先生たちもお勉強

今日は午後から市の総合学習センター主催の教職員向けスキルアップ研修会が開かれました。小学校低学年の教科である生活科の中で、自然を対象とした野外学習を取り入れるための考え方や方法について学んでいただく内容です。

前半は室内で、生物多様性の概念を低学年の段階でどのように伝えるかの講義です。その後、外へ出て実際にアクティビティを体験してもらいます。

今回は、自然の色の微妙さを、ごく単純なカラーチャートを使って感じてもらうものと、トランプのマーク(スペードやダイヤなど)に近い形の葉っぱを見つけてみようというものです。

ハートやスペードは、意外とみなさんバッチリと近いものを見つけてくれました。面白かったのは、おまけに入れておいた正方形です。これはないかなーと思っていたら、クズの小葉で菱形のものを、45度傾けて正方形にしてくれました。発想の転換!すばらしいですね。こうしていろいろな形の葉っぱがある、ということに気づいてくれれば、この学習の成果は達成したことになります。難しい概念の解説なんて不要です。

途中で、おなじみのクワキジラミやツタの吸盤などをワンポイントで観察しました。ちょっとクローズアップするだけで、いつもと違った世界が広がっているということを体験してもらいます。

それにしても、家庭訪問や運動会の準備や、忙しい中でも先生方は勉強されています。私たちも、楽しい授業計画を立てていただけるようにもっとがんばってネタを提供しなくてはいけませんね!

(生物担当学芸員 秋山)

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ちょっとハードな渓谷の調査

今日(5/15)は市内緑区の道志渓谷へ調査にでかけました。とある絶滅危惧植物の現況確認が主な目的です。
道志渓谷はまばゆいばかりの新緑です。

容易に人を寄せ付けないところが、この渓谷の自然度の高さが保たれている要因です。渓流を歩いてわたり、岩場をつたってようやく目的地へたどりつけます。

途中、ツチガエルの亜成体がぴょこぴょこと跳びだしてきました。ちょっとハードな調査のなか、気持ちが和みます。

マルバウツギも満開。

ただ、肝心の絶滅危惧種の現況は…あまり芳しいものではありませんでした。まさしく、風前の灯火。県内に残る自生地がほぼこの1カ所という現状を考えると、頭の痛いところです。

(生物担当学芸員 秋山)

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惜しかったね…

今日(5/14)は午前中、市内の木もれびの森へ用事があって行ってきました。道路沿いのイヌザクラにふと目が止まります。イヌザクラは、花や果実、樹皮などどれをとっても面白い撮影素材です。つい、ネタ探しに立ち止まってしまいます。すると…

一見、虫喰いの葉と当年枝ですが…シャクガの仲間の幼虫が枝になりすまし…。でもでも、惜しいことに向きが逆です。胸部背面にあるコブで、仮頂芽(枝先端の冬芽)まで表現しているのに!

惜しかったですね。まあ、人間をだますのが目的ではないので、この子にしてみれば「ほっとけ!」というところかもしれません。ちなみに、帰ってから種名を調べたら、キバラヒメアオシャクという蛾の幼虫のようです。

すぐとなりの葉には、こんなのもついていました。

先日の記事でもひねりを加えた擬態写真をご紹介しましたが、こちらは粉を吹いた感じで鳥のフン(の尿酸の白さ)を意識したのか…。でもこれはいくらなんでも見えません。惜しいどころか、「ムリでしょう!」とツッコミたくなるできばえでした。

それにしても、やっぱりイヌザクラは面白いですね。

(生物担当学芸員 秋山)

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地質学講座初日

今日から地質学講座が始まりました。5月26日を除く6月9日までの毎日曜日、計4回の連続講座です。今年のタイトルは「地質学入門」。

今年は約60名の方にお申し込みいただきました。例年は野外観察があるので、定員30名ほどで開催しますが、今年は全回室内なので、お申し込みいただいた全ての方に参加していただくことにしました。

これだけの大人数で地質学講座をするのは初めて。わかりやすく説明するよう心がけて、地質学の基礎を伝えていきたいと思います。

(地質担当学芸員 河尻)

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雨ニモマケズ

4月19日に下見をした相模湖での野鳥調査(自然環境観察員野鳥部会の調査)は、今日が本番でした。その時にアップしたのと同じ位置から撮影した写真です。

やっぱり緑がはっきりと濃くなっています。

下見の時はいつ雨が落ちてきても不思議でないようなお天気でしたが、今日はかなりはっきりと、雨でした。でも、午前中はなんとかなるだろうと楽観的にとらえて強行突破。そのもくろみは見事当たり、途中、それなりに降りましたが、ほとんどの時間は傘をさそうかどうか迷う程度の小降りでした。

弁天橋での定点調査。キビタキやウグイスの囀りをききながら、のんびりと調査してます。

定点もあと数分でおしまい、という頃に雨脚がちょっと強くなってきました。湖岸の急斜面を登り、終点の千木良(ちぎら)の集落へ着いた頃には本降りに。神社の境内をお借りして、まとめ。

天候的にはちょっと強引でしたが、小雨くらいの天気に外歩きってなんだか楽しいです。なんといっても葉っぱの色があざやかだし、生きものたちもどことなくもっさりと動いている感じで、のんびりと観察ができます。

これから季節が進むと、雨の中の山歩きは汗と雨の両面で濡れてしまうので、ちょっとそれはそれで厳しいですね。雨が心地よい季節はすばらしい!

(生物担当学芸員 秋山)

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地質調査日誌5/10 上野原市,相模原市緑区名倉

5月10日金曜日.晴れのち曇り.

午前中は上野原市で,4月28日に調査した蛇紋岩類の追加調査.前回,調査・資料採集したことによって新たな疑問点が出て来たので,再び調査・資料採集を行いました.ここは,2010年の秋にも訪れているので,今日で3回目です.重要な場所は何回も調査に訪れることになります.

午後からは,相模原市緑区名倉の海底火山噴出物の調査.小さな沢を調査したのですが,沢へ降りる良いルートが見つからず,急斜面を降りることになりました.

調査した沢は写真のような小さな滝が数カ所ありましたが,行く手を阻まれるほどではありませんでした.

(地質担当学芸員 河尻)

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今日からバードウィーク

5/10~16まで、バードウィーク(愛鳥週間)です。お隣の樹林地ではシジュウカラやメジロがさかんに囀っています。ちょっと足を伸ばせば、道保川公園ではキビタキが美声を響かせ、さらに津久井方面ではあちらこちらでオオルリなど姿も声も抜群に美しい鳥たちの競演を楽しむことができます。

バードウィークにちなんでなにか野鳥の写真を…と思いましたが、鳥の写真はそうそう気軽には撮れません。そこで、ちょっとひねって、鳥の「おとしもの」に擬態した虫の写真を…(ひねりすぎ?)

上の写真はクワコの3齢幼虫です。多くの幼虫(イモムシ)が、若齢幼虫の間は鳥のフンに似せた姿をしています。アゲハチョウの仲間にも多いですね。クワコはその後、5齢(終齢)になるとさらに面白い擬態をするのですが、それはもうちょっとしたら、博物館のクワの木についた幼虫でご紹介できると思いますのでおたのしみに。

そして、ひねりついでに、こんな写真も。まさしく、ひねってます!

お見事!!色彩はちょっとオシャレすぎてあんまりリアルじゃありませんが、ポーズはすばらしくリアルです。ただし、なんの種類のイモムシかはさっぱりわかりません。

鳥のフンへの擬態といえば、クモのなかまにもいますね。それは当館のクモオタクであるKさんの領域なので、そのうちアップしてくれることを期待いたしましょう。

(生物担当学芸員 秋山)

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ゴミグモ始めました。

2012年4月28日のブログで紹介したゴミグモ。見た目が面白いので生態展示をしようと思い立ち、ゴールデンウィークに向けて準備を進めていました。最初に採集した個体が一晩できれいな網を張り、よし、すぐにでも展示だ、と意気込んだところで気づきました。真新しい網にはゴミグモの特徴である脱皮殻や食べかすなどの「ゴミ」がついていないのです。そこで早速エサを与えたのですが、食べはしたものの、翌日からだんだん網が壊れはじめ、しかも張り直しをしてくれません。しまいには脱皮までしたのですが、網を張らないのでエサも与えられず、やせ細るばかり。結局、連休直前にもう1個体採集してきましたが、すぐには網を張ってくれず、連休明けまで準備が整いませんでした。と、いう訳で今日からエントランスで展示しています。もし来館された際にはご覧ください。受付脇の壁の前に展示してあります。残念ながら、いつまで展示できるかはクモの気分次第です。なるべく長い期間網を張っていてくれる事を願っています。(学芸班 木村)

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スイカの花?

博物館の前庭にぽつりぽつりと咲き始めたこの花、ニワゼキショウです。

芝生の脇などにもよく見られる外来雑草です。日本に定着してから長い時間が経ち、かわいらしい咲き姿からもすっかり道ばたのアイドルとなっています。ある観察会で、参加者のお子さんに教えられたことがあります。

「この花ね、スイカがなるんだよ。」

えっ、スイカ?こんなちっちゃい花に?と思って目を近づけてみると…。

なんと、確かにありました!もちろん、ウリ科のスイカが、アヤメ科のニワゼキショウに実るはずはありません。でも、見た目は納得。子どもの観察眼に脱帽です。

(生物担当学芸員 秋山)

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臨時のミニ観察会を行いました!

一つ前の書き込みのとおり、本日(5/6)12時から臨時で「博物館のまわりのミニ観察会」を実施しました。20名ほどの方にご参加いただき、楽しい観察会となりました。最初にカザグルマの花を見ていただいたあと、駐車場前のクワの木へ。

そこで、れいのアワアワを見てもらいました。

「この中に何がいるのかな?」

「たまご!」

「きもちわるいもの!」

いろいろな声があがったので、ともかくアワをどけて中身に登場してもらいました。中にいたのは、アワフキムシのなかまの幼虫でした。カメムシのグループだから、セミとも近いなかまだよ、という説明にどうもみなさん納得いかないようす。虫めがねで見てもらうと…。

なんとなく、納得してもらいました。次に、白いもじゃもじゃ。これは黒い紙の上で縮こまった葉っぱをひろげてもらいます。集中してる頭がいっぱい。

もじゃもじゃの付け根にいたのは、なんとこれまたカメムシに近いなかまの昆虫。クワキジラミの幼虫でした。つくりものか抜け殻みたいな形のものが、モゾモゾ動き出してみなさんびっくり。

それから今日も、予定外の観察対象が登場。クワの木にいた大きめのガのイモムシ。

うーん、調べてみたけど、なんだかわからない。でも、ねっとりした雰囲気や、口から糸を吐いているようすは存在感がありました。

元気なお子さんたちが盛り上げてくれて、とても楽しい観察会でした!

(生物担当学芸員 秋山)

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