左側は舘野鴻絵本原画展「ぎふちょう」、その奥に、写真ではよく見えませんが、実習生制作展を準備中です。

1枚の壁を隔てて、まったく違う趣向の展示を見ることができます。しかも観覧無料!これはオトクです。収蔵品展は、とにかく資料点数が多い!ボランティアのみなさんがコツコツと整理してきたたくさんの民俗資料が並べられています。

ぎふちょう展は、今日は作者の舘野さんご自身が来て列品。お弟子さんをアシスタントに、絵の配置やバランスなどを調整します。

ぎふちょう展には知り合いの高校生も手伝いに来てくれました。創立記念日だとか。たくさんの額吊り金具の設置など、人手のいる作業を黙々とこなしてくれました。貴重なお休みの日にどうもありがとう!

他にもたくさんの人の手を借りて、ほぼ列品が終わりました。ライティングも済ませて、舘野さんも満足そう!

展示は土曜日からとなります。初日には舘野さんのギャラリートークもあります(11時から)。どうぞお楽しみに!

(生物担当学芸員 秋山)

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小さな繭

今日は休館日。ひさしぶりにおかいこさまの写真です。

今回の養蚕はブログへまったく写真をアップしていませんでしたが、展示もしていましたし、この1週間ほどでほとんどが繭になりました。しかし、遅くふ化した個体がこの週末にさしかかってもまだクワを食べていたので、自宅へ持ち帰りました。そして、1頭が夕べからもぞもぞと挙動不審になり、今朝、箱の隅で繭になっていました。まだ内装途中だと思いますが・・。

もう1頭も、朝から作り始めています。

それにしても、やっぱり秋蚕の繭は小さい。忙しくてあまり手をかけられなかったということもありますが、各齢期がちょっとずつ短くて、5齢も6日ほどで繭を作り始めてしまいました。まあ、繭人形にするにはこうした小さなかわいい繭も使い道があってよいのですが。

ふと外へ出たら、西の空に薄明光線が。

今日は上空の下層に散らばる積雲がたくさん出ていて、どこか空の広いところで雲の動きを眺めたいなあ、と思いながら・・雑事に追われてそんな時間もありませんでした。でも、夕方になって丹沢へ降り注ぐ薄明光線を見て、ちょっと嬉しい気分になりました。

(生物担当学芸員 秋山)

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「花の観察と植物画」2日目

昨日に引き続き、植物学教室「花の観察と植物画」の2日目を開講しました。今日のお題は木本。写真は講師の豊田路子さんのお手本作品です。

昨日の草花とは違った質感、色合いに挑戦です。昨日は紙のどこから描き始めたらいいのかも戸惑っていた受講者のみなさんも、今日は着々と(?)描き進めます。先生の手ほどきで、立体感や光沢を表現していきます。

午後の着彩に入ると、すでに立派な植物画になっている方もいらっしゃいます。

葉の表と裏の色合いの差、果実の一つ一つの濃淡などが、立体感や奥行きを出す要素となります。

ちなみにこの講座では、絵の具の白と黒を使いません。白は透明水彩の透明度を帳消しにしてしまいますし、真っ黒という色は、生物の色として自然界にほとんど存在しないからです。白は地の紙色を残し、陰の暗い色は、いろいろな色を混ぜて若干の色味のある黒やグレーを作ります。

さて、そんな2日間の長い講座の最後に、向かいの席の人に自分の絵を持ってもらって少し距離を置いて眺めてみました。

グッと間近で見続けては「ダメだ、うまく描けない」なんて嘆いていた人が、「あら?意外とがんばったじゃない」となるのがフシギです。それにしても、初めて会った人ばかりなのに、2日目の最後には旧知の仲のようにみなさん和やかにおしゃべりしながら過ごされています。お互い2日間、植物画に苦労しあった同志、といったところでしょうか。

1日5時間を2日間、ひとつの植物に向き合うという貴重な体験の中で、植物画の大変さとおもしろさの両方を味わっていただきました。受講生のみなさんには、今回そろえていただいた画材を無駄にしないよう、これからも絵に親しんでいただければと思います。お疲れさまでした。

(生物担当学芸員 秋山)

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「花の観察と植物画」1日目

今日(9/7)は植物学教室「花の観察と植物画」の1日目(全2日)が行われました。植物を科学的にとらえて正確に写し取るのが植物画です。通常の絵画と異なり、個人的な表現や情緒を入れ込むことはできません。それだけにシビアな観察眼と客観的な表現力が要求されます。

講師は植物画家の豊田路子さん。毎年この教室の講師を務めてくださっています。

厳しいながらも的確な指導に、受講者のみなさんは初めてと思えないほど、しっかりと植物画を描いてくれています。魔法のように見える豊田さんの手つきを真似しようと、みなさんかぶりつきで見ています。

科学的で個人的な表現を差し挟まないと言っても、それだけではアートとして成立しません。やはり、画面構成や色づかいによるアクセントの付け方などさまざまな要素が絡み合って芸術表現となります。今日はそこまでいかなくても、しっかり鉛筆の下書きをして、午後には彩色もして、1枚の植物画を仕上げることができました。作品をお見せしたいところですが、今日はうっかり、終盤に写真を撮り忘れてしまいました。

今日は草本を描きました。午前10時から午後4時まで、みっちりと植物に向き合う貴重な時間。なかなかうまく筆が運ばないと言いながら、今日初めて会ったばかりのなのに、近い席どうしすぐに仲良くなり、和やかな雰囲気であっという間に1日目が終了しました。みなさん、気持ちの良い疲労感を味わいながら帰って行かれました。明日の課題は木本。2日目もがんばりましょう!

(生物担当学芸員 秋山)

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