「令和4年度かながわの遺跡展 縄文人の環境適応」展示品紹介その5

現在、開催中の「令和4年度かながわの遺跡展 縄文人の環境適応」で展示している資料を紹介するシリーズの5回目です。

今回は秦野市の「東開戸(ひがしかいと)遺跡」と「稲荷木(いなりぎ)遺跡」の出土品を紹介します。

はじめに東開戸遺跡出土のヒスイ製と琥珀(こはく)製の大珠(たいしゅ)です。いずれも、はだの歴史博物館所蔵です。

ヒスイ製の大珠(左)と琥珀製の大珠(右)

これらは縄文人のペンダントと考えられ、よく見ると穴が開けられています。
この3点はお墓から出土しており、リーダー格の人物が所有していたのかもしれません。

オレンジ:琥珀 緑:ヒスイ(栗島義明2014「貴石利用から見た縄文社会」『季刊考古学』別冊21 雄山閣より作成)

ヒスイ、琥珀は採れる産地が限定され、縄文人の交易を知る上で重要な資料です。特に琥珀を利用したものは県内の他の遺跡からは出土していません。その希少性から秦野市指定重要文化財に指定されています。

続いて稲荷木遺跡です。(写真提供:かながわ考古学財団)
稲荷木遺跡は縄文時代中期~後期の住居が300軒以上みつかっており、長い期間営まれた巨大な集落であったことが明らかになりました。

展示では住居内からみつかった炭化材を展示しています。

出土した炭化材。住居の中から見つかりました。

各部を拡大してみます。

横方向にタケ・ササ類が炭化したものがあります。

 

そして中央部には空白があります。これは、木柱の痕跡と推定され、列状に立てた木柱の間にササやタケを交互に組み込んだものと考えられます。

推定復元(かながわ考古学財団提供)

この構造物は縄文人が住居の壁をどのように作っていたのか考える上で重要な発見です。

また稲荷木遺跡でみつかった住居について、その実物大のレプリカがはだの歴史博物館で展示中です。

はだの歴史博物館:〒259-1304 神奈川県秦野市堀山下380-3  TEL:0463-87-5542
https://www.city.hadano.kanagawa.jp/www/contents/1001000004542/index.html

今回紹介した資料は、県内でも出土例が少なく重要な資料ですので、この機会にじっくりご覧ください。

本展示は3月5日(日)まで開催しています。また、3月4日(土)には展示解説がありますので、ぜひご参加ください。

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博物館収蔵資料紹介~庶民の娯楽 義太夫~

「義太夫(ぎだゆう)」は、三味線(しゃみせん)の音に合わせて太夫(たゆう)と言われる語り手が、物語の人物のセリフやしぐさ、情景などを語っていく民俗芸能です。娯楽が少なかった明治から大正頃にかけて各地の農村に流行し、市内でも特に若者が習って演じた話が伝えられています。

今回取り上げるのは、緑区橋本で義太夫をしていた神田信次郎さん(明治29年[1896]生まれ)が若い頃に使用したもので、神田さんは20歳くらいから義太夫を始めました。そして、地元の郷土史家だった加藤重夫さんが執筆した『橋本の昔話』(昭和60年[1985]刊)に、当時の義太夫の様子について記されており、神田さんも登場しています。

最初の写真は、太夫が語る文句が記された義太夫本で、表に演目が書かれています。また、手前左側は中を開いた状態で撮影しましたが、独特な書体で記されているのが分かります。ちなみに開いたものは「伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)」で、江戸時代の仙台伊達家の御家騒動を題材とし、歌舞伎(かぶき)や人形浄瑠璃(にんぎょうじょうるり)での有名な演題の一つです。                   

 

次の写真は義太夫本をのせる見台(けんだい)で、太夫は見台に置いた本を見ながら語っていきます。二枚目の写真は見台の写真見本で、大阪の義太夫本等の販売所の発行です。こうしたものから気に入った見台を選んだのでしょうか。                  

 

太夫は次の写真のような肩衣(かたぎぬ)を着ており、さらに、袴(はかま)や紋付(もんつき)など他の衣装もあわせて寄贈していただきました。                 

 

先ほどの加藤さんの本によると、義太夫は個人の家を宿(やど)としたり、小屋を組み立てて行うこともあり、次の写真は語っている演目を記した「めくり」で、何かの上演会の際に使ったものではないかとされます。                 

今回は『橋本の昔話』に記事がある橋本地区の義太夫の資料を紹介しましたが、このほかにも、中央区宮下本町・相模原・田名や南区東大沼・新戸地区の義太夫関係資料を保管しています。

なお、博物館では平成22~28年度にかけて、各分野の活動などを紹介した「博物館の窓」を掲載しており、そのNo.61「南区新戸地区の義太夫関係資料」(平成25年度)https://sagamiharacitymuseum.jp/blog/2014/06/07/minzoku_madoh25/#minzoku61として、地元のみならず義太夫の演者として広く有名だった方を紹介していますのでご覧いただければ幸いです。

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「令和4年度かながわの遺跡展 縄文人の環境適応」展示品紹介その4

現在、開催中の「令和4年度かながわの遺跡展 縄文人の環境適応」で展示中の資料を紹介します。

今回は川崎市「下原遺跡」の出土品を紹介します。この遺跡は「しもっぱら」と読み、縄文時代中期~晩期、弥生時代後期、古墳時代前期と複数の時代が発掘調査で明らかになっています。晩期の様相を示す県内でも有数の遺跡であり、今回の展示では土器を中心に展示しています。いずれも川崎市教育委員会所蔵です。

晩期の土器(川崎市重要歴史記念物) 高さ:42㎝

縄文時代によく使用された深鉢形です。

台付鉢(川崎市重要歴史記念物) 高さ:17㎝

こちらは台がついた土器で、Y字状の切りこみがあり、そのまわりに沈線をつけています。

左:鉢形、右:香炉形(どちらも川崎市重要歴史記念物)
左の高さ:14㎝ 右の高さ:11㎝

中にはこんな小ぶりの土器も。左は深鉢をそのまま縮小したような形ですが、しっかりと縄文が施文されています。右は香炉形と呼ばれ、立体的な装飾がみられます。どちらも祭祀で使われた可能性があります。

 

土版(複製) 長さ:16㎝

こちらは「土版(どばん )」(複製品)です。こちらも祭祀の道具と考えられています。
肉厚で歪んでおり、沈線で文様を表現しています。縄文人がなにを表現したかったのか、気になります。

土製耳飾(川崎市重要歴史記念物)

後期の終わりから晩期にかけて使用された耳飾りも展示しています。

下原遺跡では正方形の竪穴住居が3軒みつかっており、いずれも重複しています。おそらくは住居の建て替えが行われたと考えられています。住居数3軒はかなり少なく、当時の人口の少なさがよくわかります。

今回紹介した資料は、県内の縄文時代の晩期を物語る貴重な資料ですので、この機会にじっくりご覧ください。

本展示は3月5日(日)まで開催しています。また、3月4日(土)には展示解説がありますので、ぜひご参加ください。

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3月2日の夕方の空をお見逃しなく!~令和4年度研究機関等公開講座JAXAコース開催しました~

2月25日、生涯学習センターと博物館の共催で「研究機関等公開講座」JAXAコースを開催しました。昨年度から試行的に、プラネタリウムでの全天周映画観覧後に講演、という趣向にしています。今年度は、「はじめての宇宙科学」と銘打ち、小さなお子様から大人まで、みなさんが楽しめるような内容で企画しました。おかげさまでたくさんの方にご参加いただきました。参加者のみなさん、講師の大川先生、ありがとうございました。

はじめての宇宙科学 ポスター

当日の講演は、講師の大川先生も一緒に観覧した全天周映画「ノーマン・ザ・スノーマン~流れ星のふる夜に~」にちなみ、まずは流星群のお話から始まりました。大川先生が撮影した数々の流星の写真を披露いただきました。とっても素敵でしたね☆

そのあとは地球の話から、太陽系、銀河系、そしてブラックホールの話などなど。楽しい質疑応答もたっぷり。そして、最近の夜空のお話・・・それがタイトルの「3月2日の夕方の空をお見逃しなく!」です。

当日のお話から、この天体ショーのお話をみなさまにおすそ分けしますね!

みなさん、最近の夕方の空、お気づきでしたか?日によっては、月と木星と金星が一緒に輝いているのを見ることができました。あの明るい星は何だろう?と気になっていた人もいるのでは?

これは2月21日に、とある職員の自宅から撮影したもの。

神奈川県内で撮影

(解説入り)

そしてこちらが2月26日に、博物館の駐車場から撮影したもの。(だいぶ拡大しないと見えないかも・・・)

博物館駐車場で撮影

(解説入り)

3月2日にはこの金星と木星が大接近するそうです。どうぞお見逃しなく!

この二つの惑星がどのくらい近づいて見えるのか、国立天文台のこちらのページに詳しい解説があるのでご覧ください。

 

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「令和4年度かながわの遺跡展 縄文人の環境適応」番外編 視線を下げると・・・

現在開催中の「令和4年度かながわの遺跡展 縄文人の環境適応」。県内を中心とした優品が多く、時々展示品を眺めています。

今回は、考古担当学芸員から考古資料を面白く見るコツを紹介します。
キーワードは「視線を下げると・・・」

勝坂式の土偶 吊り目がユーモラスです。

こちらは土偶のコーナーの一角です。

 

穴が見えます。

写真ではやや見えにくいですが、中央の土偶には穴があります。これは土偶を作る時におそらく木製の芯棒があり、土偶を焼いたときに燃え尽きて穴として残ったものです。

続いては、こちら。

台形土器と粘土塊

中期の土器の近くにあり、注目は右端の「粘土塊」。土器の材料である粘土を縄文人が握ったものです。

指の跡!

指のあとが3か所ほど確認できます。握るとなると親指かもしれません。どんな気持ちでニギニギしたのでしょうか??

最後はこちら。綾瀬市上土棚南遺跡から出土した土器と磨製石斧です。(綾瀬市教育委員会所蔵)
縄文時代後期のもので、この資料は、磨製石斧を納めた土器が地面に埋められていたものです。展示では発掘調査現場の写真も掲示されています。

土器の中に磨製石斧7本が納められていました。

磨製石斧を横から眺めます。

横から見ると凹凸がなく、滑らかであることがわかります。

刃先をみると・・・

次は刃先をみてみます。刃先が横一直線になっており、かつ光沢があります。
これは縄文人が丁寧に研磨して先鋭な刃先に仕上げた結果です。

土器も視線を下げてみてみましょう。

縄文が施文されています。

土器の上部が失われており、人為的に土器を打ち欠いてサイズを調整したものと推測でき、磨製石斧を埋めるための縄文人の工夫がみられます。

いかがでしょうか。いろいろな視線からモノをみることは意外と発見があり、大変面白く感じます。ちなみに展示室で視線を下して見学されている方をみると、こちらも「おおっ」と思っています。

今回の展示は3月5日(日)までです。まだご来館いただいていない方はぜひお越しください。3月4日(土)には展示解説があり、担当学芸員が見どころを紹介します。

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生きものミニサロン「スギ花粉の正体を見てやろう!」を実施しました

2月25日、毎月恒例の生きものミニサロンを実施しました。今回のテーマは、2月恒例のスギ花粉の観察です。
花粉症の代表的な原因物質であるスギ花粉ですが、煙のように舞っているのを見たことはあっても、実際どんな形なのか見たことの無い人も多いようです。そこで、博物館の公用車の上に降り積もった花粉を自分で採集し、それを顕微鏡で観察してもらいます。
スギの花粉は小さくて見るのが難しいため、練習がわりに前庭で咲いているウグイスカグラの花粉も観察することにしました。

ウグイスカグラの花

顕微鏡観察も野外で行います。プレパラート(顕微鏡観察できる状態にした試料)の作り方と、顕微鏡の使いかたを説明します。

顕微鏡の使い方を説明

ウグイスカグラの花粉を落としたスライドグラスへ、慎重に水滴を落とします。

水滴は1滴で!

ウグイスカグラの花粉は大きくて、すぐに見つかりました!角度によって五角形にも見える、不思議な形です。

ウグイスカグラの花粉の写真(60倍で撮影したものを切り抜き)

そしていよいよ、スギ花粉の採集です。絵筆を使って掃き集めます。

公用車のフロントガラスから採集します

ピント合わせなどに苦労しながら花粉を探します。

ウグイスカグラよりも花粉がだいぶ小さいので、探すのに苦労します

それでもみなさん、次々に見つけてくれました。そして、倍率を上げると、スギ花粉の特徴的な形も見ることができました。

見えるかな?

スギの花粉は、まん丸くて突起が一つあるのが特徴です。

スギ花粉(博物館の室内で撮影したもの:600倍)

昨年は、スギ花粉の飛散量が少なくて採集できなかったため、標本から採った花粉を見ていただくことになってしまいました。しかし今年はたくさん飛んでいるためか(それはそれで困ったことですが)、全員が採集、観察できました。
参加された方にうかがってみると、大人のほぼ全員が花粉アレルギーをお持ちでした。“敵”を知るのも必要と、みなさんしっかり観察していました。
次回は3月25日(土)12時からです。

 

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いよいよ明日2/26は・・・「一日限りのあかつきトークライブ!」当日の配信は・・・

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先日思わせぶりに予告したもの、実はこれだったのです!

ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、中村先生、今年度末でご勇退とのことで、実は博物館の大会議室で、JAXAのあかつきチームのリーダーとして登壇いただけるのはこれが最後のチャンスなのです!

@JAXA


あかつきトークライブに何度もご参加いただいている方にも、そして今まで参加の機会がなかった方にもぜひぜひ聴いていただきたい講演です。

配信につきましても、たくさんのリクエストもいただいているところです。機材などの関係もあり、当日の生配信は予定しておりませんが、講演部分については後日、アーカイブを博物館公式YouTubeチャンネルで公開の予定ですので、当日参加できない方(そしてもう一度お話しを聴きたい方)も、どうぞお楽しみに。

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相模川で探鳥会、第二弾!

2月23日、エコパークさがみはらが主催する相模原市自然環境観察員制度のイベントとして行われた相模川(南区新戸~下溝)の野鳥観察会(探鳥会)のお手伝いをしてきました。1月9日にも実施しているので、第二弾となります。
朝は少し曇っていましたが、集合場所のJR相模線相武台下駅を出て、相模川へ差し掛かる頃には薄日が射し、川に入って間もなく雲が消えていき、気持ちの良い晴天となりました。

気持ちの良い晴天になりました!

河原はすでに春を迎えていて、カワヅザクラがあちらこちらで満開、そこにメジロが蜜を吸いにやってきていました。

カワヅザクラの花の蜜を吸うメジロ

磯部頭首工(いそべとうしゅこう:頭首工は、農業用の取水堰)では、カワアイサのオスとメスがいました。すでにペアになっているのか、ずっと一緒に行動していました。

カワアイサのオス(左)とメス(右)

ペアと言えば、モズも、オスとメスが一緒にいました。ついこの間まで、ギチギチと鳴きながら縄張り争いをしていたのですが・・、モズの繁殖期は早く、そろそろ抱卵に入るころです。

モズのメス(左)とオス(右)

上空を飛ぶミサゴも観察できました。

ミサゴ

ちょうどお昼に、終点の「三段の滝展望広場」に到着。確認した鳥の種類を数えたら、37種となりました。半日でこれだけ観察できるとは、さすが、相模川です。
自然環境観察員制度では、こうした観察会や調査を定期的に行っています。ご興味のある方は、エコパークさがみはらへぜひお問合わせください。

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博物館収蔵資料紹介~信仰や祭りの資料

前回(https://www.sagami-portal.com/city/scmblog/archives/31363)に引き続き、さまざまな信仰に関する資料を紹介します。

お稲荷さんをまつる稲荷講は、市内でも盛んに行われていたことを紹介しました。最初の写真は、稲荷講の際に飾った幟(のぼり)です。稲荷講では、2月の初めての午(うま)の日である初午の日に仲間が宿(やど)に集まって講(こう)を行う一方で、こうした幟を2月1日に宿になった家の庭に立てました。

ここには文政10年(1827)と書かれた幟があり、写真の幟は新しく見えますが以前からあった幟を年代などそのまま新調したものです。寄贈当時(昭和60年[1985])の稲荷講には新しい幟を使い、博物館に古い幟が寄贈されました(収集地・南区当麻)。

 

神社や寺院からはさまざまなお札が出され、ご利益があるようにいろいろなところに飾ります。次の写真は、栃木県の古峯(ふるみね)神社のもので、中央区田名の久所(ぐぞ)集落では講を作って火災除けとして信仰し、枝の先にお札をはさんで、火を使う場所に刺しておきました。                   

 

次の写真の左側には、神棚などにお神酒(みき)を供える徳利(とっくり)が写っており、徳利の口には、細かく割った竹をきれいに編んだ神酒の口(みきのくち)と呼ばれるお飾りが差してあります(徳利、神酒の口ともに収集地・南区磯部)。

そして、神酒の口は形によって名称が付けられていて、真ん中が橘(たちばな)、右側が一つ玉(ひとつだま)です。神酒の口はお飾りとして正月前に購入しました。                  

南区新磯地区には神酒の口を作って売る人たちがいて、前の写真の橘や一つ玉は、昭和60年(1985)に南区新戸(しんど)にお住まいだった、地域で神酒の口を作ることができる最後の方に製作をお願いしたものです。写真はその時の様子です。                  

 

中央区田名八幡宮で1月6日に行われる的祭(まとまち)は、地域の四名の子どもたちが順番に大きな的に向かって弓で矢を射て、その当たった結果で新年を占う行事として有名です。                  

博物館では昭和50年(1975)に寄贈された弓矢を保管しており、田名の的祭は相模原市を代表する行事として、市の無形民俗文化財に指定されています。                    

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2月22日、猫の日に

本日、2月22日はにゃんにゃんにゃん!で猫の日です(=^・^=)
ということで、目つきのよろしい、相模川の河原で見かけた猫(ノネコ)の写真です。

相模川のノネコ

相模川のノネコ

博物館周辺の樹林地内にもノネコが3頭います。野性味があり、人が近づくとすぐに警戒して逃げます。ただ、こうして人になついていないということは、食べ物を人間に頼っておらず、自然界で食料を調達しているということになります。犠牲になっている野生の鳥獣や小動物がいるわけで、生態系保全の観点からは問題です。野外に自由に暮らす猫がいる風景は微笑ましく感じるかもしれませんが、それはあくまでも外来種です。決して望ましい状態ではないことも認識する必要がありますね。
そんな問題提起だけでは味気ないので、猫にまつわる植物について紹介します。身近な雑草の一つ、エノコログサ(別名ねこじゃらし)です。

エノコログサ

実際にこの穂をネコの前で揺らすと、見事にじゃれてくれます。実は、野外で見られるエノコログサには2種類あります。上の写真と下の写真はいずれもエノコログサです。

エノコログサ

こちらは、見た目はそっくりなのですが、アキノエノコログサです。

アキノエノコログサ

その名のとおり、エノコログサが春から穂をつけるのに対して、アキノエノコログサは夏から秋にかけて穂をつけます。穂のつぶつぶの一つを小穂(しょうすい)と呼びますが、この部分が少し大きく、形もちょっと違うのですが、あまりにもマニアックなのでここではスルーします。
こちらは、小穂や、そこから伸びる芒(のぎ:細い針のような毛)が紫色に染まるムラサキエノコロです。河原や乾いた草地などにあります。

ムラサキエノコロ

こちらはキンエノコロです。芒が金色に輝き、とても美しい植物です。

キンエノコロ

そして、エノコログサと言えば忘れてならないのが、五穀にも含まれるアワ(粟)です。アワは古くから利用されてきましたが、その原種はエノコログサと推定されています。

アワ(乾燥標本)

エノコログサの仲間はイネ科で、いずれも花弁(かべん:花びら)がありません。でも、なんとなくかわいらしくて、見つけるとつい触ってしまいます。ススキと並んで、古くから愛されてきたイネ科の雑草と言えるでしょう。

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