給桑開始から18日 カイコは最後の眠に

6月18日、カイコの多くが4回目の眠(みん)に入りました。脱皮に備えて静止した状態になっています。前部を反りかえるように持ち上げていて、人間の睡眠とは姿勢がだいぶ異なります。

前部を反り上げるのが眠の姿勢です

まだ食べているカイコもいますが、今日中にはほとんどのカイコが眠に入ります。

子どもが折り重なって寝るように見えてかわいいですね

明日19日には脱皮し始め、週明けの月曜日にはほとんどのカイコが5齢(終齢)になります。それから1週間、モリモリとクワを食べ続け、繭を作り始めます。5齢の間に、生涯に食べるクワの量の85%以上を食べると言われています。来週はラストスパートです。

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ホタルブクロとヤマホタルブクロ

梅雨らしい空模様が続く6月16日、博物館の駐車場の植物は元気いっぱいです。昨年、ナラ枯れによって伐採されたコナラの切り株の周囲は、明るくなったために様々な草木で覆われています。

コナラの切り株(シートが掛けられている部分)

そんな中に、ホタルブクロの花を見つけました。博物館の前庭には以前からありましたが、駐車場で咲いた記憶はありません。眠っていた埋土種子(まいどしゅし:地面の中で休眠状態の種子)が、日照で覚醒したのでしょうか。

ホタルブクロ・・?

ホタルブクロには、よく似た変種(へんしゅ:同じ種だけど、やや異なる形態の特徴があるものを分ける場合の分類)のヤマホタルブクロがあります。どっちかな?と近づいて見ると、なんと、上の写真の左側はホタルブクロで、右側はヤマホタルブクロでした。識別点は、花の付け根の萼片(がくへん)の形にあります。切れ込みの股の部分が反り返るのが、ホタルブクロです。

ホタルブクロ 萼片の股の部分がはっきり上に反り返っています

同じ部分が反り返らず、少し膨らんでいるだけなのがヤマホタルブクロです。

ヤマホタルブクロ 反り返りは無く、やや膨らんでいるだけ

たまたまヤマホタルブクロが1株混じっているのかと思い、咲いている株を確認してみました。すると、半々くらいの株数で両変種が混じって咲いていました。隣同士で咲いている花を寄せて撮影しました。花色が、ヤマホタルブクロの方が若干濃い目のものが多いのですが、ほとんど差はありません。

ホタルブクロ(左)とヤマホタルブクロ(右)

野外でも時々、隣り合って咲いている場合があります。しかし、博物館の駐車場でこんなふうに混じり合って咲くとはちょっと意外でした。

 

 

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博物館収蔵資料紹介~さまざまな籠や笊

現在のようなプラスチック製の入れ物が使われる以前には、物を入れ、あるいは運ぶための容器として、竹製の籠(かご)や笊(ざる)は日々の生活で欠かせないものでした。博物館でも多くの籠や笊類を保管しています。

博物館には、普段は展示していない多くの資料を保管している収蔵庫(しゅうぞうこ)というスペースがあり、最初の写真は収蔵庫の中の籠や笊の一部です。

さまざまなものが写っていますが、一番上と二段目までは養蚕で蚕の餌である桑の葉を摘む時に、その葉を入れるのに使った「桑摘みびく」で、養蚕地帯である市域ではどの家にでもあったものでした。また、三段目と四段目には、いろいろなものを入れるのに使われた籠や笊が置かれています。                   

 

前回のブログでは、自然・歴史展示室にある開墾農家の屋根の上の植物を紹介しましたが、「くらしの姿」の物置内部には、落ち葉を掻き集めるのに使われた大きな籠(緑区川尻)、さらに桑摘みびく(南区磯部)も養蚕のコーナーに展示していますので、ご来館の際には是非見学いただければと思います。                                 

 

最後の写真は、銭湯などで脱いだ服を入れる湯屋籠(ゆやかご・南区下溝)です。普通の籠などは竹を細く割って編みますが、一般にメダケと呼ばれる細い竹を丸竹のまま割らないで作っていきます。                 

南区下溝・古山地区には、農閑期の冬場を中心にこの籠を作る人が第二次世界大戦の頃までいました。材料のメダケは地元にはないためどこからか取り寄せ、できたものは横浜あたりに自転車で運んでいたそうです。こうしたちょっと珍しい籠なども保管しています。

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ホームタウンチームのミニ展示を実施中!

相模原市では、市内に拠点を置きトップレベルの活躍が期待されるスポーツチームを「相模原市ホームタウンチーム」として認定し、シティセールスやスポーツ振興によるまちづくりを進めています。5チームあるうちの2チーム、TeamUKYO SAGAMIHARA(自転車ロードレース)と、三菱重工相模原ダイナボアーズ(ラグビー)が、5月に素晴らしい結果を残しました。
TeamUKYOは、5月21日のTour of JAPAN 2022 第三ステージ(相模原ステージ)を好成績で駆け抜け、翌22日のツアー最終戦東京ステージで見事、チーム団体総合時間賞を獲得した他、個人でも多くの賞を獲得しました。

2チームのミニ展示

また、ダイナボアーズは、今年から始まったラグビーの国内トップリーグであるリーグワン・ディヴィジョン2に参戦し、リーグ戦全勝を果たしました。順位決定戦で3位となりましたが、5月21日と28日に行われた入替戦で2連勝し、ディヴィジョン1昇格を決めました。
ミニ展示では、ダイナボアーズ(イノシシ=wild boarからの造語)にちなみ、イノシシのはく製も登場しています。

リアル・ダイボ君(ダイナボアーズのマスコットキャラクター)

スポーツタウン相模原を盛り上げる原動力として、これからも頑張ってほしいですね!

※ミニ展示は6月末まで実施しています。

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給桑開始から2週間、カイコは4齢へ

6月14日、飼育開始からちょうど2週間経ちました。朝までに大方のカイコが4齢に脱皮していたので、給桑を再開しました。

4齢に脱皮しました

飼育展示も、これまで容器をアクリルカバーで覆っていましたが、今日からはカバー無しで直接見ることができます。多少、触っても大丈夫です!

顔を近づけて間近で見ることができます

頭もさらに大きくなり、クワの葉をモリモリ食べそうな顔つきです。

4齢のカイコ 脱皮したては頭でっかちに見えます

ここからは天気予報とにらめっこしながら、採桑のタイミングを見計らわなくてはいけません。忙しくなりそうです。

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博物館収蔵資料紹介~屋根ふきの道具

博物館が収蔵している民俗資料のうち、もっとも多いのが畑作や養蚕などの農業に使われていた道具です。そして、人々の生活に欠かせなかった衣食住に関わる道具なども比較的多く保管しています。

今回紹介するのは、かつて住居が草屋根だった時に、屋根替えなどといって屋根を直したりする際に使われた道具です。市内では屋根の材料として、非常にたくさん作られていた小麦の穂を収穫した後の、茎(くき)の部分である麦稈(むぎから)が多く使われました。

最初の写真はいずれも緑区大島の方からの寄贈で、ハサミは屋根材の麦稈を切り整えるのに使い、鎌で麦稈を縛って固定する竹や縄を切ったりしました。                 

 

次の写真は「屋根こて」(緑区中沢)です。屋根に麦稈などを差してこれで叩きます。柄の先に付いている板が段々になっているのが特徴です。                   

このほかに「屋根針」(南区上鶴間本町)などもあり、麦稈を屋根の上から下側に縛りつけるのに使いました。

 

 

ところで、博物館の「自然・歴史展示室」には、中央区清新にあった開墾農家を復元した草ぶきの民家が展示されていますが、この屋根の棟(むね)には照明があたっています。これはわざと植物(イチハツ)を植えて根を生えさせ、屋根の重要な部分である棟が崩れないようにしてあるもので、自然に生えた植物を表しているのではありません。博物館に来たら見逃さないように、気をつけて見学をお願いします。

 

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キイチゴ実る

博物館お隣の樹林地では、キイチゴの仲間の果実が色づいています。
こちらは、キイチゴそのものと言えるモミジイチゴです。

モミジイチゴの果実

野生のラズベリーは、ほどよい甘みと酸味があり、とても美味しいのですが・・それを狙うのは人間だけではありません。アリがついていることが多いので、口に入れる前によく点検しないといけません。ちなみに、4月に咲いていた花はこちらです。

モミジイチゴの花 葉はモミジのように深く切れ込んでいる

そして、赤く実った野イチゴもあります。ニガイチゴです。

ニガイチゴの果実

梅雨時の湿った空気に映える色ですね。名前だけ聞くとあまり美味しそうに感じられませんが、食べればふつうに甘くて美味しい果実です。花はこちらです。

ニガイチゴの果実

ニガイチゴは花も果実も上向きにつくのでよく目立ちますが、モミジイチゴは下向きなので、注意深く探さないと見落としがちです。ヒヨドリなどが目ざとく見つけて食べるので、探すのは鳥との競争でもあります。

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カイコは2回目の眠、そして脱皮、3齢へ

6月8日、ほとんどのカイコが眠(みん)に入りました。

2回目の眠に入ったカイコ

そして本日、6月9日、ぼちぼち、脱皮をして3齢になっています。給桑開始から9日目です。3齢のカイコは、それまでと大きく異なる部分があります。それは、頭部です。

3齢に脱皮したカイコ(頭部がベージュ色です)

2齢までは真っ黒な頭ですが、3齢になるとベージュ色になります。最初の写真で、はずれかけた頭部の殻が前へずれているのがわかります。これは、眠に入っている印にもなります。3齢になると体長が2センチメートルほどになり、扱いやすくなります。そのぶん食べる量も増えるので、これからせっせとクワを取ってくる毎日となります。

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撤収完了!がろあむし展

6月5日までの会期だった舘野鴻絵本原画展「がろあむし 描かれた相模原の自然」は無事に終了しました。6月7日は、1日かけて撤収を行いました。

撤収作業もみんなでやると楽しい!

設営・列品の時と同様、舘野さんの本の編集者やお弟子さんなど関係者が集まり、作業を進めてくれました。下の写真は会期中の原画展示の様子です。

会期中の原画展示

それが、撤収を始めてから1時間もかからないうちに、すべて撤収。箱に収められました。

撤収後

この印象的な導線の空間も、見納めです。

大人気だったプロムナード

上を覆っていたオーガンジー布を取り外したところで、記念撮影。

撤収に集まったみなさんで記念撮影!

取り外した長さ8メートルの超特大複製図は、丁寧に巻かれていきました。

長さ8メートルの複製図を巻いています

午前中にはほとんどの展示資料の撤収が完了し、午後はさまざまな演出装置や、演示台の片づけなどが進み、午後3時半くらいには解散となりました。あっという間の撤収は寂しい気持ちもあるものの、これでまた次の企画に向けて動くことができます。
撤収にご協力いただいたみなさま、ありがとうございました!

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がろあむし展最終日、舘野さんは語る

6月5日、舘野鴻絵本原画展「がろあむし 描かれた相模原の自然」がいよいよ最終日を迎えました。開館と同時に、展示室内には何やら熱気があふれています。

朝イチバンからたくさんの観覧者にお越しいただきました

それもそのはず、突如開催が決まった舘野鴻トークショー第2弾「舘野鴻の仕事、これから」が11時から実施されるためです。会期初日のトークショーでは『がろあむし』の朗読、そして制作秘話などが語られました。今回は、舘野さんが今、取り組んでいる仕事や、構想が進んでいる本のお話をじっくり聴くことができました。

密度の高いトークです

その構想は、今年秋に発売となる本から、なんと10年以上先の刊行計画にも及びました。それにしても、これだけの仕事を同時進行しているとは、作家の驚くべき創作意欲と言うしかありません。

3月と異なり、今回は左手のギブスも取れました!

終了後はもちろん、サイン会です。

トークショーの前後はサイン会です

舘野さんはこの5月に立て続けに3作品を世に送り出しました。まだまだ広がる舘野鴻ワールドの今後にも期待ですね。
さて、トークショー終了後には、舘野さんと共に調査に入り、土壌動物の美しい写真をたくさん撮影された吉田譲さんも在室して、知られざる小さな生きものたちの魅力について語ってくれていました。

吉田さんによる写真の解説

音楽活動もされていた舘野さんの、即席ミニライブ・・といきたいところでしたが、腕を怪我された影響で、まだ本格的な演奏とはいきませんでした。でも、ちょっとしたサプライズに会場が盛り上がりました。

サックスプレーヤーでもある舘野さん

原画だけでなく、調査地の土壌動物の写真、ガロアムシの生息地の地質、制作過程を垣間見ることのできるラフ画、そして超拡大複製図の写真コーナーなど、いつもとちょっと違う雰囲気の博物館展示となりました。全面的にご協力いただいた舘野さん、吉田さん、そしてご協力いただいたすべてのみなさま、ありがとうございました!

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