室内を走るかわいいクモ

博物館内の壁を、黒い小さなものがスススッと動きました。そっと近づいて見ると、アダンソンハエトリでした。

アダンソンハエトリ

このクモは、ハイカラな種名ですが、ごくごく普通に家の中などに生息しています。そして、その名のとおり、ハエや蚊などの昆虫を主食とする、人間にはとてもありがたい存在なのです。タイトルに「走る」と書きましたが、その動きはピョンピョンと跳ね飛ぶイメージです。ハエトリグモの仲間を、英語で「Jumping spider(ジャンプするクモ)」と呼ぶのも頷けます。

正面から見たアダンソンハエトリ

白黒のツートンカラーがオシャレで、なんとも愛らしい顔つきをしています。
もちろん、クモの仲間は見るのもイヤ、という人も多いと思います。しかし、アダンソンハエトリは、ゴキブリを食べてくれるアシダカグモと並び、人間にとって良い面しか持っていないと言えるクモです。このクモを室内で見つけたら、どうか叩いたりせず「ハエや蚊をたくさん食べてね」と声をかけながら、そっと隅へ追いやってあげてください。
(生物担当学芸員)

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生物分野専門実習4日目(8/26)生きものミニサロン実施しました!

こんにちは、生物分野の実習生です。
今日は待ちに待った、生きものミニサロンの本番です。タイトルは「葉っぱの形と音で遊ぼう!」です。「葉っぱアート」と「葉っぱのスタンプ」「葉の色素を使った看板づくり」「くずの葉鉄砲」「草笛」の各プログラムを実施しました。
サロンに向け朝から看板づくりをしました。
このキャラクターなにかわかるからな?ちょっと難しいかな?私たちの画力ではこれが限界でした。キャラクターを描いたり文字の色を変えるなど目立つ看板になるよう心がけました。

自分たちで書いた看板!

次にリハーサルです。最終チェックをして本番に備えました。

リハーサルの様子

本番20分前…。机や道具の準備をして本番に備えます。近くを通ったお客様には声をかけ呼び込みも同時に行いました。

本番10分前…。本番までもう少し!展示室を歩き呼び込み開始です!子ども連れのご家族が多く、たくさんのお客さんが来てくれそうな予感がします!
いよいよ本番です!計画通りに上手くいく!…わけもなく。やはり問題が盛りだくさん。
しかし子どもたちはとても楽しそうに体験してくれました。私たちも初めてのイベントで不安もありましたが、とても楽しめました。
実際にお客様から「よかったよ」と感想をいただき、心が救われました。

20名以上のみなさんにご参加いただきました

実際に体験をしてくれている様子です!

草笛に挑戦!

葉っぱアートできた!

かわいい!

アートです!

宇宙人!

葉っぱの汁で着色!

お昼を挟んで、1回目の問題点と改善策を話し合いました。無事に改善策が見つかり午後のミニサロンに活かします。

改善点を話合い

いよいよ午後のミニサロンが始まりました。午前の課題として挙がった2グループ間の時間差は無事解決できました。

2回目のミニサロン開始!

午後も真剣に取り組んでくれました!

しっかりスタンプ!

かわいいアートができあがり!

午前は21人、午後は20人、計41名もの方々に参加していただきました。ありがとうございました!!
(生物分野実習生)

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生物分野専門実習3日目(8/25)

こんにちは、生物分野の実習生です。
今日は、明日(8/26)私たちが実施する「生きものミニサロン」の仮のタイトルが決まりました!選ばれなかったタイトルをいくつかご紹介します。

・葉っぱの響きとアート
・葉ート♡
・いろんな葉っぱ

どうでしょうか、タイトルから何をするか少し予想できるかもしれませんね。これらは没となりましたが、出したことに意味があり、この没タイトルから良い案が出るきっかけにもなるということを学びました。正式なタイトルは・・・当日のお楽しみに!

そして、ミニサロンの予行練習をしました。

実際に実施する場所で予行演習

お客さんがいない中での予行演習はムズカシイ・・

話し合いではわからなかった問題点が浮き彫りになりました。午後は改善に向けてみんなで意見を出し合ったり、足りない材料を集めてきました。当日までもう少しですが、協力して、より良いものに更新していきたいと思います。

当日は机を出して実施します!

葉っぱをスタンプ?

葉っぱで音が鳴る?

材料集めの時に、草笛に挑戦!練習をしているとやってきた来館者の親子も一緒に参加してくれました!音を鳴らすのに20分くらい苦戦している実習生に対して、親子は数分で吹くことが出来ていました。完敗、、、実習生の面目が丸つぶれになったので、当日に向けて練習しておきます!

たまたま来館された親子連れに完敗・・

実習生の成長具合にもご注目!
生きものミニサロンは、8月26日12時00分からと、14時50分からのそれぞれ30分、同内容で実施します。ぜひご来館ください。
(生物分野実習生)

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生物分野専門実習2日目(8/23)

こんにちは、生物分野の実習生です。

専門実習2日目は、8月26日に私たちが企画・実施する「生きものミニサロン」の準備をしました。朝から暑く、大雨の中、材料調達のため野外採集に行ってきました。大きい葉っぱから小さい葉っぱ、やわらかい葉っぱや堅い葉っぱまでたくさん採集できました!大変だったけどうまくいくといいなー!

にわか雨の中、材料の採集

持ち帰った資料を使ってテストしてみることに!その結果、植物が破れてしまったり、うまく貼り付けられなかったり問題が山積みです、、、実際にやってみると想定通りにはいかず、計画を練り直し!午後はタイトル決めや、道具の準備をしました。みんなで意見を出し合ってより良いものができるように頑張っています。良いタイトルがなかなか思いつかず苦戦;;NHKの朝ドラっぽいタイトルないかな、、、

材料の葉っぱを押し葉にしています

実習生3人で企画を練っています

気になる生きものミニサロンの日程は~?

8月26日 12時00分~
14時50分~

の2回です。葉っぱといっぱい触れ合えます!予約は不要なのでぜひ来て下さい!今年は夏休みの自由研究はやったかな?やっていないそこの君!おすすめです!おたのしみに!
(生物分野実習生)

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生物分野専門実習1日目(8/22)

こんにちは、生物分野の実習生です。これから数週間よろしくお願いします。

今日は生きものミニサロンとミニ展示の企画と野外採取、標本作製、相模原市の緑地の視察に行きました。今日の実習を通して実物を見て分かることがあるということを実感しました。

生きものミニサロンの材料探し

室内で話し合い

生きものミニサロンとミニ展示の構想については、来て下さる子どもに合わせた企画を考えるのに苦労しました。最初は少し難しい内容を考えてたのですが、30分という時間のなかで実施するということで3人で話し合い、植物の葉をテーマにして進めていくことにしました。

午後からは、中央区区民会議の皆さんと一緒に、相模原市中央区の東淵野辺2丁目市民緑地の視察を行い、併せて野外採取を行いました。実習生それぞれが植物を採取し、新聞紙に挟んで持ち帰りました。採取した植物はこれから紙に貼り付け、資料を作製していきます。

押し葉にしたときの形をイメージしながら採集

余分な泥などを取り除きます

採集した植物をその場で新聞紙に挟みます

とりあえず、仮押しします

今日は相模原市の緑地の視察に同行させていただいたのですが改めて相模原市立博物館と市民の近さを感じました。博物館に戻ってからの勉強会でも一方的な座学ではなく、会議のような、話し合いに近いものでした。

博物館に戻ってから、中央区区民会議のみなさんの座学に参加しました

実習は明日以降も、生きものミニサロン(8月26日実施)とミニ展示の企画、そして採取した植物の標本を作製していきます。

博物館に戻ってから採集した植物を本押しします

(生物分野実習生)

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コブシの果実

博物館の敷地内に植えられているコブシが実ってきました。ゴツゴツした果実が膨らんでいます。

コブシの果実の鞘(ほんのり色づき始めました)

コブシと言えば、春先に咲く花が思い浮かびますが・・

コブシの花(3月に撮影)

じつは、コブシの名はこのゴツゴツした果実が握り拳(こぶし)似ていることからつけられたものです(花のつぼみを拳に見立てたという説もあります)。
この果実、熟してくると、なんとなく不穏な気配が漂います。果実の割れ目から覗く真っ赤な種子が、ちょっと魔物的です。

すでに裂開し始めている果実もあります

さらに熟してきた果実(2021年秋に撮影)

しかし、この果実がさらに完熟すると、それはまた興味深い植物の不思議が現れますので、改めて紹介したいと思います。
(生物担当学芸員)

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すっかり空色になったオオシオカラトンボ

先月、未成熟の黄色いオオシオカラトンボについてこのブログで紹介しました。8月に入り、博物館のまわりの排水溝付近では、すっかり空色に成熟したオオシオカラトンボが見られるようになりました。

オオシオカラトンボ(オス)

シオカラトンボとの見分け方をおさらいです。複眼が黒く見えるのがオオシオカラトンボです。

複眼は真っ黒

シオカラトンボは、空色に見えます。

シオカラトンボ

顔つきが、オオシオカラトンボの方が少しいかつく見えるのは、複眼の色のせいでしょうか。
見上げると、夏雲がモクモク。にわか雨でも降ると少し涼しくなるかもしれませんが、しばらく気配がありません。

夏雲と太陽が競り合っているのか、協演しているのか・・

セミばかりが元気な真夏の昼下がりです。
(生物担当学芸員)

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セイバンモロコシ

このところ、道路際などに大きなイネ科の植物が穂を伸ばしているのをよく見ます。

ススキかな?と思いきや・・

一見すると、細長い葉や穂の大きさなどから、ススキかな?と思われるかもしれません。しかし、穂の1粒をよく見てみると・・

穂の1粒を拡大すると、雄しべや柱頭が垂れ下がって花が咲いていました

どうやらススキとはだいぶ雰囲気が異なります。
ちなみに“本物の”ススキはこちらです。

ススキ

穂を拡大すると、長い毛が密生しているのがわかります。

ススキの穂の拡大写真 長い毛が密生しています

上の2枚の写真の植物は、セイバンモロコシと言います。セイバン(西播)とは、西の辺境というような意味ですが、あまり良い言葉とは言えませんね。ヨーロッパや中東原産の外来植物で、戦後すぐくらいに入ってきたと言われています。モロコシと名につくとおり、トウモロコシの仲間ですが、食用にはなりません。古来親しまれてきたススキと間違えて、十五夜の際に飾らないよう、お気を付けください。
(生物担当学芸員)

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2023年度博物館実習・歴史分野~橋本駅北側の探訪~

皆さん、こんにちは!相模原市立博物館の歴史分野実習生です。
私たちは実習5日目の8月19日に、橋本駅北側にて探訪を行いました。
今回はその中で印象に残ったポイントをご紹介していきます!

8月の猛暑の中での探訪でした

はじめに、駅から歩いて約4分の場所にある「橋本駅ゆかりの碑」を訪れました。
そもそも橋本駅は、横浜鉄道(現在のJR横浜線)敷設当初の駅に含まれていなかったのですが、地元の有志の尽力により設置が決まりました。大正15(1926)年に相澤安右衛門が駅設置の由来を記した碑には、「風かほる駅やむかしの桑のはた」の文が刻まれていました。蚕の餌となる「桑」の文字があることから、相模原は養蚕が盛んだったことが感じられますね。
駅周辺の開発が進むとその碑は相澤家に移され、現在この場所には「橋本駅設置に関するゆかりの処」の碑が残されています。

橋本駅設置に関するゆかりの処

商店街の脇を抜けて緑の中に入っていくと、臨済宗建長寺派で鎌倉市にある建長寺(けんちょうじ)の末寺である香福寺(こうふくじ)が見えてきます。
境内には市指定の保存樹木である樹齢400年以上の「高野槙(こうやまき)」がそびえ立っており、池には鯉や亀が見られる緑豊かな寺です。

橋本山香福寺

また、香福寺近くの国道16号線沿いには、天保14(1841)年に起きた火事が止まったという伝説から、火伏の神様である秋葉大権現が祀られています。

秋葉大権現の石碑

香福寺からしばらく歩くと、町田市と相模原市の間を流れる境川に近い瑞光寺(ずいこうじ)が見えてきます。
瑞光寺は曹洞宗の寺院であり、江戸時代に寺子屋が開かれていました。
明治時代に入ると、旭小学校の前身である本然学舎(ほんねんがくしゃ)が開校し、現在はその記念碑が入口にあります。

瑞光寺の入口

関東大震災からちょうど100年の今年は、地域の歴史だけでなく、地域の災害史や災害に関する伝承に触れてみるいい機会かもしれません。

(歴史分野実習生)

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民具整理をしてみよう!

こんにちは、令和5年度民俗担当の博物館実習生です。

実習5日目の8月17日に、民俗担当学芸員と民俗資料整理のボランティア「福の会」の方々のご指導のもと、民俗資料の整理を行いました。

午前中は資料の収蔵庫への配架作業、午後は資料の受け入れ作業にあたりました。
受け入れ作業とは、寄贈していただいた資料を調査して、管理しやすいようにデータ化することです。

今回は、資料を隅々まで観察して資料カードに情報をまとめました。
資料それぞれに番号を振ることで、わかりやすく保管することができます。
プッシュフォンなどの電話機から江戸時代のおふだ、明治時代のちょうちんまで、民俗分野の特徴である幅広い資料を扱うことの難しさを体感しました。

資料カード作成の様子

 

下の画像は、資料カードに張り付ける写真の撮影の様子です。
きれいに画角に納め、資料が細部まで確認できるように写すことを特に意識しました。

写真撮影の様子

 

資料整理中には「福の会」の皆さんが、電話は手作りのものではないのに「民具」と言えるのか、話し合っていらっしゃいました。
私自身も「民具」の在り方について改めて考えさせられましたが、すぐに結論を出すには時間がかかりそうです。

民具の捉え方は、時代の変遷とともに変化していくのではないでしょうか。
今後も民俗専攻の学生としては、考えていきたいテーマです。

 

今回の資料整理を通して、民俗資料の扱い方を学び、資料の膨大さと情報管理の重要さを痛感しました。
また、資料の管理と市民に還元する活用の両立も、ボランティア活動によって成り立っていると気づきました。

ボランティアの方々が培ってきた技術や知識を間近で見て、少しでも吸収することができたかと思います。
今後の実習では展示を作る作業に入るため、これまでの内容を活かして取り組んでいきたいです。

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