「石のステンドグラス ミニ 〜岩石の偏光顕微鏡写真〜」展を麻布大学いのちの博物館で開催中!

6月10日から、麻布大学いのちの博物館で「石のステンドグラス ミニ 〜岩石の偏光顕微鏡写真〜」を開催しています。

令和5年4月~6月に相模原市立博物館で開催した地質企画展「石のステンドグラス2~偏光顕微鏡の世界~」で展示した模様や色の美しい岩石や鉱物の偏光顕微鏡写真を8組展示しています。この機会にぜひご覧ください。

会期:令和6年8月27日(火)まで
午前10時~午後3時30分
(土・日・祝日ほか休館。詳しくは麻布大学いのちの博物館ホームページで)
会場:麻布大学いのちの博物館
料金:無料

入館:電話による事前予約制 ※入館希望日の3開館日前までに同館へ
☎042-850-2520

麻布大学いのちの博物館

展示の様子

 

(地質担当学芸員)

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ツミとオナガ

市内中央区のある公園に最近、ツミという小さな猛禽類がいついている、と情報がありました。早速行ってみると、10分も探さないうちにオスが現れました。

ツミのオス

ツミはかつて、「幻のタカ」と呼ばれるほど珍しい鳥でしたが、21世紀に入る頃から都市公園などへ分布を広げ、現在では市内の公園や緑地の至るところで繁殖しています。

ツミのメス(別の緑地で撮影)

情報があった場所で繁殖しているかどうかは定かではありませんが、その可能性はあります。なぜかというと、ツミが繁殖していると、たいてい、そばでオナガが繁殖します。この場所でも、すぐそばでオナガが鳴き交わしていました。

オナガ

オナガはカラスの仲間ですが、カラスよりずっと小さく、姿の美しい鳥です(声はカラスの仲間らしくゲーイ、などと鳴きますが)。おそらくオナガは、ツミのそばで繁殖することで、カラスなどの天敵から守ってもらうことを期待しているのでしょう。
オナガとツミは、体の大きさはさほど変わりません。ツミなどのタカは、自分と同じくらいの大きさの鳥を捕食することもあるのですが、どちらかと言うとツミはスズメくらいの大きさの鳥をよく捕らえます。一方でカラスに対してはかなり激しく追い払い行動を取るので、オナガは捕食の恐怖よりも、そちらの効果を優先しているのでしょう。「タカの威を借るオナガ」とでも言いましょうか。
ただし、タカの仲間の巣がカラスに襲われることもよくあるので、果たしてどれほどの効果があるのかわかりません。ツミとオナガの関係性にこれからも注目していきたいと思います。
(生物担当学芸員)

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【新規収蔵資料見どころ紹介②】尾崎行雄と上諏訪の久保田力藏

現在、当館の特別展示室ではミニ企画展「相模原に生まれた偉人 尾崎行雄(咢堂)新規収蔵資料展」を開催しています。

先日のブログに続き、ミニ企画展で展示している郷土の偉人・尾崎行雄ゆかりの新規収蔵資料の担当者的見どころ紹介をします。

特別展示室の奥側で開催中です!

本展示でひときわ存在感を放つ資料が、高さ134.5cm、幅339cmの六曲一隻(せき)の屏風です。今回列品している中で最大級のこの資料は、観覧者の目を引くことと思います。

この屏風は、上諏訪(現在の長野県諏訪市)で「如鳩堂(じょきゅうどう)」という薬局を営み、尾崎と親交があった久保田力藏(くぼた りきぞう)氏が所蔵していたものです。

尾崎咢堂・筆 屏風

多くの著名人と交友関係にあった力藏氏は、尾崎と岩波書店創業者である岩波茂雄との間を取り持ったとも言われています。力藏氏の逝去に際し、関係者が追悼のために寄せた『如鳩堂追悼録』において、尾崎は彼のことを「頭の働らいた人」(原文ママ)、「あれ程友情に厚く信頼の出来る人は私の長い生活の中にも極めて稀である」と評していることから、かなり信頼を置いていた人物であることがうかがえます。

昨年度、上諏訪久保田家が所蔵していた尾崎ゆかりの資料を一括で寄贈いただいたため、このたび代表して屏風をお披露目しました。
このほか、今回展示している和服姿の子どもと桜並木が美しい絵葉書も、尾崎が力藏氏に宛てて送ったものです。

尾崎行雄が久保田力藏宛に送った絵葉書(裏面)

この絵葉書では、描かれているポトマック河畔の桜について「是(これ)は先年私が東京市長として贈りたる三千本の桜にて今は当府の一大名物となり…」と、尾崎が米国に贈ったものであることが直筆で記されています。

尾崎行雄が久保田力藏宛に送った絵葉書(表面)

尾崎の東京市長在任時、米国大統領タフト氏夫人がワシントンD.C.のポトマック河畔に桜の植樹を希望していたことから、日本の桜に感動を覚えたシドモア女史の提案もあって、時の東京市長から桜苗木を贈ることになりました。
その後、明治42(1909)年に日本を発った第1便は虫害によってあえなく焼却処分となりましたが、翌年に万全を期して再度寄贈を行い、約3,000本もの桜が無事に海を渡ったのです。

当館に尾崎ゆかりの資料は多数あれど、尾崎が自筆で桜寄贈について語る資料は大変貴重なものとなっています。

こうして米国ポトマック河畔に植樹された桜は現代にも受け継がれ、開花時期には全米桜祭りが開催されるなど、日米友好の証として親しまれています。本ミニ企画展では、その様子を伝える写真も併せて展示しています。

絵葉書によく似た構図です。(田子哲也氏撮影 2019年)

尾崎が送った絵葉書とそっくりなアングルで撮影された満開の桜や、国を問わずお花見を楽しむ人々の姿が印象的です。

大勢の人がポトマック河畔でお花見を楽しんでいます。(田子哲也氏撮影 2019年)

展示室の“咢堂桜”はと言うと…、八分咲きくらいでしょうか。満開まであと一息というところまで咲いています。

次々と桜が開花しています。(6月7日(金)のお昼頃の様子)

今回の見どころ紹介はここまで、また次回をお待ちください。

(歴史担当学芸員)

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オカトラノオが見ごろに

梅雨目前ながら青空の広がる6月11日、博物館の前庭ではオカトラノオが咲き始めました。

天体観測室を背景に咲くオカトラノオ

数年前までは、建物に近い一角にひっそりとあっただけだったのですが、植栽管理などによって日当りが良くなったせいか、株数が増えて前庭の南側全体に広がりました。今日現在は、まだ通路から離れた群落の中心付近で咲いているだけですが、アプローチ(博物館の建物に向かって左側)をはじめ、通路沿いにも株があります。この週末くらいにはそちらも見ごろになるはずです。

花穂は、小さな白い花の集合です

ご来館の際には、「虎の尾」の名の由来となった、ゆるやかなS字を描いてカーブする独特の花穂の形をお楽しみください(咲き始めはまだカーブしていませんが・・)。
(生物担当学芸員)

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6月9日 カイコ10日目 3齢に脱皮しました!

一昨日から昨日にかけて脱皮前の眠(みん)に入っていたカイコたちですが、今朝見るとすべての個体が3齢幼虫に脱皮していました。

3齢になりました!

2齢幼虫までは黒かった頭部が茶色くなり、体つきも一回り大きくなりました。
体長はもう1.5cmほどに成長しています。

新鮮な桑の葉をあげると、皆でそちらに移動していきます。

新鮮な葉の方へ

さっそく食べ始めました。

葉の裏からこんにちは

展示も随時更新中です。大きくなっていく様子をぜひご覧ください。

1階休憩コーナーそばに展示中です

(動物担当学芸員)

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梅雨入りの前に

6月5日夜、市内のゲンジボタルの名所に行ってみました。今シーズンのピークかな?というくらいの見事な明滅を見ることができました。

ゲンジボタルの明滅(6月5日、15秒の露光で撮影)

博物館の駐車場の一角では、ホタルブクロとヤマホタルブクロが隣り合って咲いています。この2種はとてもよく似ていて、遠目では識別できません。下の写真では、左がヤマホタルブクロ、右がホタルブクロです。両種の識別点については過去のこのブログに書いたので、ぜひそちらをご覧ください。

左がヤマホタルブクロ、右がホタルブクロ

さて、ホタルブクロが咲いているのは、一昨年、ナラ枯れのために伐採したコナラの切り株の周辺なのですが、そこにはこんなキノコが生えています。マンネンタケの仲間でしょうか。

マンネンタケの仲間

そばには幼菌が3本、整列していました。

マンネンタケの仲間の幼菌

このキノコは、老木や切り株などに発生し、分解していきます。有機物を無機物へ分解する重要な役目を持つのがキノコです。そして、キノコとはカビの一つの形態です。もうすぐ梅雨入りとなりそうですが、そんな季節に家の中で発生するとやっかいなのがカビです。しかし、生態系の中では無くてはならない存在だと思うと、ちょっと見方が変わりそうですね。
(生物担当学芸員)

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6月5日 カイコ6日目 2齢に脱皮しました!

6月5日、給桑開始から6日目です。すべてのカイコが2齢に脱皮したので、給桑を再開しました。新しいクワの葉をあげると、すぐにモリモリ食べ始めました。

2齢までは頭が黒いのが特徴です

古い葉には、脱皮殻がついていました。とっても小さくて、長さ2mmほどです。

1齢の脱皮殻(だっぴがら)

靴下を脱ぐような感じで古い皮を脱ぎます。
2齢の期間は短く、だいたい2日ちょっとで次の眠(みん)に入り、今週末には3齢に脱皮します。
(生物担当学芸員)

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【新規収蔵資料展見どころ紹介①】尾崎行雄の筆

6月1日(土)から、当館特別展示室でミニ企画展「相模原に生まれた偉人 尾崎行雄(咢堂)新規収蔵資料展」を開催しています。

このミニ企画展では、令和5年度に受け入れたばかりの“郷土の偉人”尾崎行雄に関する新規収蔵資料を展示しています。以前のブログで告知したとおり、担当者的見どころ紹介をしたいと思います。

展示室の様子

導入部分で尾崎の年表などをご覧いただいた後、まず目に飛び込むのがウォールケース一面に並ぶ扁額(へんがく)の数々です。昨年度受入資料の中でも書画の件数が圧倒的に多く、今回は扁額7点、屏風1点を展示しています。

扁額がズラリ!

揮毫(きごう)にあたって尾崎は雅号(=ペンネーム)を用いましたが、節目ごとに改め、生涯で5つの雅号を称しました。(「琴泉」→「学堂」→「愕堂」→「咢堂」→「卆翁」)
その中でも、「咢堂」を称した時期が大正初め頃から昭和22(1947)年までと最も長く、当館所管施設の市立尾崎咢堂記念館の名称もこの雅号を用いています。しばしば、「どうして尾崎行雄なのに、尾崎“咢堂”記念館なのですか?」とご質問をいただくことがありますので、本展示でも雅号について取り上げました。

展示している扁額で雅号の記載があるものは、いずれも「咢堂」を称したときに書かれたものです。「愕堂」から「咢堂」に改めた理由としては、年をとって心力の衰えを悟ったため「忄(りっしんべん)」を取ったからとされていますが、年齢による衰えを感じさせない力強い筆跡です。

ところで、ご来場いただいた皆さまは、展示室内の一角にこのようなコーナーがあることにはお気づきでしょうか?

「みんなで咢堂桜を咲かせよう!」…?

これは、尾崎が東京市長時代(明治36(1903)-明治45(1912)年)に、米国ポトマック河畔へ桜を贈ったことにちなんだ企画です。“相模原に生まれた偉人”尾崎行雄をより身近な存在に感じていただけるよう、展示をご観覧いただいた皆さまと一緒に作り上げるメッセージボードを設けました。

尾崎の桜寄贈については、本展示でも解説しているため、次回の見どころ紹介で触れたいと思いますが、令和4年度にメインテーマのミニ企画展を開催しましたので、よろしければこちらのブログをご覧ください。

かなり開花しています🌸

写真は6月2日(日)のお昼頃の様子ですが、5分咲きといったところでしょうか。皆さまからのあたたかいメッセージやイラストで次々と開花しています。
ご来場の際は、本展示の感想や尾崎へのメッセージなどを桜型の付箋(ふせん)にご記入いただいて、みんなで咢堂桜を満開にしましょう!

このほかの見どころについては、また後日ブログにて紹介したいと思います。

(歴史担当学芸員)

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6月4日 カイコ5日目 最初の眠に入りました

5月31日の給桑開始から4日目、カイコは眠(みん)に入っています。

うごかずじっとしているカイコ

昨日の後半にはほとんどのカイコが眠に入っていたので、今日の後半から明日にかけて脱皮をして、2齢になる予定です。眠の間はクワを食べず、少し頭を持ち上げるような格好でじっとしています。

少し頭を持ち上げた姿勢になります

頭部の古い殻が前の方へずれてきていて、間もなく脱皮するしるしです。

黒い部分が古い頭部の殻です(2齢の頭部も、脱皮した時には黒くなっています)

眠の期間は、カビなどにとても弱いので注意が必要です。特に1回目の眠の時は、飼育容器に湿気がたまらないよう、フタを開けてカラカラに乾いた状態にします。ちなみに、カイコは容器を開けたままでも決して逃げません。しかし、ふだんは開けておくとすぐにクワが乾燥して食べなくなってしまうので、フタをします。
今日から脱皮が始まる予定ですが、大方のカイコが脱皮を終えるまで、給桑は再開しません。脱皮したカイコからクワを順次あげてしまうと、成長がばらつくからです。
(生物担当学芸員)

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令和6年度地質学講座 2回目

5月26日(日)に令和6年度の地質学講座の第2回目を開催しました。陣馬山麓で神奈川県最古の地層、小仏層群の地層を観察しました。

JR中央線藤野駅からの和田行きのバスに乗車して、終点の和田バス停からスタートしました。

和田バス停から最初の見学地点まで舗装されてはいますが、割と急な坂道を登ります。

最初の見学地点では、小仏層群の砂岩を観察しました。もともと海底で水平に堆積した地層が、地殻変動によりほぼ垂直になり、さらに押し曲げられて緩やかに曲がっている様子を観察しました。

見学地点2では、川岸や川底に露出している地層を観察しました。川岸が切り立っているので降りることができないので、道路から覗き込んで観察しました。海底で堆積した泥の地層の間に多くの火山灰の地層が挟まれています。火山灰の存在から、地層が堆積しているときに頻繁に火山活動があったことがわかります。

見学地点3も、降りることができないので、道路から観察しました。砂と泥が交互に海底で堆積した地層が見られます。泥の地層は砂の地層よりも川の水に削られやすいので、砂の地層だけが削り残されて、川底から突き出ているような感じで残っている様子が観察できました。

見学地点4では泥岩に含まれている黄鉄鉱を観察しました。時間があまりなく十分に観察できませんでしたが、いくつか黄鉄鉱を見つけることができました。

ギリギリでしたが、予定していたバスにも間に合い、天気も良く、無事、この日の野外観察会を終えることができました。

第3回目は道志川の下流域での野外観察会です。

(地質担当学芸員)

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