地質調査日誌7/11 道志村道志川上流

7月11日水曜日。晴れ。
道志川の上流に調査に出かけました。
道志川の最上流部です。岩盤の上を直接川が流れているところもありました。
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岩盤は閃緑岩の仲間です。
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はんれい岩もありました。
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一方、道沿いは富士山が噴火したときの噴出物が厚くたまっています。相模原の関東ロ-ム層とよく似ていますが、こちらは層がはっきりしています。
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含まれている溶岩の破片も大きいです。
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7kmほど下ったところで川砂を採集しました。護岸が一部崩れていました。普段は穏やかな流れですが、洪水時は猛威をふるうようです。ここでは3種類の護岸がみられました。崩れたところの右側(上流側)で2種類、下流側で1種類みられます。もしかしたら、ここは繰り返し護岸が崩される場所で、何回も補修を繰り返した結果かも知れません。

下流側で見られる護岸は天然石を四角く切って積み上げたものです。使われている石は玄武岩質の溶岩です。富士山の溶岩の可能性が高いです。下の写真は崩れたところとは別の場所です。
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道志川の上流は富士山の領域であることを、あらためて感じました。
(地質担当学芸員 河尻)

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今日のカイコ(5齢5日目)

カイコは順調に食べ続け、大きさも6.5センチほどになりました。もう少し大きくなり、おそらく、明後日くらいに、早い個体は繭を作り始めるものと思われます。
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5齢になってからの体つきの変化は目を見張るものがあります。毎日観察している職員なども、改めてその成長の早さに驚いています。
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繭を作り始める「熟蚕」になると、それまでまったく逃げたり動き回ったりしなかったカイコが、繭を作る場所をもとめてウロウロと動き出します。そのため、養蚕のクライマックスと言える劇的な時期なのですが、残念ながら展示できません。
まぶし(カイコが繭をつくるために入る部屋)に入って以降、まゆが出来上がるまでは、このブログのみでのご紹介となります。
(生物担当学芸員 秋山)

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メイキング③

JAXA連携企画展メイキング第3報
オープンの3日前となり、展示準備作業も大詰めになってきました。
午前中は、JAXA宇宙研展示室で展示していた“門外不出”の歴代の人工衛星模型を博物館の企画展会場の特別展示室へと移動する作業を、今回の展示作業にご協力いただいている方たちと一緒に行いました。
細長いアンテナ部など、非常に繊細なパーツがあるため、緩衝材での梱包や車両での運搬ができずに、1個1個手持ちで、しかも徒歩で移動する必要がありました。
運良く梅雨の晴れ間だったため幸いしましたが、移動中の様子を不思議なまなざしでご覧になった方もいらっしゃったのではないでしょうか?
ちなみに、こんな感じでした。
移動中
まるで人工衛星まつり??
移動中②
運び込みが完了し、展示ケースに配置するまで一時仮置き
移動完了
こうして、まとまった人工衛星を見比べると、形や大きさがいろいろあることを改めて実感しました。
準備7.11-1
2日前に博物館天文クラブ(SMAC)の方たちに作っていただいたモノクロ写真の巨大なアルバムは、壁一面に整然と貼られました。
準備7.11-3
そうそう、↑この写真に写っているキャスター付きの足場ですが、天井高が5メートルもある特別展示室の天井にスポットライトを配置する時に使う、展示作業の最後の最後に無くてはならないタワーなんですよ。
展示作業に無くてはならない七つ道具と言えば、こんなものがありますね。
七つ道具
本日、ご協力をいただいた皆さま、ありがとうございました。お疲れさまでした。
もう一息です。
会場
(天文担当 有本)

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8分19秒の彼方から

昨日今日と、梅雨明けしたかのような日ざしの暑い日が続いていますが、この日ざしの大元、太陽には今、大きな黒点群が発生しています。
晴れている日には、博物館の太陽望遠鏡で太陽を観察しています。
白色光では太陽の光球を観察でき、全体像ではこんな感じです。
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黒点群を拡大してみると、真っ黒な“暗部”と、暗部を取り囲む“半暗部”がはっきりわかります。
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また、特殊なフィルターを通して見たHα(エイチ・アルファ)像では、彩層(=光球を包む薄い層)の部分を観察できます。
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拡大してみると、黒点の他に、ダークフィラメント(うっすらと暗い紐状の部分)なども確認できます。
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昨日はフレアという爆発現象も現れました。大きな黒点の脇にある白い部分です。
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天気が良ければ、博物館の天文展示室で太陽のライブ映像をお楽しみいただけます。
また、sagapon tv でも太陽のすがたを配信していますので、ぜひご覧ください。
刻々と変化する太陽のすがたは、本当に不思議ですよ。
あっ、そうそう…
今見ている太陽は8分19秒前の太陽のすがたなんですよ。ご存じでしたか?
私たちが見上げる空には、太陽よりもずっとずぅ~っとはるか遠く離れたところで絶え間なく光り輝いている無数の星々。数年~数千年という時空を旅してきたかけがえのないその光。
天の川が見える星空をいつかまた見上げてみたいものです。(あれ?話しがそれてしまったような…)
(天文担当 有本)

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チリイソウロウグモ

クモ類にいろいろな暮らし方をするものがいます。
このチリイソウロウグモは、その名の通り他のクモの網に居候して、そこにかかった餌をこっそりかすめ取って暮らしています。そればかりか、時には家主のクモを襲って食べてしまうという、恐ろしい習性を持っています。イソウロウグモの中には、最初からクモを襲いにかかる物もいますから、それに比べればマシな方ですが、食べ物を盗まれた上に襲われたのでは、たまったものではありませんね。
体長はメス7-9mm 、オス5-9mmという小さめのクモで、クサグモなどの網にいます。
チリイソ野外
チリイソウロウグモ(オス)。奥にジョロウグモ幼体の網が見えますが、クモがいません。もしかして…
チリイソバット
形がわかりにくいので、採集して撮影。習性を知っているせいか、模様といい、ゆっくりとした動きといい、いかにも悪そうなヤツに見えます。

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今日のカイコ(5齢へ脱皮)

いよいよ5齢も中盤、ものすごい勢いでクワを食べています。おそらく、早い個体は3日後くらいには繭をつくり始めるでしょう。
今日は、2日前に脱皮シーンを撮影したので掲載します。
脱皮は頭から。すでに、古い頭部がはずれかかっています。眼状紋がダブって見えています。
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胸部が脱げています。そして三日月紋のあたりはかなり模様がずれていますね。頭部の殻がちょこんとのっかっていてかわいいです。
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アングルを変えて。すでに半分以上が脱げています。
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脱皮完了!
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おっと、頭部の殻がまだのっかっています。このあとすぐに殻を外しましたが、クワをバリバリ食べ始めるまでには、まだ少し時間があります。身体が完全にはできあがっていないのでしょう。数時間じっとした後、ハッと目を覚ましたかのように、突然食べ始めます。
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(生物担当学芸員 秋山)

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神奈川地学会

7月7日(土)の七夕の日,神奈川地学会のミニ巡検に参加しました.
小田原市入生田にある神奈川県立生命の星・地球博物館周辺の箱根火山火砕流堆積物の見学です.
総会,講演会に続いて,15時30分頃から巡検です.
まず,生命の星・地球博物館の横を流れる早川の対岸の火砕流堆積物を見学しました.写真中央の崖の中腹あたりから川に張り出している部分がそうです.これは約2万年前の火砕流によるものですが,写真ではよくわかりません.

次に,昔,溶結凝灰岩を切り出していた石切り場の後へ.この溶結凝灰岩は約6万6千年前の大火砕流のときの火砕流堆積物です.箱根登山鉄道の入生田と風祭の間くらいの場所です.この辺りで盛んに採石していたようです.
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これが採石の跡です.かなり時間が経過しており,埋まったり,表面に植物が生えてわかりにくくなっています.民家の敷地内なので,教えてもらわないと気づきません.
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近寄ってみるとこんな感じ.黒いシミのようなものは,熱と堆積物の重さでつぶれた軽石です.
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採石した時の屑石で石垣が作ってありました.
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近くの神社にある祠にはこの石材が使ってあります.つぶれた軽石など,溶結凝灰岩の構造がよくわかります.
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雨が心配されましたが,降られることも無く,無事ミニ巡検を終えることができました.曇りで日差しは無いものの非常に蒸し暑く,夜のビールをおいしくいただくことができました.
(地質担当学芸員 河尻)

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メイキング②

JAXA連携企画展メイキング第2報
昨日、博物館天文クラブ(SMAC)の方たちに協力していただいて、
企画展の展示品を作っていただきました。
何を作っていただいたかというと?
モノクロ写真を台紙に並べて、
準備②
大きなアルバムができあがりました。
準備③
半世紀ほど前に行われたロケット発射実験などなど、当時の貴重な記録写真の数々です。
その数、およそ2,000枚!! 実験に関わられた方々の若かりしあの日、あの時を振り返ります。
企画展は、いよいよ今週末からオープンします。
(天文担当 有本)

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神奈川大学の学生さんたちの見学

今日(7/8)午後は、神奈川大学理学部生物科学科の学生さんたちが見学実習ということで当館へいらっしゃいました。
展示室を見学した後、生物担当の学芸員から生物資料の収集と保存、活用についてレクチャーを受けます。
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途中、生きもの好きの学生さんが多いだろうということで、カイコも見ていただきました。昨日の観察会のお子さんたちと同じ目をしています。
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その後、バックヤードへ。動植物資料収蔵庫で植物資料の実際の収蔵状況を見学。動植物相を明らかにするインベントリー調査が全国に誇れるレベルで進んでいる神奈川県の状況を中心に解説。
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博物館が展示だけでなく、資料の収集、保管、研究に重点を置いた施設であるということを理解してもらえれば、目的達成です。
(生物担当学芸員 秋山)

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今日のカイコ(ちらほら5齢)

カイコはちらほら、5齢に脱皮し始めました。まだほとんどの個体が眠ですが、脱皮してバリバリとクワを食い始めているのがいます。
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上の写真、頭の大きさの違いがわかるでしょうか。5齢はさすがにでかいです。下になっているのは4齢の眠の個体です。眼状紋が薄くなり、内側が透けてきているのがわかります。
明日までにはほとんどが5齢になっているはず。給桑も本番、ラストスパートに入ります。
といっても、カイコが一生で食べるクワの、じつに9割近くをこの5齢の1週間で食べます。ラストスパートというより、ここまでは助走のようなものですね。がんばらねば!!
(生物担当学芸員 秋山)

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