【市民学芸員かわら版】世界自然遺産・知床「流氷と生き物たち」

3月5日(水)、当館1階情報サービスコーナー入口横が定位置の『市民学芸員かわら版』を最新号に掛け替えました。最新第17号は「世界自然遺産・知床『流氷と生き物たち』」と題し、平成17(2005)年に世界自然遺産に登録された知床で、流氷とともに生きる動物たちを紹介しています。

最新第17号「世界自然遺産・知床『流氷と生き物たち』」

『市民学芸員かわら版』とは、当館の博物館ボランティア「市民学芸員」の情報発信チームが作成する壁新聞です。企画立案から情報収集、記事のレイアウトまで全て市民学芸員が行い、自然・歴史・文化に関する幅広いトピックスについて、市民目線を取り入れながらわかりやすく情報発信しています。
また、来館する皆さまに新鮮な情報をお届けし、様々なテーマをお楽しみいただけるよう、不定期に最新号を発行しています。令和6年度中に発行した『市民学芸員かわら版』は、今回で4つ目となりました。

さらに、本年度の情報発信チームは大忙し!昨年に当館で開催した「学びの収穫祭」でも『市民学芸員かわら版』バックナンバー展を行い、11月23日の展示発表コアタイムでは記事の内容だけでなく、日頃の活動内容なども来場した皆さまにご紹介しました。

コアタイムの様子(令和6年11月23日)

さて、今回の最新号「世界自然遺産・知床『流氷と生き物たち』」ですが、こちらももちろん市民学芸員自ら構成し、寒さ厳しい知床の大自然で暮らす生きものたちの写真も、情報発信チームメンバーである市民学芸員が撮影しました。

相模原市域では見ることができないたくさんの動物について取り上げていますので、ぜひ最新号もご覧いただきたいと思います。

(歴史担当学芸員)

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オキナグサ(栽培)が開花

3月5日は二十四節気の啓蟄(けいちつ)でした。ところがお天気は一日中冷たい雨模様。虫などがはい出てくるような陽気からは程遠い天候でした。それでも春は着実に進んでいます。博物館で系統保存のために栽培しているオキナグサが開花しました。

オキナグサ(3月6日)

これは、市内の自生地で採種したもので、残念ながら一般来館者のみなさんが入れる場所にはありません。オキナグサは県内でも相模原市内の一部地域と丹沢山麓、箱根にそれぞれわずかに自生地が残るだけの絶滅危惧種です。
こちらは絶滅危惧種ではありませんが、博物館お隣の樹林地に自生しているシロバナハンショウヅルを差し穂で増やしたものです。

シロバナハンショウヅル

花はまだまだ先ですが、新芽が伸びてきました。現在はオキナグサの近くのフェンスに絡ませていますが、いずれ、来館された方にも見ていただけるよう、増やしたいと考えています。
そしてこちらは、博物館周辺の緑地を代表する花、フデリンドウです。越年して冬を乗り越えた株が、あと1か月くらい先の開花の準備を整えています。

フデリンドウ

これから次々といろいろな植物が芽吹き、花が咲くので、あわただしくなります。
(生物担当学芸員)

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3月20日の講演会は、ヒトとイヌの絆!

当館と麻布大学いのちの博物館とは、相互の連携をはかるための覚書を締結しています。これまで、当館からの出張展示の開催や、学生サークルによる出張ワークショップの開催など行ってきました。そして、昨年に引き続き、3月20日(春分の日)に連携記念講演会を開催します。
今回のテーマは「ヒトとイヌの絆 最新研究が示す、特別な関係の現在、過去、未来」、講師は麻布大学獣医学部教授の菊水健史博士です。

菊水博士は、ヒトとイヌの絆の深さを科学的に証明することに成功し、さらに、犬種の地域性から、イヌがヒトによる選択的な交配に加えて、ヒトの文化的側面を受け入れつつその特性を発達させてきたと推測し、研究を進めています。菊水博士によると、私たちがイヌの共通特性と思っている様々な性質も、ヒトと暮らし、家畜化する中でその役割に応じて犬種ごとに発達したものだそうです。

菊水博士と愛犬ケビン・クルト君

ヒトが初めて家畜化した動物であるイヌは、その長い歴史を経てヒトを幸せにする能力を獲得しました。そして、その能力は今、地域活性化にも活用できると菊水博士は言います。今回の講演会でもそうした幅広いお話が聴けるはずです。イヌ好きの方だけでなく、社会と動物との関わりについてご興味のある方はぜひご来場ください。

2025 年3月20日(春分の日)午後2時~4時(開場︓午後1時30 分)
相模原市立博物館 大会議室
定員 200名(当日先着順)
参加無料

(生物担当学芸員)

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生物多様性を実感する!自然観察会

3月2日、座間市ゼロカーボン推進課主催の自然観察会のお手伝いをしてきました。
これは、生物多様性の理解を深めるための普及事業で、春先の県立座間谷戸山公園を歩きながら、生物多様性の大切さを実感する自然観察プログラムを用意しました。当初、園内に自生するカントウタンポポ(自生種)と、外来種や雑種のタンポポも観察しようと考えたのですが、今年はまだタンポポが咲いていません。そこで、花壇に咲いている小さな花を見つけてもらいました。

ミチタネツケバナ

咲いていたのはミチタネツケバナ、オオイヌノフグリ、ホトケノザです。ホトケノザ以外は外来種です。身近なところに外来種はふつうに存在し、しかも人が手を加えた場所ほど外来種が多いことを確認して頂きました。カントウタンポポは、まだロゼット(冬越しの根生葉)と固いつぼみの状態を自生地で観察しました。

カントウタンポポのロゼットを観察

続いて、園路からちょっと入った林内に入り、4人一組で、食品カップと割りばしを使って落ち葉を拾ってもらいました。順次下の層の落ち葉を別のカップへ拾って観察します。

落ち葉を丁寧に拾います

すると、下の層ほど落ち葉が粉々になっていき、しっとりと湿り気があります。さらににおいをかいでもらうと、下の層は「カブトムシのにおい!」などと声が上がりました。

下の層の変化を観察

また、落ち葉をめくると、この季節でも生きものが出てきます。ダンゴムシや小さなゴキブリの仲間、ダニのような小さな動物、ヤスデなどを見つけてくれました。こうした生きものたちが落ち葉を粉々にして、さらにキノコのような菌類が分解することで、森の植物が養分を吸収できるようになる・・つまり、これが森の生態系で、生物多様性が大切な証拠です。
途中、樹木の切り株や伐採木にキノコがたくさんとりついているところや、ボロボロに分解されつつある現場も観察しました。
最後に、花は見られなかったものの、タンポポの雑種のお話をして、生物多様性は遺伝子の多様性も大切なことや、外来種の問題、そして地域の特色を例に、景観や生態系の多様性も大切であることも説明してまとめとしました。

9組のご家族が参加してくれました

生物多様性の概念は、言葉だけではなかなか理解が難しいのですが、自然観察をとおして考えると意外とわかりやすくなります。参加者は小学校低学年のお子さんとそのご家族が多かったのですが、言葉以上に、自然の生態系の奥深さを感じ取っていただけたようです。ウグイスが「ケキョッ」とさえずりを始めていたり、ニワトコの冬芽が崩芽していたりして、春の訪れも実感できる観察会となりました。
(生物担当学芸員)

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【2日間連続開催】博物館でひな祭り!

翌週にひな祭りを控えた3月1日(土)、当館エントランスにてミニ展示「博物館でおひな様」の関連イベント「博物館でひな祭り!」を開催しました。

このイベントは、当館の博物館ボランティア「市民学芸員」によるもので、豪華な雛飾りの前で記念撮影や、ぶんぶんゴマづくりを体験していただけます。

おひな様展示もフォトスポット仕様に!

市民学芸員お手製のうさぎのおひな様です。

フォトスポットで記念撮影いただいた方には、市民学芸員が心を込めて手作りした「うさぎのおひな様」を数量限定でプレゼントしています。参加者の皆さまからは、「かわいい!」、「色々な柄があって迷っちゃう!」と、大変好評でした。
ぜひご参加いただき、お気に入りのおひな様を見つけてお持ち帰りください!

本年度に開催した秋季企画展「学習資料展」の関連イベントでも人気の「ぶんぶんゴマ」では、コマを自作した後に上手く回すコツまで市民学芸員がレクチャーします。

回すとより楽しい、ぶんぶんゴマの鮮やかな模様!

初めてぶんぶんゴマに挑戦した小さなお子様も、元気よく音を立てて回している様子が見られました。

自分だけのオリジナルぶんぶんゴマの完成です。

女の子の健やかな成長を祝う3月3日のひな祭りにちなんだ企画ではありますが、老若男女問わずどなたも参加可能です。初日は延べ100人以上の皆さまにイベントをお楽しみいただきました!

博物館でひな祭り!」は、明日も正午から午後3時まで開催します。暖かく良い天気が続くとのことですので、ぜひお越しください!市民学芸員一同、皆さまのご来館をお待ちしております。

(歴史担当学芸員)

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アオゲラが食べているのは?

2月27日、市内南区の公園を歩いていると、キツツキの一種のアオゲラが飛んできてコナラの幹にとまりました。

コナラの幹にとまったアオゲラ

コツコツと幹をつつくというより、嘴(くちばし)を幹のすき間に射し込んでいるように見えます。何をやっているのか、写真を拡大して見てみると・・

ピンク色の下が嘴の先に見えます

樹皮のすき間に舌を突っ込んでいるようです。キツツキの仲間は長い舌を持っているので、木に開けた穴に舌を突っ込み、中に潜んでいる昆虫などをすくい出して食べます。また、歩き回っているアリなども同様に舌を使って食べます。今の季節、アリも活動しているものの、行動をよく見ると、樹液が出ている場所を探してしばらくその中に嘴を差し入れています。いくつかの写真を見てみましたが、樹液にアリが集まっていたり、舌先にアリが着いている様子はありませんでした。おそらく、樹液そのものをなめているのでしょう。

懸命に樹液の出ている場所を探し回っていました

あまり効率の良い採食方法とは思えませんが、冬の間の大切なエネルギー源なのかもしれません。
(生物担当学芸員)

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トラツグミダンス

今年の冬は冬鳥が少ないと、あちらこちらから聞こえてきます。一方で、山地で繁殖して冬になると低地に下りてきて越冬するトラツグミが今年は比較的よく見られます。市内の公園でも、林内で採食するトラツグミを見ました。

トラツグミ

トラツグミは地面を歩き、主に落ち葉の下に隠れている小さな虫などを捕らえて食べます。その際、体を小刻みに震わせたり、腰を上下左右に振る動作を繰り返します。この動きをバードウォッチャーたちは「トラツグミダンス」と呼んでいます。今回はゆっくりこの動作を観察できたため、動画を撮影してみました。この時はダンスというより、音楽に合わせてリズムを取っているような動きにも見えます。

興味深いのが、頭はまったく揺れないところです。鳥は飛ぶ時など激しい動きをしても視界がブレないよう、優れた平衡感覚で頭を静止させることができます。
ところで、なぜこのような動きをしているのか、はっきりはわかりません。おそらく、地面の虫やミミズなどを刺激して、その反応を感じ取って見つけ出しているのではないかと言われています。同じように地面で採食するヤマシギなども同じような動き(ダンス)を行うので、それなりの効果があるのかもしれません。
近くでは、近い仲間のツグミも採食していました。冬鳥が少ないと言われるその筆頭の種ですが、やっと公園内でもたくさん見られるようになりました。

ツグミ

こちらはトラツグミのようなダンスはせず、「だるまさんがころんだ」のようにぴょんぴょんと数歩跳んではピタッと止まる動作で採食していました。
冬の間はこうした野鳥の行動が見やすいので、じっくり観察するのも楽しいものです。
(生物担当学芸員)

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収蔵庫の殺虫処理

昨年10月下旬、動植物資料収蔵庫内で標本整理の作業を行っていた相模原植物調査会の方が、押し葉標本にチャタテムシが発生しているのを発見してくれました。

標本に粉のようなものが散っています

チャタテムシは代表的な文化財害虫のひとつです。湿気と共に発生し、カビや乾燥した食品などを食べるため、通常は収蔵庫内のカビ発生のバロメーターのような虫なのですが、植物の押し葉標本も食べてしまいます。しかも、柔らかい花弁のようなところを集中的に食べることから、放置しておくと分類上の証拠として大切な花を粉々にされてしまいます。

チャタテムシの一種

原因は、昨年秋の長雨で、収蔵庫内が高湿度で高止まりの状態が続いたことによると思われます。収蔵庫は24時間空調で温湿度を調整していますが、どうしても外気の影響も受けてしまいます。
被害を受けた標本は順次冷凍処理をして殺虫しているものの、一度に冷凍できる量が限られているため、処理が追い付きません。収蔵庫内全体を一度殺虫した方が良いと判断し、殺虫剤を噴霧することにしました。市販されている燻煙剤では隅々まで行きわたらないので、専門の業者に委託します。

排気用のファンを設置しています

部屋を目張りするなどして密閉してから殺虫剤を噴霧、数時間くゆらせてから排気を行います。

標本棚を開けて殺虫剤を内部へ行きわたらせます

ところで、博物館など文化財を扱う機関では今大きな問題になっていることがあります。それは、ガスくん蒸に使用する薬剤や、今回使用した噴霧式の殺虫剤の多くが、今年度いっぱいで製造販売が休止となるのです。いずれの薬剤も強い毒性があることに加え、温暖化ガスとして知られるなど、人体や地球環境に対する影響が否めないからです。この問題にどのように対処するのかを考えるため、先週2月21日に東京文化財研究所で「ポスト・エキヒュームSの資料保存を考える」と題したフォーラムが開催されました。会場とオンラインの参加を合わせて1000人近い関係者が聴講し、関心の高さがうかがえます。当館からも学芸員が参加しました。
じつは、この問題は21世紀に入るころからすでに顕在化していて、農業分野で行われていたIPM(Integrated Pest Management:総合的有害生物管理)を博物館の資料保存と管理へ応用する研究や実践が推奨され、当館でも基本的にこの考え方を取り入れています。しかし、他の多くの博物館同様に「最終的にはくん蒸を実施する」というフェーズを維持していましたが、今後はそれが通用しなくなります。フォーラムの登壇者全員が強調されていたのが、日ごろの清掃、点検の重要性です。今後、殺虫処理という対処療法から日常の清掃点検を強化する方針へとどのようにシフトしていくか、差し迫った課題です。
(生物担当学芸員)

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野鳥を調べる、はじめの一歩

2月11日、県立境川遊水地公園今田管理センターで、同公園の探鳥クラブのみなさん向けに当館学芸員がレクチャーを行いました。題して「野鳥を調べる、はじめの一歩」。
探鳥クラブのみなさんは、公園内の野鳥を調べ、記録する活動を行っています。野鳥観察初心者のメンバー向けに、野鳥の識別や、調べることの意義についてお話しました。

室内で40分ほどお話しました

身近な野鳥のスズメ、ヒヨドリ、ハト、カラス、トビと順番に説明していったのですが、これらの野鳥はいくらなんでも基礎的すぎでは・・と思われるかもしれません。しかし、これらの“定番種”をマスターしなければ、それ以外の野鳥も正確に識別できません。

知っているつもりで知らないことも結構あるものです

例えば、図鑑にスズメより小さいって書かれているけど、そもそもスズメの大きさって正確にはどれくらい?ドバトとキジバトの尾羽の違いは?ハシブトガラスとハシボソガラスは行動の違いがあるってほんとう?などなど。
そして、野鳥を継続的に調べる楽しさや、その蓄積から気づくことなどをお話しました。

公園内のヨシ原にいたオオジュリン

境川遊水地公園は、四季をとおして様々な野鳥を観察できます。地道な観察も積み上げれば市民科学の成果になりえます。探鳥クラブの今後の観察記録の蓄積に期待したいと思います。
(生物担当学芸員)

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おひな様スタンプラリーが始まっています!

今年も「古民家でおひな様 春のおでかけスタンプラリー」が始まりました。

市立博物館を含む8か所の施設を、6か所以上を回ってスタンプを集めると記念品がもらえます。年々、範囲が広がって、集める難易度が上がっていますが、毎年楽しみにされている方の多い人気のイベントです。

今年は予想以上に多くの参加者がいらっしゃり、各施設で台紙を急遽増刷するなど、企画側としても嬉しいスタートになりました。

今年の記念品はこちら↓
おひな様とマグネット(2種の内1種)のセットになります。

デザインはお選びいただけません

マグネット(デザインはお選びいただけません)

期間は3月4日までですが、おひな様はなくなり次第終了になりますので、ご注意ください。

詳細はこちら

おひな様を通じていろいろな施設を巡りながら、相模原市のいろいろな魅力、そして春の訪れを感じていただけたら幸いです。

みなさまのご参加お待ちしております!

(民俗担当学芸員)

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