オキナワスズメウリ

博物館近くのフェンス沿いに、かわいらしい果実が実っています。
オキナワスズメウリです。

オキナワスズメウリの果実

未熟な果実は黄緑色に白い筋が入り、それもかわいらしいのですが、それが徐々に真っ赤に熟します。

熟した果実

白い筋はそのままで、果実の色の変化を楽しむことができます。

色のグラデーションを楽しめるオキナワスズメウリの果実

名前のとおり、もともとこのあたりに自生する植物ではないため、外来種です。食用にもなりません。でも、このかわいらしい果実を見ていると、なんだか気持ちが和みます。

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大学の見学実習を行いました

10月15日、市内南区にある北里大学海洋生命科学部の学芸員養成課程の学生さんたちが来館しました。学芸員資格を取得するための講座「博物館資料保存論」の現地授業(見学実習)のためです。毎年、こうした見学実習を何度か受け入れますが、今回のように60名を超える規模のものは大変珍しく、複数の学芸員で対応しました。まずは、大会議室で当館の活動や資料保存の概要について説明します。

前半の講義の様子

続いて3班に分かれ、バックヤードツアーを行います。1つの班は、搬入経路や空調設備を見学します。

空調機械室内

館内全体の空調を整えるための機械や、ずらりとならんだパイプ、バルブなどに圧倒されます。さらに写真で伝わらないのが音です。グオングオンとうなりを上げる様子は、建物が一つの生きもので、その心臓の中に入ったかのように思えて迫力があります。
もう1つの班は収蔵庫の見学です。普段入ることのできない収蔵庫に入り、単なる倉庫ではない収蔵庫の機能などを現地で学んでもらいました。

収蔵庫に入ります

残りの1班は展示を自由見学してもらい、ローテーションしていきました。
展示は博物館の一面であり、その裏側に様々な機能や、蓄積された資料が存在することを実感してもらえたと思います。

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【本日から開催!】市史ミニ展示「キャンプ淵野辺の返還」

本日10月15日(土)から、市史ミニ展示「キャンプ淵野辺の返還」を開催しています。

展示全体の様子

平成30(2018)年2月に完了した『相模原市史(※)の編さん事業ですが、その後も市史に関連する出来事や編さん過程で収集した資料を、市史ミニ展示という形で広くお伝えしています。

今回のテーマは、ここ、相模原市立博物館の現所在地にもゆかりがある「キャンプ淵野辺の返還」です。

博物館の周辺一帯は、軍都計画の一環で東京から移転してきた「陸軍機甲整備学校」が第二次世界大戦後にアメリカ軍に接収されて「キャンプ淵野辺」となりました。その後、昭和40年代からさかんに行われた返還活動が結実して昭和49(1974)年に返還され、現在の姿になります。
展示では、「キャンプ淵野辺」の当時の様子や、返還活動が行われた際の相模原市の取り組みについて紹介しています。市内の身近な場所がかつては全く異なる施設として利用されていたことや、現在に至るまでの歴史的背景等をこの展示を通じて知っていただければと思います。

普段は市立公文書館が管理している歴史的公文書(昭和51(1976)年)の現物は見どころのひとつです!

来年1月9日(月・祝)までご覧いただけますので、多くの方のご来館を心よりお待ちしております。(毎週月曜日と、11月4日(金)、24日(木)、12月28日(水)~1月3日(火)は休館日です。)
また、展示をご覧になってさらに相模原市の歴史に興味をお持ちいただいた方は『相模原市史』も是非お手に取ってみてください。

※『相模原市史』は、博物館2階市民研究室や市内の図書館等でご覧いただけるほか、市役所行政資料コーナー(郵送対応可)、市内一部書店(相模原市書店協同組合加盟店)でお買い求めいただけます。

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博物館収蔵資料紹介~電話機の移りかわり

電話というと、ほんの少し前には一家に一台もしくは複数の電話機がありましたが、今では個人がスマートフォンを持ち、固定電話がない家も多くなっています。

ちなみに中央区上溝で電話交換業務を開始したのは大正10年(1921)で、当時の加入は55戸、また、南区下溝の古山(こやま)地区では、昭和8年(1933)頃にサツマイモを共同で出荷するための組合を結成したのに伴って電話が引かれ、電話番号は麻溝11番だったそうです。

最初の写真は、有線放送の電話機です(収集地・中央区上溝)。有線放送は特定の地区を対象として放送するもので、地区内に電話することもできました。上溝では昭和32年(1957)に上溝農協の運営で始まり、農協からのお知らせや地域の学校の運動会などの情報も流されました。有線放送は、電話機が広く普及する昭和40年代まで市内各地で見られました。                  

なお、この電話の側面には、地元にある観音堂から出されていたお札が張ってあり、それだけ大事なものだったことがうかがえます。                  

 

次の写真は、昭和37年(1962)12月製造のダイヤル式の黒電話です(中央区田名)。最近の子どもたちは、指をダイヤルに入れて回してかけることが分からない、という話もよく耳にします。                  

 

ダイヤル式から押しボタンに変わったのがいわゆるプッシュホンで、この電話を寄贈していただいたお宅では、平成元年(1989)頃に使っていたそうです(中央区由野台)。そして、二枚目の写真は電話にファックス機能が付いたもので、こうした電話も広く普及しました(南区磯部)。皆様の家にあった電話はどのようなものだったでしょうか。                  

 

最後の写真は同じ方から寄贈された携帯電話で、右側のものは充電器の卓上ホルダーが付いており、平成11年(1999)11月の購入です(緑区原宿南)。電話は家庭にあるものから携帯電話の名の通り、個人で持つものに変わっていきましたが、まだ高速データ通信や多機能化までは至っていません。                   

 

今回紹介した電話機のように、近年は、私たちの身近な生活や道具の変化の速度がかなり早くなっています。こうした状況を、具体的な資料を通じて示していくことも博物館の役割の一つであり、今後も必要な資料を収集していきたいと思います。

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秋の深まりを感じる鳥、ノビタキ

市内の畑地を歩いていたら、杭やススキの茎から小さな鳥が、飛んでは止まる動作を繰り返していました。秋が深まるこの時期、そんな行動をするのは、渡り鳥のノビタキです。

ススキにとまったノビタキ

標高1000メートルを超える高原や北日本の草地で繁殖し、冬は南の地域で過ごす鳥です。その渡りの途中に市内の河川敷や、広く開けた耕作地などに立ち寄ります。この場所では、2羽のノビタキが地面に下りて採食したり、近くの有刺鉄線にとまって羽づくろいをしていました。

つかず離れず行動していた、2羽のノビタキ

色合いは地味ですが、ヒタキの仲間らしく、大きな目と長めの脚が特徴です。
そして、この色合いは日没近くの西日が似合います。

ノビタキ

これからまたどれくらいの距離を旅するのでしょう。しっかり栄養をつけて、この先の長旅に備えてほしいですね。

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今年も開催しました,「川原石のふしぎ」

10月8日に「川原石のふしぎ〜自分だけのお気に入りの石図鑑をつくろう〜」を開催しました。このイベントは相模原市教育委員会の旧石器ハテナ館の主催事業で,相模原市立博物館の学芸員が講師を務めました。

まずは,旧石器ハテナ館近くの相模川の川原で石の説明です.

一通り説明が終わったら図鑑用の石を採集します。図鑑はA4サイズぐらいの箱に石を貼り付けて作ります.大きな石だと収まりきらないので,小さめの石を採集します.手頃な大きさで,特徴が表れている石を探すのは,意外と難しいです.

旧石器ハテナ館に戻り,箱の中に石を木工用ボンドで貼り付けていきます。川原の石は上流から運ばれてきたものなので,そのふるさとの山々をイメージした絵を描いて石図鑑を作ります。

今年も,それぞれ,素晴らしい図鑑ができました。

参加された皆さんはそれぞれに工夫して図鑑を作っていました。

今回の図鑑作りをきっかけにして,いろいろな場所にある岩石に興味を持ってもらえればと思います.

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身近で楽しい自然観察を

10月8日、博物館で「さがみはら緑の風(自然観察指導員相模原連絡会)」の観察学習会が行われました。博物館で毎月実施している生きものミニサロンのサポートスタッフを務めてくれている自然観察指導員もいることから、指導員初心者を対象に定期的に開催する学習会に協力し、学芸員が講師を務めています。
今回は、「得意な”定番”を持とう!」を合言葉に、観察会のプログラムとして「すぐにできる持ちネタ」を身に着けてもらうことをテーマにしました。40分ほど室内学習を行った後、早速博物館の駐車場へ出ます。まずは、定番プログラムの「落ち葉のグラデーション」を体験してもらいます。

全員で力を合わせて葉っぱの環を作ります

これは生きものミニサロンでも度々取り上げているテーマで、参加者が拾い集めた落ち葉を、似た色を隣同士に置いて、環(わ)を作ってもらいます。その手順を少し工夫することで、スムーズに、「落ち葉の形や色の多様性を感じ取ってもらう」という主旨が参加者へ伝わります。完成はこちら。

マンホールに合わせて環を作りました

立ち上がって真上から見ると、ハッとするほど美しい環ができています。
じっくり見ても、中にはこんな複雑な色合いの落ち葉もあることに驚きます。

複雑で鮮やかな色合いに驚きました

他にも、季節ネタということでドングリやジョロウグモをテーマに観察をしました。
そして、午後は受講者が自分で考えたプログラムを披露します。その一つは、葉っぱに描かれた不思議な模様についての観察です。

“字書き虫”に模様が付けられた葉

「字書き虫」などと呼ばれる、昆虫の幼虫の食痕です。これもよく見てみんなで意見を出し合うことで、食べ方や、幅の変化など、様々な気づきがありました。中には、字書き虫(ハモグリバエの仲間)の正体を見つけた人もいました。

法則性が無いようで、ある?

さらに別の受講者は、つる植物をテーマに観察しました。いろいろな巻き付き方がある中で、ヤブカラシの巻きひげに注目してみると・・

中央で巻き方向が逆転!

なんと、コイル状の巻きひげの真ん中で、巻き方向が逆転しています。これは偶然そうなったのではなく、どの巻きひげも同じように逆転していました。どのようにコイルができるのか、なぜ逆転しているのかなど、全員で考えました。
もちろん、答えは人間の想像の域を出ませんが、そうして身近な自然の不思議に気づくことが大切なのです。それぞれのプログラム終了後には、全員で感想や改善点など話し合い、どうやったら参加者にもっと楽しんでもらえるか検討しました。
学習会終了後、全員が「ほんとうに楽しかった」と感想を述べてくれました。その楽しさを、これから地域の自然観察会や生きものミニサロンで再現してくれたら嬉しいですね。

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当館学芸員が新採用職員研修で講師を務めました!

10月4日(火)に、令和4年度10月期の相模原市新採用職員研修で当館の学芸員が研修講師を務めました。

テーマは「相模原の歴史」です。

皆さん熱心に受講しています。

本年6月から10月までに入庁した行政職、技術職合わせて15名の新採用職員に向けて講義を行いました。
研修初日最後の1コマでしたが、皆さん集中して熱心に受講していたため、講師の話にも熱が入ります。

30分間の限られた時間内で、地形の成り立ち、遺跡の分布、近世以降の新田開発や養蚕、軍都計画、終戦後の人口急増とまちづくり、そして旧津久井郡4町との合併により、平成22(2010)年に政令指定都市へ移行して現在の相模原市に至るまで、特徴的な歴史上の出来事を解説しました。

本市の歴史の中でも特徴的な軍都計画について解説しています。

当館では公民館等で催される各講座に学芸員を派遣することがありますが、実はこうした人材育成の場でも各専門分野の学芸員が講師を務めています。

郷土の歴史について知ることは、市民への対応やまちづくり等に役立つ知識として日々の業務に生かすことができます。
この日の講義が相模原市の将来を担う新たな職員にとって、市の歴史への興味・関心を深めるきっかけになればと思います。

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博物館収蔵資料紹介~糸繭の商い

中央区上溝は横浜開港に関わり、明治3年(1870)に生糸及び繭などの取引を目的に市(いち)が開設されました。毎月三と七の付く日(月に六回)に開かれる市には糸や繭を売買する商人をはじめ、日用品や雑貨等を売る者が各地から集まり、大変な賑わいを見せました。

前回のブログでは蚕の種(卵)を専門に作る「種屋」の道具を紹介しましたが、博物館では、こうした糸や繭を扱う糸繭商(いとまゆしょう)の道具も保管しています。

最初の写真は、自然・歴史展示室の五テーマ「地域の変貌」に展示されているパネルで、右側には大正8年(1919)に行われた盛大な祭りの様子が写されています。この時に作成された書類によると、上溝に住んでいた糸繭商は29名にのぼり、そのほかに他地から来る者が63名というように、地元だけでなく、大変多くの糸繭商が上溝に集まってきました。                  

 

二枚目の写真は、「繭蚕糸売買証票(まゆさんしばいばいしょうひょう)」(収集地・中央区上溝)で、商人はこのような許可書を持参していました。ちなみにこの証票の発行日は明治20年(1887)4月1日です。                 

 

次の写真は、紙製の枡の「紙枡(かみます)」(収集地・中央区田名)です。枡と言うと穀物や酒などの液体をはかる木製のものを思い浮かべますが、こうした商人は市だけでなく農家を訪れて直接、繭などを買い付けることもあり、折りたたんで持ち運びできる紙枡は便利でした。紙枡は、大正時代後期に繭をはかる単位が容量から重さに代わり、使われなくなりました。写真の資料には一升五合と記されています。                 

 

糸繭商にも上溝に店を出しているところと、ソクザシなどと呼ぶ仲買いを専門にする者がいて、以下の三枚の写真は、いずれも糸や繭を扱う商店で使われていたものです。

最初と二枚目の写真は目方をはかるための秤(はかり)です。最初のものは皿に繭などを乗せ、二枚目の方が大きい秤で重いものをはかることができます。やはり農家に糸を買い付けに行く時に持って行きました。                                     

 

最後の写真はこの商家にあった大きな戸棚で、主に生糸を入れるのに使っていました。この戸棚は博物館の「地域の変貌」に展示しています。また、自然・歴史展示室の二テーマ「郷土の歴史」の明治時代のコーナーには、上溝市場開設に関わる書類なども展示されていますので、最初に紹介したパネルなどとともに見学いただければと思います。                 

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意外ときらびやかな、イネ科の雑草

秋も深まり、博物館お隣の樹林地では、こんな植物が元気に咲いています。

人の目線では見過ごしてしまいそうな植物ですが・・

チヂミザサと言いますが、咲いている、と言っても、花がわかりにくいですね。それもそのはず、イネ科の植物なので、花弁はありません。しかし、ルーペを使ってよく見ると、この花は結構きらびやかです。

チヂミザサの花

さらに拡大してみると・・

雌しべの柱頭が羽根のように広がります

花弁はありませんが、雌しべの柱頭が二又に分かれ、ふさふさと羽毛のように広がっています。拡大してみれば、という条件付きですが、この花を見ると思わず「ゴージャス!」と言いたくなります。
ところで、このチヂミザサは、ひっつき虫(果実が動物の毛などにひっついて運ばれる植物)です。花が終わり、果実が実ると、芒(のぎ:イネ科の花や果実につく針状の毛)などにベトベトした粘液がつきます。

実ったチヂミザサ 芒がベトベトしているのがわかります

靴や服につくと、払ってもバラバラになって落ちにくい、ちょっとやっかいなひっつき虫でもあるのです。

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