はやぶさ2応援企画展終了、撤収

今日は休館日ですが、昨日無事に終了した「はやぶさ2応援企画展 片道から往復へ」の撤収作業を行いました。
キューブリックの名作映画を連想させるようなあのアブレーターも、慎重にケースへ収納。

宇宙に行った実験機器や機材なども、短い距離ながら安全のため、車で運び出します。

はやぶさ2の模型も、無事にJAXA展示室へ戻りました。

がらんとした特別展示室で、筑波への旅を静かに待つビオンカプセル。

こちらは明日、搬出されます。あさってからは、早速次の展示の準備が始まります。次はどんな展示室に様変わりするのか、お楽しみに!

(生物担当学芸員 秋山)

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謎の作業、謎の展示物

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閉館後、博物館の休憩コーナーでひっそり(?)始まった作業。

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何に使うのか、コンピュータらしきものが…

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だんだん組み上がってきました。

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画面の前でセッティング中。

これは、今年度の市民協働事業の成果となる「デジタルサイネージ」。え?何の事かよくわかりませんか?
当然です。これは神奈川工科大学白井研究室の皆さん(この事業の協働相手です)が、 最新の研究成果を盛り込んで作り上げた試作品です。
今はまだスライドショーを見せるくらいの機能しか持たせていませんが、これからもっと面白いものに成長していくはずです。
というわけで、博物館にいらした時、こんな見知らぬ物体があったら「ああ、あれだな。」と、期待を込めてご覧ください。(学芸班 木村)

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フィルムセンター見学

博物館の隣には、国立近代美術館フィルムセンター相模原分館があります。
基本的に一般公開している施設ではないので、隣で働いていてもどんなところか知らずにいました。
先日、念願かなって内部を見る機会に恵まれたのでご紹介します。

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フィルムセンターから見た博物館。なかなか新鮮な姿。

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フィルムプリンターや編集機の展示。

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映写ホール。

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この施設の本来の機能は収蔵庫。最も多かった年度で8000本、平均すると毎年3000本程度のフィルムが持ち込まれるそうです。

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収蔵庫内の温度は5度C。ちょっと寒いです。さらに2度Cで管理している部屋もありました。

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収蔵状態。非常にシステマチックです。
映画フィルムや写真というのはとてもデリケートな資料なため、それだけ厳密な管理が必要とされます。でもそれだけの注意をはらってこそ、後世に伝える事ができるのだ、という事を改めて実感しました。

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因みに、このフィルムは「ビネガー・シンドローム」という現象により劣化し、画像が完全に失われたものだそうです。多くの映画フィルムは、ここにやってくる以前に倉庫などに置かれているため、状態の良くないものが多いそうで、保存環境の大切さが良くわかります。(学芸班 木村)

※ビネガー・シンドローム=近年まで映画・写真に使用されていたフィルムの材質は「アセテート」と呼ばれるもので、通常でもゆっくりと分解する反応が起きています。高音・多湿の環境ではこの反応が急激に進み、画像を保てないまでに変質、変形してしまう事があります。分解の過程で酢酸が放出され「酸っぱい」においがする事から、この現象は、酢を意味する「ビネガー」の名前がつけられています。

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さがみはら宇宙の日(8月)

「いぇ~~いっ!!」

もうすぐ夏休みも終わり。ぼくは久しぶりのバケーションを満喫してるよ。
「coolだろ~♪」

って声が聞こえてきそうですよね。

さてさて、昨年8月から開催している金星探査機あかつき応援企画は、今年度から、当館で開催する新規事業『さがみはら宇宙の日』の位置づけに加わり、引き続き偶数月に開催しています。

そして、本日は「金星探査機あかつきトークライブ」の7回目、「探査機の通信」をテーマに、戸田知朗さん(JAXA宇宙科学研究所准教授)の講演会と、パラボラアンテナの放物線を描く実習を行いました。

講演会では、
☆探査機に搭載されたアンテナの種類と特徴
☆臼田宇宙空間観測所にある主鏡面が直径64メートルの大型パラボラアンテナなどの地上局を用いて通信している
☆『再生測距方式』により、劣化した信号を復元させる
☆地上局のアンテナを「あかつき」の進行方向8~15分先の位置に向けて通信する必要がある
☆軌道決定には、探査機の距離や速度の情報を絶え間なく得ること(=「あかつき」の声を聞き続けること)が不可欠であり、通信が途絶えてしまうと行方が分からなくなることもあり得る
といったことなど、とても興味深い内容でした。

後半は、パラボラアンテナの曲面の放物線を、1本の紐と2本のピンを使って描く実習でした。
今回は次のような手順で描きました。
 ①方眼紙に、直交する直線を一組引く
 ②一方の直線上に放物線の焦点を適当に決める
 ③その焦点に糸の一方の端をピンで留める(写真の緑色のピン)
 ④他方をもう1つの直線の上の適当な点に固定する(写真の赤色のピン)
  ※ピンとピンの間隔は10cmとした
 ⑤糸をぴんと張るようにしながらなめらかな曲線を描く
 ⑥糸の長さを変えずに直線上の点をずらしながら複数描く
このようにして、集まった曲線群の包絡線が放物面となる。

そして、最後に戸田先生お手製のスーパーボール落下台を用いて、同じ高さから同時に落としたスーパーボールが焦点のところで衝突する実験を行いました。

数回試したところ、衝突する様子が確認できました。スーパースローカメラがあると分かりやすかったかも知れません。

今回も盛りだくさんの内容で、トークライブを楽しんでいただけたようです。
と言ってるこの瞬間も、あかつきチームの方々による運用が続けられているんですよね。お疲れさまです。

「あかつき」は金星を目指して、ひとり宇宙を突き進んでいます。

地上からみんなが見守っているよ(^o^)/

がんばれあかつき!あかつきチームのみなさん!!

(天文担当 有本)

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アップにすると

今日の石砂山(いしざれやま)調査で、ありふれた植物の意外な美しさに実習生が驚いていました。まずは・・・

春からつるが10メートルにも及ぶ大成長を遂げてお日様を存分に浴びたクズが、この時期あちらこちらで開花しています。大柄な植物体にマッチした、派手な花穂です。

つづいて清楚な純白の頭花は・・・

6枚の花被がユリのなかまであることを物語っています。実習生には、花を見せた後、葉っぱをちぎってにおいをかいでもらいました。

「なんかニラっぽい」

そのとおり!これは、ニラの花です。こんなにきれいな花が咲くとは!

なじみの植物の意外な一面を楽しめるのも、この季節の楽しみのひとつです。

(生物担当学芸員 秋山)

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地質調査日誌8/30 相模原市南区鵜野森

8月30日晴れ。

工事によって崖が削られて,きれいに地層が見えるとの情報を得て、急遽、午後から調査に出かけました。

赤土の中に,厚さ30cm程度の白い層が見えます。これは、箱根が6万6千年前に大噴火を起こした時に飛ばされて来た軽石が降り積もってできた層です。箱根東京軽石と呼ばれています。

工事でできた崖はすぐにコンクリートなどで固められてしまうので、その前にと思い、調査に出かけました。急に出かけたため長袖を準備していませんでした。住宅地の中で,なおかつ,道路沿いの崖を削ったところなので大丈夫と思い半袖のまま出かけました。ところが大失敗で、ヤブ蚊の襲撃を受け、10カ所以上刺されました。やはり野外調査時は長袖長ズボンですね。

(地質担当学芸員 河尻)

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緑色のクモ

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写真は、ウロコアシナガグモのオス。一般的なクモのイメージとはちょっと違った美しい色をしています。
体長:メス5-8mm、オス4-6mm。
街路樹や庭木、樹林地などいろいろな場所で見られ、樹木の枝や葉裏に小さな水平円網を張ります。緑色の金属的な色をしており、オスは腹部背面に赤い斑紋があります。
比較的ポピュラーな種ですが、今年はなかなか出会えずにいました。夏も終わるころになってようやく見る事ができて、ひと安心。

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こちらは、以前に撮ったメスの個体です。ミモザの黄色に映えて、お気に入りの一枚です。(学芸班 木村)

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汗のぶんだけ成果があった!石砂山

今日は生物分野の博物館実習生3名と、緑区の石砂山へ登りました。この猛暑の中、なぜ石砂山かというと・・。

カントウカンアオイを観察して、神奈川県唯一のギフチョウ自生地の環境を体で感じるためです。じつは、実習の大きな課題に、9/14から始まる舘野鴻絵本原画展「ぎふちょう」に併せて、実習生制作展示として神奈川のギフチョウを紹介するコーナーを制作するというものがあるのです。取材登山というわけですね。実習生も、大汗をかきながらも真剣に登山しました。

でも、汗のぶんだけ楽しい成果も。登り口を案内してくれた、ハンミョウ。

なんて美しい!そして、登山道にひょっこり現れたタゴガエル。おとといの持ち方教室の延長です。

山頂でお昼を食べていたら、ハエトリグモのなかまがかわいい姿を見せてくれました。まだ幼体なので、種類まではわかりませんでしたが・・

登山口のヤマビル忌避剤が置かれたボックスを覗いたら、ヤモリがひっそりと隠れていました。

そして極めつけは、下山して集落近くを歩いていて、は虫類好きの実習生Kさんが見つけたニホンマムシ。

カメラを近づけると、悠然と穴の中へと去って行きました。

今夏最後の猛暑だったかもしれない今日、暑い中でしたが、楽しい調査となりました。

(生物担当学芸員 秋山)

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蜂の巣状雲?

昨日、生物学教室を終えての帰り道、空にはちょっと珍しい模様の雲が出ていました。巻積雲のようですが、すじ雲でも、うろこ雲でもない・・・。

これはもしかして、蜂の巣状雲?雲の中で下降気流が発生したときや、雲が消えていいくときにできる雲なので、見られる時間の短い雲です。でも、この時は歩いている間、少なくとも20分以上は出ていました。この雲を見る直前に出ていたうろこ雲があっという間に消えていったのを考えると、蜂の巣状雲とするには長持ちしすぎのような気がします。

ま、分類はともあれ、繊細な模様の美しい雲でした。

(生物担当学芸員 秋山)

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小中学生のための生物学教室

今日は小中学生のための生物学教室を実施しました。

朝10時に集合、午前中は顕微鏡観察の実習です。材料は、ニンニクの染色体。発根させたニンニクから根を採取し、固定、解離までは使う薬品も少々危険なものが多いので、スタッフが実演です。

その後、成長点を切り出してスライドガラスの上でつぶし、染色してカバーグラスを乗せるとプレパラートが完成です。これを顕微鏡で観察。染色体がうまく見えるかな。

今日は博物館実習の大学生5名がスタッフとして加わりました。参加者の作業の補助や、雑談などを通して雰囲気をほぐす役割です。そして、もちろん安全管理も。

お昼もなごやかに一緒に過ごし、楽しげな雰囲気づくりに一役買ってくれました。

そして午後はお待ちかね、生きものの持ち方教室です。ウサギにはじまり・・

チャボ、クワガタ、カブトムシ、リクガメ、カエル、ハムスター、そしてヘビも。これは、ボールパイソンというとてもおとなしい種類なので、やさしく持てばかまれることもありません。

大型のトカゲはさすがに危険なので、持ち方マスターの松橋利光さん(動物カメラマン)や、ペットショップオーナーの後藤貴浩さんが実演してくれました。このほかにもタランチュラ、ダイオウサソリなどは実演のみでしたが、プロの華麗な手さばきにみなさん感心しきりでした。

教室の端の方では、なにやら黙々と作業をしている人が。

昆虫の立体切り絵をつくっているのは、中島さん。とてつもなくリアルな甲虫の切り絵は、参加者のお子さんたちにこの上ないプレゼントになりました。左は本物のヘラクレスオオカブト、右が切り絵です。

多くの方のご協力で、丸一日の楽しい教室が終了しました。みなさんありがとうございました!

(生物担当学芸員 秋山)

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