【博物館収蔵資料紹介~学習資料展の展示資料】

博物館の特別展示室では、学習資料展「昔の小学生―昭和30~40年代の子どもの世界を開催しています(会期・令和5年1月15日まで)。毎年恒例の学習資料展は、市民学芸員の皆様とともに協働で実施しており、今回は、昭和30~40年代をイメージしながら、子どもたちの「学び」「遊び」「家庭生活」をテーマとしています。

最初の写真は、当時の教室の様子を再現したジオラマです。机や椅子(いす)を見ると、思わず懐かしいとか、こんな感じだったなと思い出される方も多いのではないでしょうか。                   

 

次の写真は、いろいろな教材です。手前にメートや筆箱、下敷きなど、奥側には右側に習字セット、左に木琴(もっきん)などがあります。                 

 

今も昔も子どもたちの遊びにはさまざまなものがありますが、次の写真はメンコやけん玉、壁には竹馬やフラフープが見えています。そして、二枚目の写真には、子どもたちが夢中になって遊んだ野球盤や人生ゲームといったボードゲームをはじめ、トランプやおはじき等を紹介しています。                  

 

実は、学習資料展で展示した数々の資料はすべて博物館の保管で、こうした学校や教育、遊びや娯楽に関する資料も積極的に収集しています。そして、学習資料展は博物館の収蔵品を活用することも一つの目的としています。

会場では、このほかにもさまざまな資料を展示しています。現代の子どのたちにとっては学習の資料となり、大人たちにはちょっと懐かしい資料をぜひ実際にご覧いただければと存じます。

〇会場では同時開催として「ようこそ!竹細工ワールドへ!!~久保沢最後の籠屋さん~」も開催しています。併せてご観覧ください。

〇学習資料展では関連事業も開催しています。関連事業や休館日の情報など、博物館のホームページ等でご確認ください。

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猛禽類もつらいヨ

12月10日、今月の生きものミニサロンで使用する材料採集の下見に市内の何カ所かのフィールドを巡りました。今月は、毎年恒例になっている。「自然の素材だけでクリスマスリースを作ろう」(12月17日実施)です。リースの台になるクズのつるの状態や、果実の実り具合などを確認するのが目的でした。
さてそんな中、南区下溝でチョウゲンボウの若い個体を見つけました。堤防の法面(のりめん)上空を低く飛んでいます。

低く飛ぶ若いチョウゲンボウ

そのうち地面に下りて、刈り込まれた草地をゴソゴソしています。

地面でなにやらゴソゴソ

そして飛び立ち、近くの杭に止まりました。どうやら、コオロギの仲間を食べているようです。

小さな昆虫を大切そうに食べています

チョウゲンボウはハヤブサの仲間で、小鳥やネズミ、昆虫などを主に食べます。近くにはハクセキレイなど小鳥がたくさんいるのに、どうやらこの若いチョウゲンボウはそうした鳥のハンティングはまだ苦手なようです。昆虫に栄養が無いわけではないのですが、ドタバタと動き回っているわりに獲物は小さく、効率的とは言えません。寒くて動きが鈍くなった昆虫で糊口(ここう)をしのいでいる、というのが実情でしょう。
そして、上空ではこんなバトルが。ハイタカが、ハシブトガラスの攻撃を受けていました。カラスの仲間は、自分たちの存在を脅かす可能性のある猛禽類に対して、徹底的にスクランブルをかけて攻撃します。

ハシブトガラス(上)とハイタカ(下)

大きさが二回りほど大きなハシブトガラスから執拗(しつよう)に攻撃され、ちょっとハイタカがかわいそうになりました。

執拗に攻撃を受けています

肉眼で見えないくらい高い空へ上がったところで、ハシブトガラスはやっと諦めたようです。
勇猛果敢(ゆうもうかかん)なイメージの強い猛禽類ですが、生きていくのは大変だということを実感する光景でした。

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秋深まる上溝周辺を歴史探訪

現在放送中のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」が話題となり、ドラマの舞台である鎌倉時代がどのような時代だったのか、興味をお持ちの方も多いのではないでしょうか?
実は相模原市内にも、鎌倉時代から戦国時代の“中世”の名残を感じられる場所がいくつもあるのです。

先日、「鎌倉殿の13人関連 上溝周辺 中世さがみはら探訪」という中央区役所とのコラボイベントを実施しました。
JR上溝駅〜番田駅の約4kmのコースを歩きながら、中世にまつわるスポットを見て回る歴史探訪です。
麻布大学いのちの博物館で現在開催中のミニ展示「鎌倉時代初めの相模原の武士団 横山党」で取り上げている鎌倉殿の13人の1人でもある和田義盛ゆかりの藤橋や和田坂を紹介するとあって、博物館から歴史担当職員が解説役の1人として参加しました。

紅葉色づく宝光寺の境内

上溝さくら公園では、秋~春にかけて桜が楽しめるのです。

当日は事前に募集した19名の方が参加されました。約3時間かけての探訪では、みなさん興味深く解説を聞いたり、探訪先や移動の途中で気になることを熱心に質問したり、和気あいあいと楽しく参加いただけたようです。
近隣に住んでいる参加者の方でも初めて訪れる場所や、今まで知らなかったことがあったようで、地域の新たな魅力を発見できたのではないでしょうか。

市内最古の板碑を保管している安楽寺

また、安楽寺(中央区上溝)のご厚意により、市内最古の板碑(いたび)を間近で見学させていただきました。これには参加者のみなさんのみならず、イベントスタッフの職員一同も大感激でした。
郷土の歴史に親しみ、地域と繋がる貴重な機会となりました。

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進化する「学びの収穫祭」展示発表

学びの収穫祭の展示発表が、博物館1階エントランスで続いています。中でも多くの来館者の注目を集める発表が、大野村いつきの保育園の「ありのぎょうれつ」です。12月8日、発表を作った年長組「わだつみ」のみなさんが来館してくれました。

大野村いつきの保育園年長組のみなさん

そして、展示を追加してくれたのです。なぜかというと、この展示には感想を書いてもらえるように紙が用意されているのですが、そこに「ありはどうやって歩くのですか?」という質問があったので、アリを探して観察し、さらに調べて、発表を作ってきてくれたのです。

質問に答える展示を追加

質問のほかにも、園児のみなさんの豊かな発想や、取り組んだことのすばらしさを伝えてくれたものもあり、園児のみなさんはとても嬉しく誇らしげに読んでいたそうです。この日も、初めて訪れた保育士さんへ一所懸命展示解説をしていました。

自分たちの取り組みが展示されていてとても嬉しそうでした

自分たちで作った「ありの俳句」も読み上げています。

俳句もすばらしい!

この展示発表は12月16日までとなっています。ほかにも小学生から大学生、さらに、博物館を拠点に活動する市民の会によるさまざまな分野の展示を見ることができます。ぜひご観覧ください。
※照明が無い場所の展示のため、16時以降は暗くて文字や写真が見にくくなります。明るい時間帯にご来場ください。

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竹細工展の展示解説をおこないました

現在開催中のようこそ!竹細工ワールドへ!!~久保沢最後の籠屋さん~では、
11月13日に展示解説をおこない、多くの方にご参加いただきました。

今回の展示解説では、学芸員が簡単に説明した後は、民俗資料整理ボランティアである「福の会」のメンバーが参加者の皆さんと自由にお話するという、少し変わった形をとっています。

というのも、今回の企画展を開催するきっかけとなったのは、令和2(2020)年に、緑区久保沢で平成3(1991)年まで籠屋として活躍していた宇佐美幸治さんの竹細工道具が一括で寄贈されたことでした。
博物館では、その資料を「福の会」と継続的に整理作業をおこなってきました。
今回の展示は、企画から展示準備まで「福の会」の皆さんと協働で作り上げ、整理作業の成果の披露を兼ねて開催しました。

「福の会」メンバーは黄色のベストを着用

当日は、竹細工道具をご寄贈くださった宇佐美さんのお孫さんもいらっしゃり、おじいさんが熊手を作っていた時の様子などをお話ししてくださいました。

次回の展示解説は、12月11日(日)14時から15時30分です。

ご興味ある方はぜひご参加ください。

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尾崎咢堂ミニ企画展関連講演会、好評のうちに終了しました!

12月4日(日)、博物館1階エントランスにて展示中のミニ企画展「尾崎行雄(咢堂)の桜と相模原市の桜」の関連イベントを開催しました。
「東京市長時代の尾崎行雄-日米友好の桜寄贈を中心に-」と題して、講師に一般財団法人 尾崎行雄記念財団理事・事務局長の石田尊昭(たかあき)さんをお招きした講演会です。
尾崎関連の講演会もほかの対面イベント同様、ここ2年間は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で実施できなかったため、久しぶりの開催となりました。

講師を務めた石田尊昭さん

ミニ企画展にちなみ、東京市長時代の尾崎の業績や桜寄贈の経緯のほか、尾崎行雄記念財団が建設した尾崎記念会館(現・憲政記念館)のあらましや政治家・尾崎行雄の信念について、石田さんならではの貴重なお話を熱弁いただきました。
講演後には来場された方からたくさんの質問があり、約2時間のかなりボリュームがある内容となりました。

たくさんの方が来場されました。

今回の講演会の様子は、博物館公式YouTubeチャンネルでダイジェスト版を後日公開する予定です。
講演をもう一度お聞きになりたい方や、お越しになれなかった方はそちらをご覧ください。

また、ミニ企画展「尾崎行雄(咢堂)の桜と相模原市の桜」は12月18日(日)までです。こちらもまだご覧になっていない方は、展示期間中にぜひご来館ください。

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落葉後に目立ってきたのは

12月に入りました。このところの冬らしい低温のせいか、博物館周辺の落葉樹がだいぶ葉を落としました。

落葉したミズキ

こうして葉が落ちると、目立ってくるものがあります。例えば・・

コブシの休眠芽(花芽)

来春咲く、コブシの花芽です。冬の間から、次の芽生えに備えている葉や花の芽を、冬芽(ふゆめ)と呼びます。正確には、こうした「次に開くために準備された芽」は、1年中あり、葉がついている間も、じつはあります。そのため、植物学の用語では、休眠芽(きゅうみんが)と呼びます。
サンショウの冬芽は、2本対になったトゲと、休眠芽の下の葉痕(ようこん=葉が落ちた痕)とセットで、妖精が腕を広げているようにも見えます。

サンショウの休眠芽

こちらはヌルデの休眠芽と葉痕です。

ヌルデの休眠芽

どことなく、哺乳類のナマケモノを思わせます。
休眠芽だけでなく、葉が落ちると「こんなところにも実ってたんだ!」という果実も目立ちます。こちらはカラスウリです。

カラスウリの果実

紅葉のシーズンが過ぎようとしていますが、まだまだ楽しみがたくさんありますね!

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【博物館収蔵資料紹介~さまざまな食の焼き物】

食生活に係わる焼き物の道具は、碗や皿をはじめとして現在でも私たちの身の回りにたくさんありますが、今回取り上げる甕(かめ)や壺(つぼ)などもかつての生活では欠かせないものでした。両者は同じような器で、一般に口が広く、胴体が下に向けてすぼまったものは甕、口が小さくて胴体が膨らんだものが壺と言われます。

甕の代表的なものが水甕です。最初の写真は、自然・歴史展示室内に復元した清兵衛新田の開拓農家の中にある水甕(民家の外に出して撮影)で、以前、井戸から手桶で水を汲み、水甕に運ぶのが日課だったことを紹介しました。この水甕も昭和23年(1948)頃に水道が引かれるまで使っていました(収集地・中央区清新)。                 

 

次の写真は中央区宮下本町から収集されたもので、これにラッキョウを漬けたり、その前は醤油(しょうゆ)を入れたりしていたとのことです。ただ、この形のものは焼酎(しょうちゅう)甕と言われることも多く、この家でも甕で焼酎を買って飲んでいたという話を聞いているそうです。                    

 

かつて梅干しは欠かせない漬物の一つで、屋敷には必ず梅の木があり、その梅の実を土用干しにして各家で梅干しが作られていました。次の写真の甕は梅干しを作る時に使用し、一~二升の梅とシソを入れて漬け込みました(中央区田名)。                  

 

壺は口が小さくて密閉性が高く、長期間の保存に適していました。次の写真は茶の葉を入れる茶壷で、お茶の木は宅地の境や道路の端にあり、その葉を摘んで自家製の茶を作りました。せっかく熱を加えてもんだ茶葉が湿気ないように、こうした壺に入れておきました(緑区橋本)。                   

 

最後に紹介するのは酒を入れた徳利(とっくり)です。酒は酒屋から買って飲み、買う時の容器として酒屋から徳利を借りることが多く、これを「通い徳利」と言います。写真は南区下溝で、これで酒を買いに行きましたが、もともとは酒屋が貸したものではないかとのことです。ちなみに徳利に書かれている「瀧(滝)沢」は、昭和の初め頃まで南区当麻で造り酒屋をやっていました。                  

 

これまで数回にわたり、竹・木・金属・土といった素材ごとの容器に注目して紹介してきました。もちろん博物館ではほかにも数多くの資料を保管しており、これからもさまざまな観点から紹介していきたいと思います。

 

 

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雪虫の正体は

朝や夕方、雪虫の飛ぶ姿が目立つようになりました。

ふわふわと飛ぶ雪虫

雪虫は、アブラムシの仲間の成虫です。ただし、種類はよくわかっていません。アブラムシの仲間は、春から夏までは、成虫も翅(はね)を持たず、メスだけで卵を産んで繁殖する単為生殖(たんいせいしょく)をします。しかし、秋の終わりごろ、こうして翅を持つ成虫が現れて、オスとメスが交尾して有性生殖をします。

茎にとまる雪虫 ふさふさは長め

11月下旬のこの時期は、上の写真のように白いフワフワが長くふさふさした成虫がよく見られますが、11月の初旬から中旬にかけては、白いフワフワが短めのものが多く見られます。

11月の初旬によく見る、ふさふさが短い雪虫

これは、時間が経って伸びていったというより、種類が違うものと考える方が自然です。なぜなら、アブラムシの成虫がそんなに長く生きるとは思えないからです。
もっとも身近な園芸害虫としてもよく知られるアブラムシですが、じつは種類すらよくわかっていないものが多いのです。

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生きものミニサロン「落ち葉の色や形をもっと楽しもう!」を開催しました

11月26日、毎月恒例の生きものミニサロンを行いました。今回のテーマは「落ち葉の色や形をもっと楽しもう!」です。足元に落ちてしまうと、なんとなく「賑やかな色合いだな」くらいで見過ごしてしまいがちな落ち葉に注目して、絶妙な色合いや形をみんなで楽しもうという内容です。まずは、ミニサロンの定番プログラムの一つ、落ち葉の色相環を参加者みんなで作りました。

みんなで力を合わせて・・

最初に、それぞれ違う色や形の落ち葉を2枚拾ってもらい、それを集めて、用意したボードの上に並べて環(わ)をつくります。その際に、隣同士の葉が似た色になるように並べます。足りない色を足したりしながら、みんなで力を合わせて完成!

完成した落ち葉の色相環全員バージョン

おお!と声があがるくらい、美しい環ができました。さらに、それぞれのオリジナルで色の環をつくってもらいました。これがまた面白いことに、赤い色にこだわる人、黄色の渋い色合いを集める人、1枚の葉の中で色がわかれるものを集める人など、みなさんそれぞれに違った色の環を作ってくれました。

赤にこだわった環

渋めの色合いでまとめています

虫の食べ痕がおもしろい!

それぞれに違った美しさを実感

続いて、今度は葉っぱを使って「花」を作ってもらうことにしました。これもまた、様々な花ができました。

ゴージャスな花ができました!

立体的に組んで作ってくれた人も!

地面の葉っぱの色合いの多様性を感じながら、楽しく葉っぱのアートを楽しみました。最後に、お気に入りの葉っぱを持ち帰ってもらおうと、シリカゲル入りの袋をお渡しして終了しました。シリカゲルで急速に乾燥させると、色が残りやすいためです。。

落ち葉をお持ち帰り

次回のミニサロンは12月17日(土)12時からとなります。お楽しみに!

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