当館の土器・土偶が厚木市へ。

当館の考古資料が7月23日(土)からあつぎ郷土博物館で展示されます。

具体的な資料は、大日野原遺跡(おびのっぱらいせき)出土の人体文深鉢形土器、
寺原遺跡出土の線刻画土器、橋本遺跡出土の土偶(以上、市指定文化財)、川尻遺跡出土の有孔鍔付(ゆうこうつばつき)土器、田名花ヶ谷戸遺跡出土の土偶などです。いつもは常設展示室で展示している資料で、見覚えのある方もいるかもしれません。

大日野原遺跡出土の人体文深鉢形土器(当館寄託個人蔵)

寺原遺跡出土の線刻画土器(当館所蔵)

 

橋本遺跡出土の土偶(当館所蔵)

 

展示のタイトルは「令和4年度特別展 有孔鍔付土器と人体装飾文の世界」です。有孔鍔付土器(ゆうこうつばつきどき)を中心にその類例や人体装飾文(じんたいそうしょくもん)を紹介し、豊かな縄文文化を学びます。
ここでは資料の貸し出しの様子をお伝えします。

7月13日に資料の貸し出しが行われました。

資料の観察中

はじめに資料の状態を点検します。さらに土器の部分と石膏などで復元された部分なのか、しっかり確認します。資料のどこを守る必要があるのか、把握するためです。

その次は梱包(こんぽう)です。移動時に破損が生じないよう、「布団」で保護します。
ここでいう「布団」は綿を和紙で包んだもの、下の写真の白い長方形のものです。

丁寧に包んでいきます。

布団の固定は紙紐を使います。

資料が動かないよう隙間に布団を入れます

その後、コンテナに入れます。コンテナの内側にも布団が敷き詰められ、資料に衝撃が伝わらないよう対策されています。

無事、資料の貸し出しが終わりました。

どのように展示していただけるのか、大変楽しみです。皆さんもぜひご覧ください。

あつぎ郷土博物館:https://www.city.atsugi.kanagawa.jp/atsugicitymuseum/index.html

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オオヤドリカニムシ

7月16日、生きものミニサロンの参加者のお一人が、自宅の庭で拾ったというアカネズミを検体としてご持参くださいました。ネコが捕まえて持ち込んだようです。野生の哺乳類は、たとえネズミやモグラであっても許可なく捕獲することはできないため、こうした検体のご提供は博物館にとってとても重要です。ありがたくいただきました。その際に「カニムシのようなものがたくさんついていました」とのことだったので、早速検体を調べてみると・・

オオヤドリカニムシ 左側の脚に餌?のダニがついていました

まさしくカニムシ!土壌動物としても人気があり、観察会でカニムシが出現すると大変盛り上がります。それがなぜ、ネズミの遺体に?と疑問がわき、「がろあむし展」でもお世話になった土壌動物を得意とする写真家の吉田譲さんに問い合わせました。するとすぐに「オオヤドリカニムシです!」とのお返事がきました。“宿り”と名につく生物は寄生性のものが多いのですが、このカニムシは寄生するわけではなく、ネズミなどにつくダニを食べているのではないかと推測されています(吉田さんによると、実際は捕まえられるものなら何でも食べるとか)。そのため、食料が安定して供給されるネズミに、コバンザメのようにくっついていたようです。吉田さんも、ネズミの死体にたくさんくっついているのを見たことがあるそうです。それにしてもこのカニムシ、大きいです。

メモリは0.5ミリメートル刻みです

体長は4.5ミリメートルくらいあります。野外で見るものはこの半分くらいの大きさのものが多く、なかなか迫力のある姿ですね。カニムシの仲間は昆虫ではなく、4対の脚に、大きなハサミのついた触肢を持ち、大きな分類ではクモやサソリ、ダニなどと同じ仲間になります。
ふだんあまり見る機会の無い生物のうえ、メカニックな体つきがかっこよく、一緒に観察したミニサロンのスタッフのみなさんと大いに盛り上がりました。

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市史ミニ展示「学び再編-終戦直後の暫定教科書-」を展示中です。

7月16日(土)から、常設展示室内で暫定教科書(ざんていきょうかしょ)などをテーマとしたミニ展示を行っています。

聞き慣れない言葉ですが、これは終戦直後の教科書の一種です。
墨塗り教科書は比較的有名であり、墨塗り教科書の後に新聞用の更紙(ざらがみ)を用いて作られたものが、暫定教科書です。

こちらは墨塗り教科書です。

終戦直後は、占領軍による教育方針や内容について指令が発せられ、軍事的な内容が削除されました。その後、教育内容が変わり教科書が一新されますが、物資難のため新聞用の更紙が使用されました。その後、新教科書となり、次第に挿絵やカラー印刷が徐々に増加していきます。

 

展示の様子 ケース内中央が暫定教科書

戦後の社会情勢がよくうかがえる資料ですので、ぜひご覧ください。

 

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博物館収蔵資料紹介~蠅取りの道具

私たちの回りにはさまざまな虫が見られますが、その中でも蠅(はえ)は伝染病を運び、また、家畜や農作物に害を与えるものとして嫌がられたものの一つです。

昔は多くの蠅が食べ物や赤ん坊の顔などにたかって、手で払いのけるようだったとの話もよく聞かれるところで、蠅を取る道具も各家にありました。

最初の写真はガラス製の「蠅取り器」です。ちょうどタマネギのような形で、底は中央が内側に丸く湾曲して立ち上がっています。容器の下に食べ物を置いておくと、下側の隙間から蠅が入りますが外に出ることができず、湾曲した部分に入れた水に落ちてしまいます。

南区下溝の方からの寄贈で、第二次世界大戦後に、粘着性のある薬品を塗った蠅取り紙が出まわるまではよく使っていたそうです。                

 

また、天井に止まっている蠅を捕らえる、ラッパ状の口に細長い管を付けて下の丸い溜まりに水を入れて使う「蠅取り器」もありました(収集地・南区磯部)。

      

 

こうした道具のほかに、蠅を叩いて打つ「蠅たたき」もあります。写真は叩く部分が樹脂製で、広く販売されていました。南区の相武台団地にお住まいだった方からの寄贈で、農家だけでなく、コンクリートでできた住宅でも必需品でした。                    

 

最後の写真は「蠅帳(はえちょう・はいちょう)」です。食卓に置かれた食べ物を蠅から防ぎ、また、風通しをよくして食べ物が腐らないように被せるもので、四本の骨があり、傘(かさ)のように開閉することができました。こちらは南区上鶴間団地で昭和33年(1958)に結婚した当時に購入されたとのことで、団地に入居した当時は蠅が多かったそうです。                    

 

現代は衛生状態も改善され、家庭の中で多くの蠅を見ることは少なくなりましたが、今回紹介した道具からは、蠅などの害虫を防ぐための工夫をしてきた生活の様子を知ることができます。

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【8/24配布終了しました】BUNCARD(ブンカード)を配布中です!!

当館で配布中のBUNCARDについて、8月24日に配布終了となりました。
多くの方の思い出のカードとなるよう祈念しております。また、おびのっちのモデルとなった土器についても、またご覧いただければ幸いです。

以下、BUNCARDの紹介です。

現在、博物館ではBUNCARD(ブンカード)を配布しています。

みなさん、BUNCARDをご存じですか?

これは遺跡の発掘調査や、土器・石器の収納などでよく使用されるテン箱を製造・販売している第一合成株式会社様の企画で、各地の博物館などの一押しの資料をカード化し、他の施設と地域の枠を超えた文化財の交流を目的としたものです。

BUNCARD一覧

BUNCARDの概要

相模原市立博物館では、大日野原遺跡(おびのっぱらいせき)の土偶付深鉢形土器をカード化しました!
当館のキャラクター「おびのっち」のモデルとなった土器でもあります。

市指定文化財 当館寄託資料(個人蔵)です。

常設展示でもアピール中!

配布場所は1階受付で、アンケートにご回答いただくと贈呈します。先着順で9月11日(日)まで行っていますので、この機会に是非!

配布場所はこちら。

BUNCARDをきっかけに相模原の歴史や遺跡について注目していただければと思います。

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考古担当学芸員、相原遺跡群を語る。

7月2日(土)に相原公民館で考古分野の講義を行いました。これは「相原の歴史をさぐる会」の講師として招かれたものです。

会場の様子

今回のテーマは「相原地区周辺の旧石器・縄文時代」。相原の歴史をさぐる会の方から古い相原の歴史を知りたいとのことでした。参加者は40名で、皆さんに熱心に聴いていただきました。

相原地区の旧石器時代は遺跡があまり発見されていないことから、相原地区の東に位置する橋本遺跡の旧石器時代を説明しました。
縄文時代では中期が多く、相原地区のどのあたりに縄文人が住んでいたのか、どのような土器が出土しているのか、などを写真を中心に紹介しました。

遺跡が残る土層を説明中

黒曜石の産地について説明中

最後に、相原地区に貴重な遺跡が残っていること、そしてその遺跡からしかわからないことがあることを伝えました。
講義後は複数の方から質問をいただき、相原地区の遺跡について関心が高いことがわかりました。

今年度は講師の依頼をいただくことが少しずつ増えています。
考古学の視点から各地域の特徴をより分かりやすく紹介できるよう頑張っていきます。

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生きものミニサロン 傘をさして自然観察!を実施しました

7月16日、毎月恒例の生きものミニサロンを実施しました。あいにく、外は土砂降りの雨です。でも、そんな中でも生きものたちは野外で生活していますし、雨の日は雨の日なりの自然を見ることができます。そこで、博物館正面入り口のアプローチの、屋根のある場所を中心に生きもの観察を行いました。

博物館入口のアプローチ

観察は、「生きものビンゴ」にチャレンジしながら進めます。自分でランダムに1~16の番号をマス目に書き入れてから、16個のお題にチャレンジします。

生きものビンゴ

例えば「ザラザラしている葉っぱ」というお題は、アプローチの脇にこんな植物があるのをご案内しました(雨脚が強かったので、なるべくヒントを出しました)。

ケヤキの葉

ケヤキの幼樹です。幼樹のころの葉は、とてもザラついています。実際に触ってくれた参加者から「ザラッザラ!」と声が上がりました。見つかった番号に〇をつけます。

見つけた番号に〇をつけて

さらに、「真っ白い虫」というお題では、コナラの枝にこんな虫を見つけてくれました。

アオバハゴロモの幼虫

アオバハゴロモの幼虫です。真っ白い虫ってあまり見ないのですが、この虫はカンペキな真っ白ですね。
そのほかにも「着ている服と同じ色の花」や「まきヒゲでからみつく、つる植物」など、しっかり探さないと見つからないお題にもチャレンジしてもらいました。
すこーし雨脚が弱くなったのを見計らい、屋根の無い場所にちょっと出て、ちょうど咲いていたヤマユリのにおいをかいでもらいました。

暈をさして自然観察!

花が終わりかけているのと、大雨でちょっとにおいは淡かったのですが、「甘いにおい」といってくれた参加者がいました。こちらは、「好きなにおいの葉っぱか花」「きらいなにおいの葉っぱか花」のどちらかに〇をつけてもらいました。
最後はチャレンジナンバー17番で「雨の音を文字でかいてみてください」というお題です。「ザーザー」や、「バラバラ」など、今日の雨音らしい表現をしてくれました。このナンバーは好きなマスに入れてよいことになっています。全員が2つ以上のビンゴを達成して終了しました。
次回は8月27日(土)12時から実施の予定です。

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カイコの産卵

7月13日に羽化したカイコの成虫2匹は、オスとメスでした。せっかくなので半日ほど交尾させました。

交尾するカイコのオス(左)とメス(右)

その後、オスとメスを離してメスを紙の上に置いて産卵させました。オスとメスを離すときはちょっとコツがいります。オスの交尾器がかぎ状になっていてメスをがっちりとつなぎとめているため、そのまま引っ張るとメスが怪我をしてしまいます。そのため、オスとメスの腹部をつまんで、少しねじるようにしながら引くと、スムーズに離れます。
そうしてメスを産卵させる紙の上へ乗せます。すると・・

産卵するカイコ

丁寧に1卵ずつ、重なり合わないように産みつけていきます。

産卵するカイコ

1晩かけて産んだ卵は約600粒。

7月15日朝、産み終わりました

この卵や、オス、産卵後のメスは7月15日から来週前半くらいまで展示します。カイコの成虫は食べるための口が無いため、産み終えたカイコは、このまま衰弱して1週間ほどで死んでしまいます。ふ化してから6週間ほどの間に劇的な成長と命の営みを見せてくれたカイコの姿を、ご来館の際にはぜひご覧ください。

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「アイドルマスター SideM」×相模原市、本日スタート!

人気ゲーム「アイドルマスター SideM」に登場するアイドルと、「宇宙を感じられるまち」としての相模原市とのコラボ、「アイドルマスター SideM」×相模原市、本日スタートです!

「アイドルマスター SideM」に登場する315プロダクションの「Jupiter」と「DRAMATIC STARS」のユニット名が宇宙にちなんでいることから、宇宙を感じられるまち相模原をPRします。
コラボを記念して、相模原市立博物館と淵野辺駅周辺の参加店舗を利用していただいた方に特製クリアカードをプレゼント。また、各所にアイドルのパネルが登場します。
当館ではこちら、火星探査機「のぞみ」地上実験機モデルの横に、特別衣装のスペシャルパネルが設置されました!8月31日まで設置の予定です。

そして、なんといってもこちらのクリアカード!

プラネタリウム(おためしタイムを除く)を観覧いただいた方に1枚ずつ差し上げます。
初日の本日7月15日は「HAYABUSA2REBORN~帰還バージョン」を13時から追加上映することになりました。クリアカードの数に限りがありますので、ご希望の方はお早めにお越しください。配布状況などは当館公式Twitterでも随時お知らせしますので、そちらもぜひご覧ください。

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カイコが羽化しました!

6月1日から育てているカイコは2週間前に繭をつくりました。その中から3粒だけ繭を乾燥させずに展示していたところ、7月13日夜、2匹が羽化しました。

7月13日に羽化したカイコ

成虫のカイコは翅(はね)はありますが、飛べません。指にのせるとしっかりつかまって動かないので、手乗りカイコになります。とてもかわいいですね。
いつもカイコを観察に来てくれる、ご近所の大野村いつきの保育園へお知らせしたところ、早速見に来てくれました。

早速駆けつけてくれた、大野村いつきの保育園のみなさん

とても熱心に観察していたので、手乗りカイコを体験してもらいました。

手乗りカイコ!

さらに、ちょうどオスとメスが羽化したので、交尾の瞬間を見てもらいました。フェロモンに誘われてオスが近づき、メスとオスがピタッとくっついた瞬間は、歓声が上がりました。

交尾の瞬間

最後に、記念撮影!

記念撮影

園児のみなさんは、生命の不思議を観察してどのように受け止めたでしょうか。感想をお聞きするのが楽しみです!

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