植物学講座2回目 野外採集・観察会

今日(6/1)は植物学講座「押し葉標本のつくりかた」の2回目として、緑区上大島の相模川で野外採集・観察会を行いました。相模原植物調査会のベテラン会員による指導のもと、実際に野外で植物を採集し、押し葉標本をつくります。

その植物が潜在的に持つ情報をできる限りたくさん標本の中に入れ込めるよう、さまざまな工夫をこらします。

それぞれみなさん何点かずつ標本を採集し、そして植物観察もして、夏の初日の暑さの中でみっちりと植物と向き合いました。

最後のほうで、こんな植物に出会いました。上を見ると、ツクシ(スギナの胞子茎)のよう。

下を見ると、スギナの栄養葉みたい。

はたしてこの植物は、イヌスギナ。ひょろひょろと伸びて、頭にツクシのような胞子のう穂をつける、なんだかツクシを見慣れているとアンバランスに感じてしまうシダ植物です。

白状すると、現場で私はこの植物を「イヌドクサ」とみなさんに伝えてしまいました。確かによく似ているのですが、胞子のう穂の形や、膜状の葉(いわゆる、はかまの部分)の形を見れば間違えることはありません。うっかりミスでしたが、次週、第3回目の講座で訂正できるのが救いでした。気をつけなければいけませんね。

(生物担当学芸員 秋山)

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今日のおかいこさま(6/1:脱皮して二齢に)

昨日の記事のとおり、ほとんどのカイコが脱皮して二齢となり、モリモリとクワを食べています。

昨日の写真と比べても、頭が大きくなっているのがわかるでしょうか。

ついでに、脱皮殻。

夕べ脱皮したと思っても、おそらく月曜日には二眠に入り、水曜日までにはもう3齢といったところでしょうか。このあたりのスピードはびっくりするくらい速いですね。

(生物担当学芸員 秋山)

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今日のおかいこさま(5/31:1眠に入りました)

今、ほとんどのカイコがじーっとして動きません。もちろん、食べてもいません。飼育されている方が「弱っちゃったのかな?」と心配するのがこの時です。

いえいえ、これは、脱皮の前に皮下で新しい外皮ができつつあるときなので、1日から2日くらい、動かずにじっとしている「眠(みん)」という状態です。1齢はだいたい3~4日なので、給桑を始めて5日目の今が、ちょうど最初の眠(1眠)です。明日までには脱皮して、またモリモリ食べ始めるでしょう。

頭のうしろがすでに割れて、新しい皮膚が見えています。

もう少しすると、頭も、内側から大きく膨らんだ新しい頭部が見えてきます。

(生物担当学芸員 秋山)

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ドクダミに光を!

今朝、通勤途中にお隣の樹林地で木もれびのスポットライトを浴びるドクダミを見ました。

純白の花(正確には総苞片)が暗い林床で光を浴びているので、思い切り白が飛んでいますが…。まあ雰囲気はおわかりいただけるでしょうか。

植物には不遇の名としかいいようのないものがいくつもあります。よく引き合いに出されるヘクソカズラやママコノシリヌグイなど。ドクダミも、均整の取れた立ち姿と、その上に咲く清楚で美しい花のわりに、ゴロのよろしくない名です。「毒痛み」、つまり民間薬として古くから利用されてきたことからくる名ですが、日陰に咲くことや強い臭いも影響して、あまり好印象を持たれていません。ちなみにこの臭いを海外では「芳香」とする地域もあります。

今日のスポットライトは、おひさまが「くもりなきまなざしで見よ」とおっしゃっているかのようでした。

(生物担当学芸員 秋山)

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ボランティア会議

今日(5/30)は今年度第1回目のボランティア連絡調整会議を開催しました。

この会議は、博物館を拠点とするボランティアグループの情報共有とともに、当館の一大イベントである「学びの収穫祭」を企画、運営していく場でもあります。

今年は11月16日(土)、17日(日)に実施予定の「学びの収穫祭」に向け、スケジュールなどを確認しました。また、今後のこの会議の進め方について、各ボランティアグループ間の連携や博物館活動への意見、要望などをくみ上げる場としていきたいと職員から提案されました。

今後、博物館の活動にもっとも深く関わる市民として、ボランティアのみなさんが活躍の場をひろげていかれるよう、おおいにこの会議を利用していただければと思います。会議は隔月で開催していく予定です。

(生物担当学芸員 秋山)

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指先からあふれる好奇心

今日(5/29)午前中、博物館のご近所にある県立相模原中央支援学校視覚障害教育部門から、中学部2年生のお二人が来館してくださいました。土器や石器など、埋蔵文化財について学習するためです。

石皿の感触を確かめながら、「何に使ったものだろう?」と推測していきます。この上で調理したのは野菜?木の実?いろいろな意見が出てきます。

打製石器の形を読み取ると、「肉とかも切れそう!」

私たちが見ただけでは気づかないようなことを、正確に言い当ててくれます。つづいて、粘土に縄や貝殻などで紋様を付けていきます。ここでも凹凸の一つ一つを指先で読み取りながらの作業です。

もう一つおまけに、繭も指先で見ていただきました。繭の表面の質感はもちろん、繊維の一本の細さや、振るとカラカラと鳴るところなど、じっくりと確かめてくれました。ちょうど昨日、シルクロードについて学習したそうで、「絹の道」や相模原の養蚕の歴史などにも話が及び、充実した学習となりました。

印象的だったのは、お二人の指先にあふれ出る好奇心。そして、そこから感じたことを的確に言葉に出してくれる豊かな表現力です。なんだか私たちの方が「資料のもつ情報の多さ」について勉強させてもらいました。

(生物担当学芸員 秋山)

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今日のおかいこさま(5/29)

今年も本格的なカイコのシーズンがやってきました。25日に最初の1頭がふ化し、27日遅くにはほぼふ化が完了したようすでしたので、給桑を開始しました。すでに2日、もりもり食べています。

もうそろそろ最初の眠(脱皮前に1日から2日近く動かなくなる状態)に入りそうです。そして、展示も開始しました。1階総合案内の横です。

まだ虫めがねが必要な大きさです。

今回育てているのは信州大学繊維学部からご提供いただいたN142×C108という雑種第一世代です。この品種は限性斑紋形質といって、幼虫の体色が性別で異なる形質を持っているそうです。つまり、幼虫期に雌雄判別ができるという利点があり、実験材料としても有用です。これからそんな点も観察していきたいと思います。

(生物担当学芸員 秋山)

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直線800メートルのむこう

今日(5/28)は「相模川ふれあい科学館」のリニューアルに伴う画像撮影に随行して丹沢へ登ってきました。その登り口の犬越路トンネル。

中心の小さな光が出口です。標高900メートルにある直線800メートルのトンネルは、相模原市側(北側)は林道が一般車通行止め、山北町側(南側)はトンネル出口にゲートがあって通行止めになっているので、まずめったに通る車もありません。トンネルの前に立つと、吹き抜ける風に「何か」が潜んでいそうで、ちょっと気持ちが揺れ動きます。それを振り払おうと「パンッ」と手をたたくと、10秒くらいの残響。いつも、登山の前にここで無駄な数分間を過ごしてしまいます。さて、仕事仕事・・・

ガレガレの急斜面を上り下り。イメージに見合った風景を、頭の中のフレームに入れながら探します。

ブナの緑は、ほんとうに美しい。この色を求めて登ってきました。

犬越路峠。今日はせっかく稜線近くまで来たので、寄ってみただけ。

時折小雨がぱらつきましたが、気持ちのよい現場仕事でした。

(生物担当学芸員 秋山)

 

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自然観察指導員

今日はお休み番の日曜日でしたが、東京都八王子市で行われた自然観察指導員講習会に参加してきました。
自然観察指導員とは、公益財団法人日本自然保護協会による資格制度で、当館で行っている「博物館のまわりのミニ観察会」も、基本的にこの制度の理念を踏襲しています。
昨日、土曜日にミニ観察会を実施して、その足で八王子は高尾へ向かい、講習会へ。これから自然観察会のリーダーとして活動していこうというみなさんが、観察会の企画運営や実践のトレーニングをするお手伝いをしました。

2日間の講習の締めくくりは、5分間のミニ観察会を実際に行う実習です。緊張してガチガチになりながら、懸命に自然のふしぎやおもしろさを伝えようとする受講者のみなさんから、私もいろいろなことを学び取りました。
来月の当館ミニ観察会は、私も初心にかえって取り組んでみたいと思っています!

さて、カイコはやっぱりほとんどの卵がふ化しています。明日には、給桑を開始します。これから忙しくなりそう!!

(生物担当学芸員 秋山)

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さがみはら宇宙の日 5.26

本年度から月1回開催している新企画「さがみはら宇宙の日」。
本日は、JAXA宇宙科学研究所助教の津田雄一さんを講師にお招きして「イカロスの太陽系飛行、未来の宇宙探査」をテーマに、小型ソーラー電力セイル実証機IKAROS(イカロス)ミッションの概要、開発の歴史、そしてその成果や現状について、お話しいただきました。

お話しに続いて、実際にイカロス君のペーパークラフトで、折りたたみ方に挑戦。難なくクリアした方々は、上級者編の6角形イカロス君にも挑戦していました。みなさんなかなか上手に折れていたようです。今回参加できなかった方は、ご自宅でプリントアウトして挑戦してみてくださいね。(^o^)/

また、実際に膜の素材として使われたポリイミド樹脂の薄さに感心していました。

そして、さらにサプライズ!
何と!! ギネスの認定証もお持ちいただけたので、急きょ特設記念撮影コーナーとなりました。
モデルの津田さん、ありがとうございました。

※ギネス認定の記事は こちら をご覧ください。

今回の参加者数は90人(市内6割、市外4割)でした。愛知県、新潟県、山梨県からもご参加いただきました。
次回の「さがみはら宇宙の日」は、6月16日(日)10:00~金星探査機あかつきトークライブを開催します。こちらも、ぜひご参加ください。

(天文担当 有本)

☆おまけ
完成形のイカロス君と6角形イカロス君は、こちらです。※6角形イカロス君、何だかカラフルなクモの巣にも見えるやら見えないやら(^^;)

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