ミニ観察会実施しました(6/22)

今日は恒例のミニ観察会を実施しました。梅雨のまっただ中ということで、室内でもできる葉っぱの工作を・・、と思っていたらすばらしい晴天。どうしようかと思いましたが、やっぱり準備もしてあったので、葉っぱの工作にしました。まずは正面入り口近くのアズマネザサで、笹舟づくり。

ただ作るだけではなくて、なぜササの葉で笹舟なのか?という理由を、平行な葉脈や葉縁のギザギザなどの観察を通して感じ取っていただきました。そして、シャガの葉とヤブランの葉をとって、エントランスに入ります。そこで、まずシャガの葉でカタツムリをつくります。

カタツムリはいろいろな作り方があるのですが、今日のはちょっと難しかったかな。上下、裏表の折り方が複数の人に向けると角度がそれぞれ変わってしまうので説明しづらく、わかりにくかったようです。完成品はこんな感じです。

時間がなくなってしまったので、ヤブランの熱帯魚は演示しただけになってしまいました。

時間や人数に見合った内容ではなかったようで、参加したみなさんにはちょっと中途半端な終わり方になってしまったかもしれません。

ちょっと反省材料は残りましたが、工作は天気に左右されない大切なネタなので、いずれまた準備を万全にしてやってみたいと考えています。

(生物担当学芸員 秋山)

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あるじはどなた?

先日、6月19日に行った野外調査の時、ちょっといい拾いものをしました。林道にごろんところがっていたのが、コレです。

明らかに鳥の巣なのですが、さてなんの巣でしょうか。一番外側はコケが巻き付けてあります。多くの鳥にとって、コケは非常に重要な巣材です。クッションにもなりますし、地上に営巣する場合は、素材どうし、あるいは基板の土と巣を接着する役割もあります。

内径が約8センチあるので、そこそこ大きな鳥のようです。産座はシュロ皮の繊維でかなり緻密に作られています。産座のようすや底部の形などから、木の根元の地上あたりに作られたものが、ヒナが巣立ってから崩れて落ちたように見えます。

環境や巣材、サイズ的にはガビチョウが候補に上がりますが、こればかりは確定できません。巣を見ながらアレコレ推察するのですが、これがまた楽しい時間なのです。

ところで、鳥の巣というと、「家」に相当するものととらえられがちなのですが、巣は家ではありません(この記事のタイトルからしてそんな雰囲気を漂わせていますが・・・)。ヒナを育てるためだけの場所ですから、たとえるなら、ベビーベッドといったところでしょうか。

(生物担当学芸員 秋山)

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ネコハエトリの赤ちゃん

6月6日に採集した卵のうから、ネコハエトリの赤ちゃんが出てきました。
6月18日の事です。


まだじっとして動きません。
体長はすでに2mm近いので、卵のうの中で一度脱皮したのでしょう。
でもまだ 丸っこくて、つるっとして、これがネコハエトリ?という感じです。


母グモも健在です。
糸のゆりかごの中に何匹もの子グモがみえます。
まだしばらく保護してあげる必要がありそうです。
(学芸班 木村)

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今日のおかいこさま(6/20:繭がぞくぞく)

5齢になって8日、すでにほとんどのカイコが繭をつくりはじめました。

「簡易型吊りまぶし」は大賑わいです。一番早い個体はすでに中身が見えないくらいに厚くなり、完成間近というところですが、昨晩まぶしに移した個体はまだ中が透き通って見えます。今朝移した個体は、まだまぶしに落ち着かずにウロウロしています。

いくらじっくりと見ていても、どうしてあんなきれいな形の繭ができるのか、やっぱり理解できません。神秘ですね。

2頭が入ってしまったところは、丸い形の「玉繭」になります。これは製糸の工程では撚り機にかけられないので、お湯でほぐしてひろげます。これが、真綿のもとです。

展示もすでにモリモリ食べている個体は引き上げて、こんな容器に入れたものをお見せしています。

はじめこれは、羽化させる個体を雌雄分けておくために隔離したのですが、繭をつくるようすが全方位でつぶさに見られてとてもきれい!ということで、思わぬ演示方法を発見してしまいました。動いているカイコを見られるのも、今週が最後です。カイコ展示のファーストステージもクライマックスとなりました。

(生物担当学芸員 秋山)

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150回目の野外調査

今日は相模原植物調査会のみなさんと緑区与瀬方面へ野外調査に行きました。

ある谷に入ったのですが、ここは私たちにとってシダ植物「イノデ類」のパラダイス。ほかではちょっと見られないようなさまざまな種類のイノデ類とその雑種をあれこれ検討しながら調査します。

もちろんシダだけではなく、目についた植物はなんでもチェック。ありふれた植物でも、しっかり観察するといつもとは違った表情が見えてきます。ユキノシタ。

クリの花。

ついでに、廃屋の池のまわりにたくさんついていたモリアオガエルの卵塊。

じつは今回、相模原植物調査会と博物館が定例的に野外調査を始めて150回目でした。記念撮影をして、次の神奈川県植物誌、そして新しい相模原の植物誌に向けて充実した調査活動を継続していこうと、決意新たにしました。

(生物担当学芸員 秋山)

 

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市民学芸員視察研修

今日は市民学芸員の研修で、横須賀市自然・人文博物館に行きました。毎年恒例(?)のバス視察です。
予定より1時間も早く着いてしまったにも関わらず、快く対応して頂きました。博物館の概要を説明後、バックヤードツアー見学や予定外の自然展示室の展示解説まであり、大満足の午前中でした。

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まずは館の概略説明。今日訪ねたのは本館。他に2つの自然教育園と「ヴェルニー記念館」があります。

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「珍しい標本」コーナーに釘付け。不思議な姿の生き物が人を惹きつける力は絶大です。

午後は人文展示室の展示解説と資料室(収蔵庫)の見学、「どのように見せるか」という事を中心に、解説をしていただきました。

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縄文時代の漁労を再現したジオラマの前で。

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移築した民家を題材に、見せるポイント等を事細かにお話ししていただきました。

海に囲まれた市であるという、相模原との環境の違いがまず印象的でしたが、何より1954年に開館し、現在の地に移転してから人文部門が30年、自然部門は40年以上経っているという重みがひしひしと伝わって来て「博物館らしい博物館」という印象を、みなさん持ったようです。長時間にわたる視察に対応していただいた職員の方々、物標本整理の作業風景を見させていただいたボランティアの皆さん、本当にありがとうございました。
それにしても、あと20年もしたら、相模原市立博物館はどんな風に見えるのでしょうか?そんな想像もちょっと楽しく思える視察研修でした。(学芸班 木村)

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横浜市綱島駅周辺の石造物

昨日は横浜市港北区の綱島駅周辺へ、石造物の石材調査に出かけました。横浜市歴史博物館の学芸員さんと同博物館の「民俗に親しむ会」の方たちと一緒に調査しました。当館からは私(地質担当学芸員 河尻)と民俗担当の加藤学芸員が参加しました。

昨日、調査をした石造物は、小松石(箱根の安山岩)や七沢石(丹沢の凝灰岩類)が多く使われており、七沢石よりも小松石の方が多かったです。七沢石は小松石に比べて柔らかく加工しやすい反面、すぐに崩れてしまいます。下の写真で左側が七沢石、右側が小松石です。左側(七沢石)のものは表面が崩れて形があまり残っていません。

こちらは根府川石が使われています。根府川石も箱根の安山岩ですが、小松石とは別の時期の溶岩です。字が彫ってあるところは元々、割れ目だったところです。根府川石は板状に割れるのが特徴です。根府川石を使った石造物はこの割れ目をうまく利用したものが多いです。

礫岩や砂岩を使った石垣もありました。

下の写真のものは切り出した石材ではなく自然石をそのまま利用しています。鶴見川から拾い上げられたものだそうです。しかし、表面には海に棲んでいる貝が穴を穿った跡があり、元々は海岸にあった岩石のようです。それがなぜ、鶴見川の河床で見つかったのかは謎です。

横浜市歴史博物館の「民俗に親しむ会」の方たちとも交流を深めることができ、調査の成果とあわせて、非常に有意義な時を過ごすことができました。今後は当館の自然系の調査会との共同調査を実施するなどして、博物館や分野の枠を超えた連携ができればと思います。

(地質担当学芸員 河尻)

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今日のおかいこさま(6/18:早くも熟蚕に)

予想では水曜日頃に熟蚕(繭を作り始めるカイコ)になるかと思っていたら、早くも今日、盛んに糸を吐き始めるカイコがあらわれました。熟蚕の特徴は、体がやや縮んで張りがなくなること、全体的にやや透き通るような飴色になることです。まだ熟蚕になっていないカイコ(右側)との違いがわかるでしょうか。

そして何より、それまでおとなしくひたすら目の前のクワを食べ続けていたカイコが、ウロウロと動き回り始めます。そして、容器の角で頭を振り始めたらもう繭づくりに入った証拠です。そんなカイコを見つけ次第、まぶし(蔟)へ移していきます。

上の写真は、当館オリジナルの「簡易型吊りまぶし」です。ダンボールを横に倒し、テグスで段ボール製のまぶしを吊っています。カイコは一生のうちに2回尿をしますが、その1回目が繭をつくる途中です(2回目は成虫に羽化後)。ほかの繭に尿がかかると黄色く染まってしまうので、このように浮かせています。また、カイコはどうしても角で繭をつくりたがるので、接地していると角を求めてほかの場所へどんどん動き回ってしまいます。それを防ぐ目的もあります。

さて、今朝、クワを摘んでいたらこんなものを見つけました。

カイコよりもずっと小さく(長径約2センチ)、黄色い繭です。これは、クワコの繭。カイコの祖先も、はじめはきっとこんな大きさだったんでしょうね。

(生物担当学芸員 秋山)

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職業体験1日目(6/18相原中)

今日は市内緑区の相原中学校から4名の生徒さんが職業体験に来館しました。
午後、自然系資料の取り扱い作業では、恒例となった押し葉標本のマウント作業を体験。相模原植物調査会のボランティアさんから丁寧に指導を受けます。

はんだごてと、熱をかけると表面が溶けて接着できる特殊なテープを使って、標本を台紙に貼っていきます。

慣れない手つきではじめは危なっかしく、いつ「熱ぃっ」と声が上がるかとヒヤヒヤでしたが、最後の方はなかなかの手さばきができるようになりました。

博物館資料というと、「昔のもの」というイメージが強いようですが、自然系資料は「今」のものを後世に伝えるという作業の方が圧倒的に多いのが特徴です。また、博物館とは専門的なボランティアさんが活躍する場であるということも実感してもらいたいと考えています。

職業体験は明日も続きます。

(生物担当学芸員 秋山)

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今日のおかいこさま(6/17:新幹線?)

このところ月曜日(休館日)恒例のホームステイ、今週も自宅でもりもり食べ続けています。大きさも7センチを超えました。ほぼ、マックスです。

ここからはもう、繭を作り始める熟蚕までのカウントダウンです。おそらく水曜日くらいにはウロチョロしはじめるのが出てくることでしょう。博物館のクワの葉も、取りやすいところのよい葉を取り尽くしたかんじで、あとは高枝切りばさみで高いところからでないと大きな瑞々しい葉がとれません。ラストスパートという感じです。ところで、先日知り合いがオモシロイことを教えてくれました。その人の親戚の子がある理由でカイコをとても好きなんだとか。

なんと、カイコの顔(頭と胸ですが)は新幹線みたいだから!!

だとか。なるほど!乗り物好きの子どもの発想に脱帽。こんど、学校への出張授業でカイコが苦手な子がいたら、その手を使ってみよう。

(生物担当学芸員 秋山)

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