紅葉は終盤になって加速

11月24日、市内緑区の山あいを走る道路脇へ、ツメレンゲの開花状況を確認に行きました。ツメレンゲは神奈川県のレッドデータブックで準絶滅危惧種とされています。相模原市内はツメレンゲの生育地が多いのですが、それでも、確認できているのは5カ所程度です。

ツメレンゲ

すでに花はピークを過ぎていました。今年は少し花期が早く終わったようです。
早いと言えば、ゆっくり進んでいた紅葉が、ここにきて加速していました。道志川沿いはまだ十分にきれいでしたが、落葉している木も多くありました。

緑区青根の道志川

ここ数日、晴天で暖かい日が続いたかと思ったら、雨が降って寒くなったので、落葉してしまったのかもしれません。

緑区青山の道志川

博物館の近くでは、イチョウがだいぶ黄金色に染まっています。

博物館近くのイチョウ

そろそろ、紅葉もラストスパートと言えそうです。

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「四季折々の贈り物」が放映されました

11月20日、TBSテレビのミニ番組「四季折々の贈り物」が放映されました。当館で、小学生の姉妹とドングリを拾って工作をする様子が紹介されました。

博物館駐車場での撮影の様子

2分ほどに短く編集されていましたが、実際の撮影は、1時間ほどかかっています。ドングリを観察している時も、昨年芽生えた幼植物などを観察したり、かなり本格的なドングリ観察会となりました。工作も、ドングリこまとやじろべえを作って、顔などもかわいらしく描きながら、ほんとうに楽しそうに遊んでくれました。

ドングリやじろべえとこま

番組の中では紹介されていませんが、ドングリやじろべえを作っている時に、ちょっとした事件が起きました。やじろべえの頭にしたクヌギのドングリから、いわゆる「ドングリ虫」が頭を出して出てきたのです。

穴を広げて出ようとするドングリ虫(シギゾウムシの仲間の幼虫)

出演した姉妹のお姉さんで小学4年生の子は、じつは虫が苦手。虫だとわかった瞬間、悲鳴を上げて逃げ出しました。でも、撮影していた部屋を1周すると、またやじろべえのところへ戻ってきます。虫が頭を出した!と悲鳴を上げながら部屋を1周、体が出てきた!と部屋を1周、体が全部出て落ちた!と部屋を1周・・結局、すぐに戻って来てはじっくり観察していました。

体を出したドングリ虫

それは、まさに驚きが興味をかき立てていく様子でした。観察会でも、苦手、怖い、ちょっと気持ち悪い・・そんなものをじっくり見られたときほど盛り上がります。トラウマになるような体験は逆効果ですが、驚きは観察会の重要な要素だということを改めて気づかせてくれました。
番組は1回限りの放映で再放送やネット配信はありませんが、今後の自然観察会に生かせる印象深い撮影となりました。

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学びの収穫祭2日目が閉幕しました。

11月20日(日)、学びの収穫祭2日目が終了しました。
このブログでもイベントの様子などをお伝えしてきましたが、この日は「学芸員が語る相模原」というテーマで、民俗分野と地質分野の学芸員がみなさんの前でお話しました。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響でしばらく開催できませんでしたが、久々の学芸員講話復活です。

地域の伝説を知ると、身近な場所も違って見えることも。

民俗分野の学芸員からは、淵野辺地域を中心に淵辺義博(ふちべよしひろ)の伝説が残っている「博物館の近くにある伝説」についてお話しました。

相模野台地の成り立ちは…?

また、地質分野の学芸員は、「火山がつくった相模野台地~相模野台地の地形と地質~」と題して、相模野台地の成り立ちやその構成についてお話しました。
どちらも、興味を持って来場された方々からの質問があり、より講演の内容が深まったと思います。

この講演会は、大野中公民館YouTubeチャンネルで以前配信した内容と一部関連していますので、今回お見逃しの方はそちらをご覧いただければと思います。

その場で質疑応答できるのが、対面イベントの醍醐味ですね。

みんなで調べて学んだ成果の発表会「学びの収穫祭」、2日間のイベントデーはこれにて無事閉幕です。
発表者の方、準備・片付けなどお手伝いいただいた方、そしてご来館いただいた方、今回関わってくださったすべての方に心からお礼申し上げます。本当に、ありがとうございました!
なお、展示発表は、引き続き12月中旬まで行っています。
まだご覧になっていない方は、ぜひ展示期間中にお越しください。

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博物館収蔵資料紹介~釜と鍋

籠(かご)や笊(ざる)、次いで桶(おけ)を取り上げましたので、今回は釜(かま)と鍋(なべ)です。釜や鍋は金属製で、火にかけて煮炊きに使われます。

最初の写真は、胴の回りに鍔(つば)が付いた「羽釜(はがま)」で、飯を炊くのに使われました。鍔の部分が羽のような形をしているところからの名称で、かまどに釜をのせると、ちょうど鍔で止まるようになっています。御飯が煮える時に吹き上がる蒸気を抑えるために、重くて厚い木のふたがセットになっています(収集地・中央区弥栄)。                 

 

次の写真は、藁を編んで作った釜敷き(かましき)です。羽釜の底は、火の熱が伝わりやすいように丸い形をしているために不安定なうえ、火の煤(すす)が付いています。それで下に置くには敷物が必要で、釜敷きはなくてはならないものでした。鍋を置く時にも使われました(中央区田名)。                 

 

次の写真の大釜は、昭和10年(1935)頃に五軒の家で共同購入したもので、これで自家製の味噌を作るための豆を煮ました。下側の炉(ろ)の部分は、大釜に合わせて手製したそうです(緑区東橋本)。ただ、味噌や醤油は古くから売っているところもあり、農家なら必ず作るといったものでもありませんでした。                

 

釜と並んで煮炊き用の道具として代表的なのが鍋です。次の写真は両脇に吊るすための弦(つる)が付いたもので、弦があるためかまどではなく、囲炉裏(いろり)に下げて使うことができます。この鍋は少し小さい蓋(ふた)もあり、後ろ側に写っています。鍋は大正末から昭和にかけてサツマイモなどを煮るのに使い、当時は家族の人数が多かったので、一日で一鍋の芋を食べてしまったと言います(中央区上溝)。                    

 

米や豆などを炒る時に使う、素焼きの平たい土鍋を焙烙(ほうろく)と言いますが、次の写真のような浅くできている鍋も焙烙鍋や単に焙烙と呼び、煮るのではなく炒ったり焼いたりするのに使いました。また、小麦粉を水でこねて平らにしたヤキモチを焼いたりもしました。この焙烙は、第二次世界大戦以前にサツマイモや餅などを焼く時に使っていたそうです(中央区上溝)。                    

 

ここまで地域で昔から使われてきたものを紹介してきましたが、最後の写真は、昭和30年(1955)代に南区南台で使用された電気釜です。博物館では、羽釜から電気釜を使った炊飯へといった、暮らしの大きな変化の状況を物語る資料として、戦後の高度経済成長期以降に登場したさまざまな家電製品なども収集しています。                

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虫こぶを観察

11月20日、市内の小学3年生がご家族と博物館へ「これはなんですか?」と質問に訪れました。

持ち込まれた2種類(と思い込んでいた)の虫こぶ

「卵?」「虫?」「タネ?」・・いったいなんなのか、想像がつきにくいですね。
これは二つとも、虫こぶ(虫えい、あるいはゴール)と呼ばれるもので、植物体の一部が肥大して「こぶ」になっています。このような虫こぶができる原因は、アブラムシやハエ、ハチなどの昆虫や、ダニなどが奇主(ホスト)となる植物になんらかの刺激を与えて、細胞を異常増殖させるようです。今回持ち込まれたのは2種類で、こちらはクヌギハケタマフシと思われます。

クヌギハケタマフシ

こちらは、ヨモギクキタマフシです。

ヨモギクキワタフシ

虫こぶの説明をすると、中がどうなっているのか興味を持ってくれたので、割ってみることにしました。クヌギハケタマフシは、中に小さな空洞ができていて、その中に幼虫がいました。これは、クヌギハケタマバチの幼虫と思われます。

クヌギハケタマバチの幼虫

ヨモギクキワタフシも割ってみたのですが、こちらは中身のとらえどころがなく、なかなか虫のいる部屋がわかりません。そこで、葉についている方の虫こぶが丸くわかりやすかったので、こちらを割ってみました。すると、中に蛹(さなぎ)が入っていました。

この蛹は、じつは・・

小さくてつかみどころのない虫こぶで、割るのに苦労していたためうっかりしたのですが、後から調べてみると、これはヨモギクキワタフシとは別の種類の虫こぶで、ヨモギハシロケタマフシというものでした。中身は、ヨモギシロケフシタマバエの蛹と思われます。

茎を覆う大きなワタが、ヨモギクキワタフシで、下側の葉裏についているのは、ヨモギハシロケタマフシでした!

申し訳ないことに、持ち込んでくれた小学生に間違ったことを伝えてしまいました。

虫こぶを実体顕微鏡で観察

同じヨモギの茎と葉に別の虫こぶがつくのはよくあることで、虫こぶとしても植物体のどこに着くかは重要なポイントです。注意深く観察しなければと、改めて思いました。

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相模原市内でアカギカメムシ!

11月19日、学びの収穫祭を開催中の博物館に、市内南区で採集されたアカギカメムシが届けられました。

アカギカメムシ

このカメムシは、日本では南西諸島などに生息する大型のカメムシ(写真の個体の体長は約25mm)です。時々、本州などで見つかることがありますが、物資の移動などに伴って来るか、あるいは長距離を移動している可能性があるとも言われています。『神奈川県昆虫誌2018』(神奈川昆虫談話会)によれば、県内での確実な記録は2件しかありません。博物館の把握している情報としても、相模原市内では初記録となります。
カメムシ類をはじめ、全国各地でこうした南方系の昆虫の確認記録が徐々に増えているようです。これが偶発的なものなのか、分布を北へ広げる傾向の端緒なのかはまだわかりません。いずれにしても、この重要な記録となる採集個体を持ってきてくれたのは、南区在住の白神(しらが)俊介君(小学4年生)です。

お父さんと一緒に採集したそうです!

学びの収穫祭を観覧中の本村賢太郎市長ともパチリ。

本村賢太郎市長と

アカギカメムシを捕まえて、「珍しいかも?」とひらめいてくれた俊介君の「生きものセンサー」に感謝しつつ、提供してくれたアカギカメムシを博物館の資料として登録させていただくことにしました。

【追記】(11月22)
このブログ記事をご覧になった、県内の昆虫の分布情報に詳しい方から、相模原市内の緑区で2016年と2021年にアカギカメムシの記録があることを教えていただきました。上記の記録は市内「初」ではありませんでしたが、市内で分布が広がりつつあることを示す重要な記録であることは間違いありません。アカギカメムシの今後の動向に注目していきたいと思います。情報を下さった方に心よりお礼申し上げます。

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学びの収穫祭 1日目

11月19日、学びの収穫祭 1日目の口頭発表会を行いました。

新型コロナウイルス感染症の影響で3年ぶりの開催となった口頭発表会では、7件の発表があり、多くの方にご聴講いただきました。どの発表も会場から質問があり、盛会となりました。

また、エントランスでは展示発表も始まりました。

圧巻は,これまでで最年少の発表者である大野村いつきの保育園の園児の皆さんによる「ありのぎょうれつ」です.

「ありのす」を描いた、たもつ君が早速来館してくれました

本村市長も早速,観覧に訪れました。

今年の展示発表は30件あり、日頃の皆さんの活動や研究成果がまとめられています。展示発表は12月中旬まで開催していますので、ぜひ、熱意のこもった発表をご覧いただければと思います。

2日目の11月20日は「学芸員が語る相模原」というテーマで,民俗分野と地質分野の学芸員がお話しします.

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【今秋からリニューアル】尾崎咢堂記念館パンフレット

このたび、尾崎行雄(咢堂)の生誕地・本市緑区又野にある尾崎咢堂記念館のパンフレットを約10年ぶりにリニューアルしました。

博物館エントランスで配架中!

今回のリニューアルにあたり、デザイン・色・大きさ・内容をすべて一新しています。
写真も以前のパンフレットよりたくさん使用して、尾崎の生涯や記念館についてわかりやすく紹介しているので、ぜひご覧いただき、尾崎咢堂記念館へ足を運んでいただければと思います。

尾崎の功績のひとつである米国への桜寄贈をイメージし、背景には花びらが舞っています。

このパンフレットは、当館や尾崎咢堂記念館で配布しており、市内公共施設などでも順次配布を予定しています。

また、当館で現在開催中の尾崎行雄を紹介するミニ企画展の制作にあたった「尾崎行雄を全国に発信する会」主催の「第20回尾崎行雄(咢堂)杯演説大会in相模原」が11月19日(土)に開催され、そちらでも今回リニューアルしたパンフレットを配布する予定です。お越しになる方は手に取っていただけるとうれしいです。
なお、演説大会はどなたでも無料でご入場いただけますが、希望者多数の場合は入場が制限されることも予想されますのでご注意ください。詳しくは「尾崎行雄を全国に発信する会」ホームページをご確認ください。

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当館で撮影されたテレビ番組が放映されます!

11月20日(日)午後1時57分から、TBSテレビ(地上波)で放映される番組「四季折々の贈り物」は、当館で撮影されました。約2分間の短い番組の中で、生物担当の学芸員が、出演者である小学生の姉妹とドングリを拾い、工作をしています。

コナラのドングリ

クヌギのドングリ 今回の工作の“主役”です

再放送やネット配信が無い番組なので、どうぞお見逃しなく!

仲良しの姉妹と楽しく撮影しました

撮影時の楽しいエピソードなどもあるので、放映後にこのブログで紹介したいと思います。

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旧藤野町の嵯峨遺跡からみつかった土器を展示中です(11月27日まで)。

中山間地域文化芸術作品展「Into the Forest-モノづくりの森へ」にて、旧藤野町の嵯峨(さが)遺跡出土の土器を11月17日(木)から11月27日(日)まで展示しています。
会場は相模湖交流センターアートギャラリーです。

この作品展は「森」をテーマにしたもので、出土した縄文土器は「土のかたち」のコーナーにあります。

展示の様子

近くには熊谷幸治氏の陶芸作品があります。これは現代と縄文時代の造形を比較する目的があり、さらには地域の貴重な遺跡を知ってもらう意図があります。
今回展示した土器は、土器の文様がよくわかるものを選定しました。いずれも今から約5,000~4,800年前の土器です。

立体的な装飾が特徴です。

 

嵯峨遺跡は中央道相模湖インターの西に位置しており、相模湖インターの拡張に伴い1986年に発掘調査され、縄文時代中期や平安時代の住居跡や土器、石器が見つかりました。

嵯峨遺跡の位置(右下◎:相模湖交流センター)

嵯峨遺跡の発掘調査区。南に延びる緩斜面に遺跡があります。

縄文土器の出土状況。白いスタンドに展示した土器です。

芸術作品との共演は、学芸員としても大変興味深く貴重な体験ができました。芸術の観点からも縄文土器を見ることができますので、みなさまもぜひご覧ください。

中山間地域文化芸術作品展「Into the Forest-モノづくりの森へ」(市ホームページ)

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