まどい

最初にお断りしておきますが、「惑い」ではありません。例によってクモの話です。
昨年から気になっていたジョロウグモの卵のうから、ついに子グモが出てきました(卵のうについては1月14日のブログで紹介しました)。そろそろだな、と気をつけていたのですが、今朝、こんな塊があるのを発見しました。
ジョロウのまどい
クモは卵からかえった後、大抵、卵のうの中で1回脱皮します。その後卵のうから出るのですが、種類によってはこうして集団でかたまっている時期があります。これを「まどい(団居)」と言います。
ジョロウグモの場合、移動しながら何度かまどいをつくった後、個体ごとに散っていくのですが、なぜこのような集団をつくるのかはわかっていません。
この「まどい」に息をふきかけたりすると、まさに「くもの子を散らす」状態となり、しばらくすると元に戻ってくるところが観察できます。本当はその場面も写真に撮りたかったのですが、昼ごろには3m近い高さに移動してしまい、できませんでした。
皆さんがもし、「まどい」を見つけたら、ちょっとやってみてください。また、集団が移動するときも「てんやわんや」という形容がぴったりで、中々面白いのですが、残念ながら、これも観察できませんでした。もし出くわしたらぜひじっくり見てみましょう。
さて、この子グモたち。これから夏を越して成長し、10月半ばごろにはあのお馴染みの姿になります。これからもその成長ぶりを時々紹介しようと思っています。
出のう元
これが先ほどの「まどい」が出てきた卵のう。今日は2つの卵のうから子グモが出たのが確認できました。(学芸班 木村)

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地質調査日誌5/25 相模原市緑区名倉

5月25日金曜日。雨
引き続き、石老山礫岩、上野原層、名倉玄武岩の境界を求めて沢に入りました。
雨がぱらつく中、調査を開始しました。
目的の沢に入ってすぐ、小規模な土砂崩れによる倒木が沢をふさいでいました。

少し沢を登ると、また倒木が。
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ここから上流も同じような感じで、小規模土砂崩れによる倒木がいたるところで見られました。
雨脚が強くなり、止む様子もなかったので、午前中で調査を切り上げました。夕方から雨という予報だったので、大丈夫だと思っていたのですが… 予報より天気が悪くなったようです。
車を止めたすぐそばの橋です。何と読むのでしょう?
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答えは「まいとざわばし」。「まえとざわばしで」ありません。地名は難しいですね。
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(地質担当学芸員 河尻)

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コクサグモ

コクサまえ
この小さな赤いクモ、見覚えありますか?
そう。4月17日に紹介したクサグモのようです。
でも、この間「クサグモ成長中」って書いて、もっと大きくなった姿を紹介していたのに…
そうです。このクモは「コクサグモ」と言ってクサグモに非常によく似た別種なのです。
住んでいる場所もほぼ同じ。この写真もクサグモのいるすぐそばで撮りました。
関東地方には、これ以外にもう2種類、クサグモの仲間がいて、どれも良く似ています。大抵はクサグモかコクサグモですが、コクサグモの方が1か月ほど遅れて出現します。
また、成体のサイズもクサグモほどは大きくなりません。といっても、個体差があるので一概には言えないのですが。
クモを正確に見分けるには、普通は顕微鏡を使って生殖器を観察します。ですから、子どものクモを見分ける事は、厳密にはできません。
ところが、この良く似たクサグモとコクサグモ、幼体を見分けるポイントがあるのでお教えしましょう。
腹部の後ろの端(背側)にピンク色の斑がぽつりとあれは、コクサグモと考えて良いでしょう。もちろん個体によって濃い薄いもありますし、他の種が混在していた場合は、確実とは言えません。でも、これでちょっと自慢ができるかも知れません。ほとんどどうでも良い知識ではありますが… (学芸班 木村)
コクサうしろ
んー、この写真で判別できるかどうか…でも腹部後端がピンクがかっているのが、かろうじてわかるでしょうか?

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てんこもり

今朝、出勤途中に博物館お隣の樹林地を歩いていると…。
林床に土がてんこもり。
というか、小山がポコポコとできあがっています。
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明らかに、昨晩あたりにできたもの。誰のしわざ?夜中にモノノケがおままごと?
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いえいえ、これはモグラ塚。アズマモグラが地面に新しくトンネルを掘るときに土を掻き出したものです。10m四方くらいの広さに、5つほどありました。地下ではぜんぶつながっているのかな。
それにしても、体長(頭胴長)は15cm程度の小さな哺乳類ですが、すごい仕事量ですね。
(生物担当学芸員 秋山)

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ミニ企画展オープン3日前

さがぽんもつぶやいてくれていますが、ミニ企画展「自然観察会のはじまり」のオープンまであと3日です。順調に準備も進み、仕上げにとりかかっています。
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展示パネルを設置して、展示ケースに資料が入ると、最終的な位置の微調整や電源確保、ライティングなどの作業を行います。そして、キャプション等、文章や文字の最終チェック、お客様の観覧順路となる導線確認、案内表示の設置、安全確認と、結構仕上げの作業がたくさんあります。
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正直言って、展示をつくるのはとてもきつい仕事です。今回のような小さなスペースの展示でも、その調査や資料調べに費やした時間は膨大です。それだけに、展示がだんだんと形になっていくこの時が、学芸員という仕事の中でも一番ワクワクする瞬間です。
オープンまでもう少し。そして、もうひとふんばりです。
(生物担当学芸員 秋山)

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ネコハエトリの綱渡り

ハエトリ糸ながし1
この写真、ネコハエトリが葉の裏側に逆さまにぶら下がって、お尻の先(それっぽく言うと「腹部先端」)から糸を出しています。クモは、生活のいろいろな場面で糸を使いますが、これもその一つ。地面に下りずに空間を移動するために糸を流し、どこかに引っかかったところで、それを伝って移動するのです。似たような行動は、網を張るクモが、最初の足場をつくるときにも行います。
ハエトリ糸いぼ
お尻の先にある「糸疣(いといぼ)」と呼ばれる(「しゆう」と読むこともあります)器官を一生懸命動かしている雰囲気がわかるでしょうか?
ハエトリ綱渡り
そして、移動開始。お尻で糸を出しながら、頭のがわの糸はくるくるとまるめて回収します。最後には食べてリサイクルまでしてしまいます。
ハエトリ綱渡りぼけ
前の写真はコントラストが強すぎて、糸を丸めているのが見づらいので、これ。
うーん。ピンボケです。でも、糸のふわふわした玉を抱えている様子は伝わると思います。
この直後、後ろから来たジョギングの方に糸を切られ(ゴール!)、ターザン(いや、スパイダーマン)のように糸にぶら下がったまま反対側の草むらに落下しました。
結果的に、さんざん糸を流して待って、2mほどの距離を10秒程度で渡った、というだけの事。それなら地面を得意のジャンプで跳ねていけばいいじゃないか、とも思うのですが、クモなりの事情が何かあるのでしょう。
私としても、そうしょっちゅう出会う場面でもないので、なかなか楽しめました。皆さんも、日差しの暖かい日に、植込みをじーっと眺めながら散歩すると、見ることができるかもしれません。(学芸班 木村)

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き・ん・か・ん・しょ・く

金環食、いかがでしたか?博物館では前日の5月20日、JAXAの阪本教授による直前ガイド(応募者多数のため2回興行!)を行い、当日はUstreamさがぽんTVによる中継と、大忙しでした。
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そして、別働隊として、淵野辺駅南口で臨時に日食観測グラスを貸し出して、通勤通学途中のみなさんと観望しました。
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雲ごしでしたが、すばらしい金環を見て、不思議な薄暗さを体感できました。
それにしても、日食観測グラスを使うと見えなかったり、でも裸眼直視はアブナイしで、難しい観測でした。
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(生物担当学芸員 秋山)

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地質学講座 2日目

今日は先週から始まった地質学講座の2日目です。奥多摩町の鳩ノ巣渓谷へ野外観察に出かけました。曇りで,暑くなく快適に講座を実施することができました。今日も、相模原地質研究会と相模原青陵高校地球惑星科学部のメンバーがお手伝いに来てくれました。
今年の地質学講座のタイトルは「2億年前の海底を歩く」で、今日と3回目の6月3日に約2億年前に海底で形成された岩石を観察します。
今日、1カ所目はチャートの観察です.

すぐ横で、チャートと粘土岩の互層も観察しました。
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渓谷沿いの遊歩道を次の観察地点へ向けて移動。
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砂岩と頁岩の境界のを観察しました。遊歩道沿いではあまり良く露出していないので,対岸の露頭を観察しました。
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最後に砂岩とその間に挟まっている砂岩頁岩互層を観察して、今日の講座は無事終了しました。
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(地質担当学芸員 河尻)

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札幌からのお客様

今日は、札幌市議会から、おさない直也議員が視察に来られました。
地域博物館として市民との協働が活動の軸となっているようすや、JAXAとの連携など、当館の特色をご紹介しました。
天文展示室でイオンエンジンの実験機を熱心にご覧になっています。
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天体観測室では、大型望遠鏡で昼の金星を実際にのぞいていただきました。
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北海道では今、サクラが満開のところも多いそうです。北の大地からお客様でした。
(生物担当学芸員 秋山)

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力仕事

前の記事で、学芸員の仕事は力仕事もあって、と書きました。力仕事というほどではありませんが、今朝は開館前に、午後から行われる民俗講座のための、大会議室のイス並べをしました。
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講座の場合、終了後の片付けは受講生のみなさんにもご協力いただきますが、出して並べるのは職員の仕事です。今回は140席。慣れているので、担当者が列ごとのイスの数を伝えるだけで、あっという間に必要な数が並びます。
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この写真はちょっと前のものですが、常設展示室から移動式ケースを動かしているところです。展示準備では、本格的な力仕事がかなりあります。担当者はたいてい、展示がスタートする頃には腰を痛めています。
どんな仕事もそうですが、やっぱり体が資本ですね。
(生物担当学芸員 秋山)

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