博物館の公衆電話、最後の日

8月5日朝、博物館1階エントランスの一画に公衆電話が設置されています。

8月5日の朝 1台の公衆電話がまだあります

かつて、駅の構内などにはずらりと10台以上の公衆電話が並び、商店の軒先に赤電話、街の歩道には電話ボックスがあるのが当たり前でした。しかし、携帯電話の普及により利用率が急激に低下し、今、公衆電話は街中からどんどん消えつつあります。
博物館には開館当初、2台の公衆電話が設置されていましたが、利用率の低下から1台になっていました。そして昨年、公衆電話を所管する総務省の設置基準が緩和されたこともあり、8月5日、ついのこの1台も撤去されることになりました。

※総務省の現在の設置基準:市街地以外の地域では、概ね2キロメートル四方に1台(緩和前は1キロメートル四方に1台)

カード挿入口とプッシュボタンがカッコイイと思えたのはひと昔以上も前・・

ここ数年は利用がゼロの月も多く、これも時代の流れと言えるでしょう。博物館の職員は、ぽっかり空いた公衆電話のスペースにちょっと違和感があります。

がらんと空いた公衆電話コーナー

でも、そのうちここに何が置かれていたのか、思い出す人もいなくなることでしょう。そういえば、まだあるうちに街中の電話ボックスの写真も撮っておかなくてはいけませんね。

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クイズラリーが始まりました!

みなさんこんにちは、社会教育主事実習生です。

社会教育士という資格を取るために市内の公共施設に伺い、地域の連携や事業について学んでいます。

さて、本日8月5日は市民学芸員の皆さんとクイズラリーのお手伝いを行いました。
博物館の常設展示内に設置されたパネルを見て六つのクイズに答えると、記念品や認定証がもらえる企画であり、館内では人気の定番企画となっているそうです。

クイズの答えは何かな?

クイズの内容はやりがいがあり、小さい子はもちろん大人の方でも楽しめるものとなっていました。また平日にもかかわらず、たくさんのお客さんが来てくれました!

全問正解!

クイズラリーは8月7日(日)まで開催します。どなたさまもぜひ参加しにいらしてください♪

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博物館実習が始まりました

8月2日から、博物館実習が始まりました。この実習は、大学で学芸員資格を取得するためのカリキュラムの中の、総仕上げともいえる必須科目です。今年度は県内外の大学から19名を受入れました。初日は、講義と館内の見学などが中心となり、相模原市立博物館の活動や施設の概要をみっちり学びます。

初日は講義と見学が中心です

そして、二日目の8月3日は資料取り扱いの実習です。人文系資料(掛軸など)、自然系資料(植物標本)、梱包作業(土器を用いた梱包)と、3班に分かれてローテーションしながら実習します。

掛軸の取り扱い 背中が緊張しています

押し葉標本の台紙貼り作業は、専門ボランティアの方から指導を受けます

本物の土器を梱包しています

三日目の8月4日は、展示解説実習です。各分野に分かれ、実習生が常設展示の資料の一つを選び、シナリオ作成から実際の解説まで行います。これがなかなか厳しい課題で、当館の展示解説は、資料を単に説明するだけではダメと、実習生へ初めに伝えられます。解説者と参加者(この場合は他の実習生)が時間を共有していることを実感できる方法と内容であることが求められます。

学芸員の指導を受けながら展示解説のシナリオ作り

1回リハーサルを行い、様々な改善点を受けて、再度、2回目に臨みます。

クイズやジェスチャーを交えながら解説を試みます

参加者との対話の中で、資料が内在する情報をどのように感じ取ったのかなど共有しながら進めば合格点です。

展示解説は、自分が心から伝えたいと思うことを伝えるのが一番大切です

緊張とプレッシャーの中でも実習生はがんばって課題をこなしていました。全体で同じ日程で動くのはここまでとなり、残りの6日間は8月下旬から9月下旬にかけて、各分野に分かれて実習を行います。

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博物館収蔵資料紹介~湯たんぽと行火(あんか)

前回、冬の寒い時に布団(ふとん)の足元に入れる湯たんぽを紹介しました。この湯たんぽはブリキ製でしたが、このような金属製になる前には陶器製のものが使われていました。

写真の湯たんぽは南区下溝の女性からの寄贈で、第二次世界大戦前に出産した際に、淵野辺の実家の父親が12月で寒いだろうということで持ってきてくれたものです。夜に布団に入れると、朝には湯たんぽの中の湯がぬるくなっていて、ちょうど顔を洗うのによかったそうです。                  

 

次の写真はいずれも緑区橋本の同じ家からいただいたもので、向かって右側が陶製、左側がブリキ製です。陶製の湯たんぽは円筒型のほかに、ブリキと同じく波のような形のものもあり、この方が表面積が広く暖かい部分が多くなります。                  

 

昭和30年(1965)代になると、こうした湯たんぽに代わって豆炭(まめたん)を入れた行火(あんか)が使われるようになります。写真の行火は、やけど防止の専用カバーが付いていて、湯たんぽと同じように行火が直接肌に当たるのを防ぎました(収集地・南区相模台)。カバーは子どもの古着などで、自家で作ることもありました。                 

 

次の写真は中に豆炭を入れたところです(収集地・中央区星が丘)。豆炭は石炭(せきたん)の粉を練り固めたもので、燃える時に煙(けむり)が出ず、また、一晩中暖かいという長所がありました。参考に、左側に豆炭を置いて撮影しました。                   

 

さらに電気で温める行火も使われるようになり、写真の製品名は電気こたつで、昭和30年代に購入して平成になる頃まで使用していたそうです(南区相模台)。                  

現在では電気毛布をはじめ、羽毛(うもう)布団なども登場して寝具の保温性を高めていますが、かつて寒い夜を暖かくして寝るために使われた道具にも移り変わりがありました。

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久しぶりの子ども鉱物教室 ー1日目

7月30日に子ども鉱物教室「鉱物のふしぎ」を、3年ぶりに開催しました!

2週連続の教室で、ミョウバンの結晶づくりと鉱物の硬さ比べをします。初日はミョウバンの結晶づくりを行いました。

準備作業はボランティアの方々にお願いしました。

最初に今日の作業の全体の流れと鉱物について簡単に説明しました。

まず、結晶のもとになる種結晶(たねけっしょう)を準備します。種結晶は小さなミョウバンの結晶です。エナメル線を種結晶に結び付けますが、種結晶は小さいので、意外と難しいです。

エナメル線に付けた種結晶は、ビーカーのちょうど良い位置にくるように調整して厚紙に固定します。

ミョウバンの粉末を熱湯に溶かして飽和水溶液をつくります。混ぜているうちにお湯の温度が下がり、溶けにくくなるので、ホットプレートで温めながら完全に溶かします。

適度な温度にまで冷めたところで、種結晶を入れます。あとは結晶が大きくなるのを待つだけです。

30分くらいたつと、少し結晶が大きくなっているのが分かります。

1週間、博物館の戸棚の中で保管しておきます。

8月6日に成長した結晶を取り出して観察します。どれくらい大きくなっているのか、楽しみです。

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考古分野ミニ展示開催中です!

黒曜石をご存じのかたは多くいらっしゃると思います。それではその出来方や具体的な産地についてはいかがでしょうか?
黒曜石とは、火山の溶岩が急激に冷えて固まったもので、鋭く割れる性質があることから、旧石器時代や縄文時代を中心に石器の材料として多用されました。

長野県和田峠産の黒曜石

黒曜石の産地は日本の北海道から九州まで80カ所ほどあり、近年の分析技術の進歩により、どこで採れたものか産地が推定できるようになりました。その結果、黒曜石の産地推定は、昔の人々がどこで採れた黒曜石を利用していたのか、当時の人々の動きや、黒曜石の流れについて考える一つの視点になっています。

縄文時代の原石・石核 こちらも展示中です!

今回、考古分野のミニ展示では「遠くからやってきた黒曜石―旧石器・縄文時代の石器から―」として、旧石器時代や縄文時代の黒曜石を展示し、黒曜石の産地、産地分析の方法、黒曜石を利用した石器を展示しています。

入口から進んでいただいて、特別展示室入口近くです。

旧石器時代の狩りの道具であるナイフ形石器、石槍(いしやり)の鋭さや、産地ごとの透明度、光沢、白い粒子の具合など、じっくり見学していただければと思います。
7月30日(土)から9月25日(日)まで博物館エントランスで開催しています。

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セミの羽化の観察会

8月に入りました。本日1日は月曜日ですが、夏休み期間中なので開館しております(8月28日まで博物館は無休です)。
さて、7月30日に、大野南公民館主催の「セミの羽化観察教室」(場所:麻溝公園)に講師として参加してきました。最初に、セミの生態や、なぜ夜に羽化をするのかなどお話しした後、まだ明るいうちにセミの抜け殻探しをしました。

葉っぱの裏側についていることが多いね!

最初はなかなか見つかりませんでしたが、目が慣れてくると、次々と見つかります。壊さないように大事に持ってきてねとお願いしたら、「こうすれば壊れない!」と素敵な運び方を発見してくれた参加者がいました。

これなら壊れず持ち運べます!

みんなで持ち寄った抜け殻を見て、セミの種類を識別しました。今回はすべてがアブラゼミでしたが、これから季節が進むとツクツクボウシなど他の種類の抜け殻も見つけやすくなります。博物館特製の識別シートを配ったので、家でもチャレンジしてくれるでしょう。
そして、羽化観察の本番開始です。大人でも「動いているセミの幼虫を見たことがない」という方が多く、羽化の場所を探してゆっくり歩く幼虫を見つけると、とても感激していました。

どこまで登るのかな?

夏の夜なのでヤモリも活発に動いていて、観察することができました。

木の幹を走り回るヤモリもいました!

なかなか羽化が始まりませんでしたが、ついに参加者の小学生が、背中が割れているアブラゼミを発見してくれました。

羽化が始まったアブラゼミ

翅(はね)が出てきて、全身が青磁器のような美しい色の現れる様子に、みなさん息をのみます。

半身が出たところ

ただし、残念ながら終了時刻となり、駐車場の閉場時間の都合でこの日の観察はここまで。でも、身近な場所で夜の8時前後にセミの羽化を観察できることがわかったので、参加者のみなさんはきっとまた羽化観察にご近所へ出かけてくれることでしょう。そんなきっかけづくりになれば嬉しい限りです。
博物館へ戻り、帰りがけにお隣の樹林地をのぞいてみると・・

カラスウリの花

カラスウリがこの日も妖艶な姿で咲いていました。
真夏の夜の自然観察はやっぱりおもしろいですね。

セミの羽化の様子については、昨年公開した生きものミニサロンウエブ版で映像を見ることができますので、ぜひご覧ください!

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決めつけられない、植物の匂い

博物館お隣の樹林地では、クサギの花が咲いています。

クサギ

猛暑の中ですが、スッと立った雄しべと純白の花弁が爽やかな花です。近づくと、甘い匂いが漂います。

甘い匂いを放つクサギの花

芳香と表現できる香りなのに、どうしてクサギ(臭木)なのかというと、葉の方にちょっと強い匂いがあるからです。ただ、その匂いも人によっては「ピーナッツバターみたいな良い香り」だったり、「カメムシ臭い」だったり・・匂いの感じ方は人それぞれです。
ちなみに、クサギは秋の終わりにこんな果実を実らせます。

花の写真と同じ株の、昨秋の果実

萼片(がくへん)が星形に開いて赤く染まり、その中央に黒く熟した果実が配置されます。鳥に見つけて食べてもらおうという見事な造形です。クサギは花も果実も自然観察の素材として抜群の存在感です。
さて、博物館駐車場のフェンスでも、白い花が咲いています。ヘクソカズラです。

ヘクソカズラの花

こんなに可憐な花なのに、こちらも名前がいかにも臭そう・・。でも、この匂いも人によって感じ方は様々です。自然観察会などで匂いの感想を聞いてみると、どちらかというと好き、という人が一定の割合でいます。こうして考えてみると、クサギもヘクソカズラも、ちょっと罪深い命名ですね。

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博物館収蔵資料紹介~寝る時の道具

今回は寝る時に用いられたものを紹介します。

最初の写真は「箱枕(はこまくら)」です。箱型の台の上に、布を袋にして籾殻(もみがら)などを入れたものを乗せています。袋の部分に和紙を巻き、また、台が高くなっているのは布団(ふとん)の外に置くためで、結った髪型が崩れないように首の付け根にあてがって使いました。女性の嫁入り道具などとしてあり、これも昭和17年[1942]に南区古淵から緑区下九沢に来られた方が持ってきたものの一つです。                 

 

次の写真は袖がついた着物のように見えますが、寝る時に上掛けにする「掻巻(かいまき)」です。中に綿が入り、肩口をすっぽり覆うため暖かく、防寒に優れていました。やはり嫁入り道具の一つで、女性の客用として持参し、自分たちが使うものは別にあったそうです。元々は東京にお住まいだった方からの寄贈です(収集地・中央区淵野辺本町)。                  

 

前回の蝿(はえ)とともに嫌がられたのが蚊(か)です。特に寝ている間に蚊に刺されないように部屋に吊る蚊帳(かや)は、かつて夏の暑い夜には戸を開けて寝ることも多かった生活ではなくてはならないものでした。なお、写真は収納してある状態です。

この蚊帳は南区東林間で使われたもので、昭和30年[1955]代の東林間はまだ林などが広がっていて蚊も多く、昭和35年頃に町田で購入されたものです。                  

 

そして次の写真は、博物館で毎年秋から冬にかけて実施している「学習資料展」において、実際に蚊帳を吊った様子です。見学した子どもたちに、この中に布団を敷いて寝ていたことが分かるように展示しました。なお、学習資料展で、毎年蚊帳を展示しているわけではありませんのでご注意ください。                  

 

冬の寒い夜に布団の足元に入れたのが「湯たんぽ」(緑区二本松)です。写真は金属製の湯たんぽで中に湯を入れ、やけどをしないようにタオルなどに包みました。また、風邪をひいたりした時にも使われました。                  

箱枕や掻巻に対して、蚊帳や湯たんぽは子どもの時に使った記憶がある方もまだ多いのではないでしょうか。今後ともさまざまなテーマのもとに収蔵資料を紹介していきたいと思います。

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真夏の夜の女王

博物館お隣の樹林地に、白くて華奢(きゃしゃ)なつぼみがついていました。つる植物なのですが、このつぼみは、昼間は開きません。

一見華奢に見えるつぼみですが・・

夜、真っ暗な中でこんな風に開きます。

カラスウリの花

カラスウリの花です。レースをまとったような独特の花は、昼間のつぼみからはちょっと想像できない豪奢(ごうしゃ)な咲き姿で、女王と呼びたくなります。ちなみに、カラスウリはその名のとおり、ウリの仲間です。晩秋に実る果実は、目の覚めるような朱色で、紅葉にも負けない華やかさです。

晩秋に実るカラスウリの果実

夏の夜の自然観察は、カラスウリのほかにもいろいろと見どころがあります。これから少しずつこのブログで紹介していきたいと思います。

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