ミニ展「意外と知らない身近な鉱物」開催中!

現在、相模原市立博物館エントランスホールでミニ展「意外と知らない身近な鉱物」を開催中です。会期は7月24日(日)までです。

今回展示しているのは、岩石を構成している造岩鉱物(ぞうがんこうぶつ)と呼ばれる鉱物です。その中でも特に代表的なものを展示しました。私たちの身の回りにある岩石は、ほとんどが今回展示した鉱物で構成されており、これらの鉱物を一つも含んでいない岩石は非常に珍しいものと言って良いでしょう。

ごくありふれた鉱物を展示していますが、今回は普通の岩石に含まれているものより大きなものを展示しました。普通の岩石に含まれているものは、数ミリ以下の大きさのもがほとんどで、顕微鏡で観察しないとわからないくらい、小さいものも珍しくありません。

横幅約8cmの黒雲母。朝鮮民主主義人民共和国産。このサイズの黒雲母は、日本ではなかなかお目にかかれません。

身近にあっても意外と知られていない造岩鉱物について、少しでも興味を持っていただければと思います。

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学芸員の技術を学ぶ

5月21日、博物館から最も近い大学の一つである青山学院大学から、博物館学芸員の資格取得のためのカリキュラムを履修している学生さん17名が来館しました。博物館で実物資料を使って実習を行うためです。

当館学芸員が非常勤講師としてこの科目を担当しています

実習の流れを説明した後、3班に分かれて資料の取り扱い方を学びます。一つは、土器の梱包です。

本物の縄文土器です

本物の土器を触るのは初めてという学生がほとんどで、緊張しつつ丁寧に作業を進めます。

じっくり丁寧に土器を梱包します

こちらは、掛け軸の取り扱いです。桐箱に入って巻かれている掛軸を取り出し、吊るしながら広げ、さらにそれを巻き上げて再び箱にしまいます。

掛軸も肉筆の資料です

巻き上げる時にどうしても「たけのこ巻」(片側にずれて巻いてしまうこと)になってしまいますが、なんとか微調整しながら巻きます。
そしてこちらはパネルの壁打ちです。

パネルの壁打ちを体験

パネルの高さや傾きを調整しながら、虫ピンをハンマーで打つのが、想像以上に難しかったようです。
どの作業も一人ずつ全員に体験してもらいました。机上で学ぶのとは違って、思うようにいかないところにも、実習の意義があります。今回の体験を、カリキュラムの総仕上げとして最後に履修する館務実習(10日間程度の学外実習)にいかしてほしいと思います。

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緊急告知!舘野鴻さんのトークショー第二弾を実施します!

現在開催中の、舘野鴻絵本原画展「がろあむし 描かれた相模原の自然」は、6月5日までの会期となります。その最終日の6月5日、舘野さんのトークショーを行います!会期初日の3月26日にもトークショーを行い、舘野さん自身による『がろあむし』の朗読などあり好評を博しました。

会期初日に実施したトークショー 朗読で始まりました(3月26日)

熱いトークを繰り広げる舘野さん(3月26日)

今回は、5月に立て続けに刊行されている新刊のお話や、現在舘野さんが取り組んでいる本の仕事などについて語ります。題して、舘野鴻トークショー第二弾「舘野鴻の仕事、これから~舘野鴻、これからの仕事を語りたおす~」。時間は11時~12時30分となります。この日は午後も2時頃から展示室内に舘野さんが在室となりますので、ぜひお出かけください!

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3年ぶりの地質学講座

5月14日(土)、地質学講座が始まりました。

新型コロナウィルスの影響で一昨年、昨年と実施できなかったので、3年ぶりの開催となります。

今年は「身近な石の中の鉱物〜造岩鉱物の基礎」と題して、ごく一般的な岩石に含まれている主要な鉱物について全4回にわたってお話しします。事前申し込み制で、すでに定員に達しています。

講義形式の講座なので、オンラインで実施しても大して変わらないんじゃないかと思われる方もいらっしゃるかと思いますが、大いに違います。

参加者の反応を見ながら、うまく伝わっていないようであれば、より詳しく説明したり、あまり反応が良くないようであれば、切り口を変えて説明したりします。同じ内容を話すにしても、参加者に応じて、説明の仕方は大きく違ってきます。

オンラインだと、視聴している方の反応が全くわからないので、一方的に話すことになります。理解しにくい箇所があっても話している方にはそれがわからないので、そのまま説明を続けざるを得ません。

博物館の教育普及事業はやはり対面で行うのが一番です。少しずつでも対面の事業ができればと思います。

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なぜここに?相模川のゼンテイカ

5月11日、市内の相模川上流部へ植物調査に行きました。
目的の植物はこちらです。

ゼンテイカ

ゼンテイカです。別名ニッコウキスゲ。信州の車山高原などの名所では、この花の群生を見に観光客が訪れるくらい、有名な花です。高原の花がなぜここに咲いているのか??
ちなみにこの場所は、通常、人がたやすく入れる場所ではありません。近くに民家も無く、植えられたとは考えられません。ヘメロカリスと総称される、園芸用に改良された品種もありますが、そうした品種の特徴も無く、どこから見ても、ゼンテイカです。
ちなみに、多摩川などでも点々とゼンテイカが分布していることが知られています。由来はよくわかりませんが、ともかくそこに存在して開花したという事実が重要なので、いくつか咲いていた株から1株を採集して、標本にしました。
近くでは、これでもか!というくらいたくさんの花をつけたヤブデマリの木がありました。

ヤブデマリ

ガマズミの仲間の木なので、真上を向いてお行儀よく並んで咲く姿がとても美しく感じられました。

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キンラン属の勉強会

5月10日、博物館を拠点に活動する専門ボランティアグループの相模原植物調査会のみなさんが、久しぶりに博物館へ集まりました。その理由は、こちらの植物の勉強会のためです。

ツクバキンラン

一見するとふつうのキンランのように見えますが、花の形にちょっと変異を含むツクバキンランいうものなのです。この日、ツクバキンランを品種として記載(新品種を論文として発表すること)した早川宗志さん(ふじのくに地球環境史ミュージアム准教授)が当館の植物標本庫へ標本調査に来られることになり、合わせて市内でも謎の?分布のあるツクバキンランについての勉強会を開くことにしたのです。

早川さんによる室内講義

まずはラン科植物の概説から、ランの花の唇弁(花弁のうちの一枚で、変形して花を特徴づけるもの)が通常の花弁と同じような形に変異するペロリア化について、そして、キンラン属のペロリアと、その一つであるツクバキンラン発見の経緯などについて解説していただきました。進化の過程でなぜこのような変異が生じるのか、まだまだわからないことが多いのが現状です。でも、こうして少しずつ分布や生態の知見が蓄積し、この分野の研究が進むと、私たちの常識を覆すような進化の秘密が明らかになるかもしれません。そんなワクワクするお話であっという間に1時間が経ちました。
そして、問題のツクバキンランを見に、市内の生育地へみんなで出かけました。

ツクバキンランの生育地で観察

生育地で実際に咲いているツクバキンランを見ながら、記載者に解説していただくなんて、とても贅沢な時間です。ここでは、通常のキンランも咲きます。唇弁があり、左右対称の花です。

キンランの花

こちらは、ツクバキンランです。唇弁が通常の花弁のように変異し、花の形が点対称(放射相称)になります。ただし、花があまり開かない性質のためちょっとわかりにくいですね。

ツクバキンラン

この緑地をずっと管理し、守ってきた地元の方も、長年の謎だったこのキンランを、記載した研究者に見ていただけたことにとても喜ばれていました。
新型コロナウイルスの感染状況を見ながらとなりますが、こうした勉強会も少しずつ再開していきたいと考えています。

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ハリエンジュの花

5月8日、ゴールデンウィークの最終日です。博物館お隣の樹林地では、ハリエンジュが開花しています。

ハリエンジュの花

外来種ではありますが、地域によっては蜂蜜の原料の一つになるなど、有用な樹木として知られています。

花には甘い香りがあり、実際に味の甘みもあります

ただ、成長が早くすぐに大木になるのと、名前にあるとおり鋭いトゲが全体にあって、ちょっと扱いにくい木でもあります。ちなみに、花は甘い香りとともに、花自体に甘みがあり、食用になります。
こちらは、やはりトゲトゲのある白い花、ノイバラです。

ノイバラの花

樹林内では、「タララララララ・・」とドラムロールのような音が響いています。これは、アオゲラのドラミングです。

アオゲラ

ドラミングとはアオゲラなどキツツキ類特有の習性で、つつくと大きな音の出る木を選び、連続で木をたたいて縄張りを宣言したりします。つまり、さえずりと同じ役割があるということですね。
キビタキも、相変わらず美しいさえずりを響かせています。

ほれぼれするようなキビタキの色合い

また、姿は見えませんでしたが、樹林の奥の方から「ジュジリジュジリジュジリ・・」と連続した鳴き声が聞こえてきました。おそらく、オオムシクイが渡りの途中に立ち寄って鳴いているのでしょう。
定着して縄張りを守る鳥、渡りの途中に滞在している鳥など、この季節の樹林はとても賑やかです。

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立夏の生きものたち

今年の二十四節季の立夏は、5月5日でした。そんな中、緑区の山中ではヤブデマリの花があちらこちらで満開となっていました。

ヤブデマリの花

こちらは花がよく似ていますが、まったく別種のガクウツギです。

ガクウツギの花

キリは大きな花をたくさん咲かせていました。

キリの花

キリの花が咲いている場所では、夏鳥のサンショウクイが「ヒリリ、ヒリリ」と鳴きながら飛び回っていました。

サンショウクイ

4月中に伺う予定だったのがかなわず、やっと訪れることができた緑区のあるお宅の裏山では、クマガイソウが2株、咲いていました。1週間前なら、もっとたくさん咲き誇っていたはずです。

クマガイソウ

立夏を過ぎても、季節はまだ春です。春はこんなふうに加速しながら駆け足で過ぎていくので、追いかけるのがとても大変です。

 

 

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夏鳥の季節到来

5月に入り、博物館お隣の樹林地は新緑が日増しに濃くなっています。そんな中、夏鳥のキビタキがさえずっています。

キビタキ(オス)

キビタキは、この10数年で平地の樹林でも繁殖するようになりました。かつては山地の鳥だったのが、相模原市内でも相模川沿いの段丘崖の樹林地で繁殖するようになり、その後、平地林にも進出してきました。声も姿も美しいので、この季節の森歩きの楽しみとなっています。
日なたでは、クマバチが飛んでいます。

クマバチ(クマンバチ)

ホバリングしながら縄張りを守り、近づくライバルを追い払っています。くるくると向きを変えるのですが、お尻(正確には腹部ですが)がかわいいですね。

クマバチの後ろ姿

そして、5月2日、樹林地内に設置しているセンサーカメラには、ちょっと珍しい夏鳥が写っていました。

センサーカメラに写ったミゾゴイ

ミゾゴイです。山地の樹林の奥深くで繁殖するので、おそらくこの樹林地には渡りの途中に立ち寄ったと考えられます。センサーカメラを設置して5年ほどになりますが、初めての確認となりました。

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【予告:5月14日(土)】縄文時代集落跡の発掘調査現地説明会を開催します。

現在、相模原市中央区田名の花ヶ谷戸(はながやと)地区では、株式会社玉川文化財研究所により、発掘調査が行われています。

これは土地区画整理事業に伴う事前の発掘調査によるもので、何時代の遺跡なのか、遺跡の内容を記録し保存するためのものです。

発掘調査現場の位置

 

発掘調査中の遺跡は「当麻遺跡第3地点」と呼ばれ、今から約5,000年前の縄文時代中期の住居跡が50軒ほどみつかっています。今回の発掘調査現場の西側でも、過去に行われた国道129号線の改良工事、田名塩田原土地区画整理事業の事前の発掘調査により、縄文時代の住居が集中してみつかっており、縄文時代の集落跡であったことが明らかになっています。

図面の○が縄文時代の住居跡です。

 

この当麻遺跡第3地点の調査状況を広く一般に公開するため、5月14日(土)に現地説明会を開催します。発掘調査を担当している調査員から調査状況を解説していただき、出土した土器、土偶、石棒なども見学できます。また、当館からは関連資料として隣接する田名花ヶ谷戸遺跡の出土品を展示する予定です。

貴重な発掘現場や、縄文時代の人々が実際に使用していた土器などを間近で見学できる絶好の機会ですので、ぜひご参加ください。

現地説明会のチラシ

※申し込み不要、直接会場へお越しください(先着500名)。全体説明は午前10時、午後1時に行います。雨天中止。

文化財保護課ホームページ:
https://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/event/event_all/1025310.html

博物館ホームページ:
https://sagamiharacitymuseum.jp/blog/2022/04/29/0514gentisetumeikai/

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