ドイツから11 歴史を見つめて

24日はボンに行き、ノルトライン・ヴェストファーレン州の博物館教育普及担当者の協会が主催する会議に参加しました。ドイツ語と英語の入り混じったレクチャーや意見交換を聴くだけでしたが、なかなか興味深い内容だっただけに頭が疲れました。
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その後、会場でもある近現代、特に第二次世界大戦以降の歴史を扱う博物館の展示を見学。ドイツは自国の歴史に徹底して誠実に向き合う国です。ユダヤ人や近隣諸国にどんなにひどい行いをしたのか、直視せざるを得ない展示が歴史系の博物館には必ずあります。
中には正視に耐えないような内容もありますが、そこには「子どもの観覧については親が判断すること」というような意味の注意書きがあります。さらにこの博物館で興味深いのは、下の写真。
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わざと高い位置からのぞくようになっていて、子どもに見せるかどうかは親が判断するように作られています。
戦後から現代に至る刺激的な展示を見た後、近くを流れるライン川に出て記念写真。みんないい笑顔です。
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ボンが首都だった1980年代末までドイツ連邦の参議院に使われていた議事堂を見学し、そこで青少年向けのワークショップの方法や、ドイツにおける歴史展示のあり方などについてディスカッションしました。
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すばらしいドイツの2週間ももうラスト1日。というか、これを書いてるのは最終日の夜なので、このブログをどうまとめようか迷っています。まだまだ書き足りないことだらけですが、空港でボチボチまとめを書きたいと思います。
(生物担当学芸員 秋山)

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ある雨の日の博物館

9月23日(日)は、朝から雨。
雨の日は来館者が多い、と言われていますが、この日の朝の入館者数は今ひとつ。
しかし、お天気が安定してきた昼ごろから午後にかけて、急に増えてきました。
市史講演会を聞きに来た来館者も多かったようです。
市史講演
講演会のタイトルは「相模原市の縄文遺跡」
この日は民俗分野の実習生による展示解説もありました。
「子どもは生物分野の方に真っ直ぐに行っちゃって、民俗分野は見てくれない~」と、悩みを抱えつつの解説。
展示解説
展示解説風景。話をしているのは、なんと、資料を提供してくださった方。
水曜会
「水曜会」の皆さんも大活躍。親子連れの興味をぐぐっと引き寄せてます。
この日は、特に大きなイベントがあったわけではありませんが、展示室と大会議室の両方で「何かやってる」事で、博物館に活気があるように感じました。こういう事を続ければ、もっとたくさんの人に、気軽に博物館を利用してもらえるようになるのかも知れません。(学芸班 木村)

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有害生物調査

今日は、休館日でしたが、有害生物調査のため、出勤しました。前回の調査で虫が多く発生したところの殺虫処理も行いました。
部屋に目張りをして、薬剤を充満させます。

普段、人の出入りする部屋も殺虫処理したので、休館日に作業しました。
(地質担当学芸員 河尻)

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ドイツから10 折り紙で交流

9月23日はケルン郊外の紙の博物館を訪ねました。午前中は展示室内で行われた古楽器のコンサートを聴き、その後、館内を見学しました。
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午後は、地元の折り紙愛好グループによるワークショップに参加して、親子連れのみなさんと折り紙を楽しみました。ドイツ人のものづくりの伝統は、折り紙もすんなりと受け入れられているようです。
我々も舌を巻くような見事な技を持ったお年寄りもいます。私たちは新聞紙など折り紙以外の紙で楽しめるものを紹介します。
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兜や、ふだん自分の館で作っている星がウケました。
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言葉が通じなくても紙を通じてコミュニケーションできて、濃密な交流を楽しみました。
いよいよドイツでの行程ものこすところあと2日。ラストスパートに入ります。
写真は、夜のケルン大聖堂です。
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(生物担当学芸員 秋山)

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おかえりなさい

火星探査機のぞみの実物大模型(熱モデル)が、佐賀県立宇宙科学館の企画展での展示が終了して、当館に戻ってきました。
のぞみ
今回は、台座付きとなって以前に増して、なかなかの見栄えがします。
しばらくの間、エントランスホールにて展示することになると思います。
えっ!? しばらくっていつまでかって、、、さぁ~て、いつまでしょうか?
(天文担当:有本)

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ドイツから9 ヴッパタール!

9月21日はデュッセルドルフの産業博物館を訪ねました。あの!ルール工業地帯の基盤を築いた製鉄所の跡がそのまま博物館に整備されています。
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むき出しの配管や油が染み込んだ高炉を間近に見られるので、その手のマニアの方にはたまらないかも。
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あまりにもむき出しで、高所恐怖症のメンバーにはシビアな時間でした。
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この日の夜は、懸垂式モノレール発祥の地ヴッパタールで、そのモノレールに乗ります。
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そして、ドイツ側のご配慮で、なんと当地を本拠地とするダンス集団、ピナ・バウシュ・ダンスシアターの公園を見ました。場所はヴッパタールのオペラハウス。チケットはかならず即日完売という人気公演。すばらしいエンターテイメントを堪能しました。
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それにしても、毎日8時台に出て23時ころホテルに戻る生活。楽しく充実してますが、ハードです。
(生物担当学芸員 秋山)

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雨の日のクモ観察

今日は朝からずっと雨が降っていましたが、こんな日にクモはどうしているのでしょうか?
ジョロウグモの様子が観察できたのでお見せします。
ジョロウだらん
わかりますか?第3脚と第4脚で網にぶら下がって、第1脚と第2脚はだらんとしています。おそらく、上から落ちてくる雨に当たりにくいように、垂直方向から見た表面積を最小にしているのでしょうか。円網を張るクモはよくこういった行動をとります。
ジョロウだらん2
こちらの個体は、第1脚のみ、だらんとしています。まあ、いろいろやり方があるのでしょう。
ところで、ジョロウグモの場合、雨が降り出すと網の半分を第1脚でかき分けて壊してしまう行動が知られているのですが、今回、それは見られませんでした。
そのかわりに発見したのが、これ。
ジョロウ横糸なし
ジョロウグモの網のアップなのですが、横糸が張られていません。「え?横糸あるんじゃないの?」と、思われるかもしれませんが、写真に写っているのは「足場糸」といって、横糸を張る前段階で張られる糸。横糸と違って、獲物を捕らえる粘球がついていません。
朝、網を張り直している途中で雨が降り出したのでしょうか。想像することはいくらでもできますが、真相は謎です。たまたまその場面に出くわさないと本当の事はわからない、というのも生きもの観察の面白さなのだと思います。
ジョロウ横糸
因みにこれは、晴れた日にジョロウグモの幼体が横糸を張っている様子の写真です、足場糸はキザギザと階段状に張られているので横糸と区別できます。(学芸班 木村)

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ドイツから8 街角の自然

先日のドイツ連邦議会の記事で書き忘れましたが、強く印象に残ったことが一つ。それは、ドイツでは公共建築物を建てるとき、コストの2%を芸術面の造作や作品の購入に使わなければならないという不文律があることです。
写真は正面玄関に掲げられたリヒターの巨大な作品。
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2%基準は現在、法律上の縛りがないものの、事実上、社会的な拘束力を持っているそうです。芸術を守り育てようという素晴らしい規範です。その模範となるべき議事堂は、2%を大きく超える予算がかけられています。
さて、今回の交流事業では自然系の博物館へは行かないので、ちょっと自然の話題を一つ
ドイツの、というよりヨーロッパに広く分布するイエスズメ。ニッチはまさしく日本のスズメとおなじです。
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ちょっと違うのは、雄雌の羽色が違うこと。写真の個体はメスです。ニュウウナイスズメに似てますね。次はズキンガラス。市街地でふつうに見られますが、こちらのニッチはハシブトガラスより亜種関係にあるハシボソガラスに近いかも。
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本場のセイヨウタンポポ、と言いたいところですが、ヨーロッパのタンポポは種の定義が日本と違うので、うかつなことは言えません。
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道端にもたくさんの楽しみが散らばっています。
(生物担当学芸員 秋山)

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実習生制作展示の解説①

いよいよ学芸員実習生たちの暑い夏が終わります。
今日と明日、そして来週の土曜日に分野別の展示解説を行い、実習の集大成となります。
ドイツにいるさがぽんは聞けなくて残念!
トップを飾るのは歴史分野の4人組。
開始直前で緊張が高まります。
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今日は普段の週末よりも入館者が少ないようでしたが、みなさん実習生たちの解説をよく聞いてくれました。
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来場者が途切れた時間を利用して、緊急ミーティングも実施。解説シナリオを現場の状況に合わせる経験もできました。
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展示企画の目的達成度を把握するには、展観者の生の声を聞くのが一番だと思います。
実習生たちは対話を通じて、何を学んだでしょうか。
明日は、民俗分野の展示解説を行います。
(歴史担当 土井)

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ドイツから7 なんでこんなに大きいの?

9月20日はケルンのいくつかの博物館を訪ねました。
そちらの話はさておき、やっぱりケルンと言えば大聖堂です。
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昨日の連邦議会議事堂も大きかったのですが、さらに巨大でどこまでも高い!
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もちろん中も尋常ではない広さ。
西日に照らされた大聖堂、とてもきれいでした。
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ドイツ派遣も折り返し点。連日、複数の博物館訪問とディスカッションのハードスケジュールに、派遣団のメンバーも疲れが隠せません。
でも、こうした素晴らしい文化遺産を目にして、そして何よりドイツ側の歓迎のお気持ちと細やかな心遣いに疲れも吹き飛びます。もちろん、美味しいビールとチーズとパンがエネルギー源。まだまだ頑張って旅を続けます!
(生物担当学芸員 秋山)

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