ソメイヨシノの次は・・ウワミズザクラとイヌザクラ

相模原市内では、ソメイヨシノの花期はすっかり終わり、まぶしい新緑に包まれています。でも、そんなタイミングで咲くサクラもあります。ウワミズザクラとイヌザクラです。

ウワミズザクラ

イヌザクラ

一見、サクラには見えないかもしれませんが、れっきとしたサクラの仲間で、分類上もソメイヨシノなどとかなり近い種類です。それにしてもこの2種類、よく似ていますね。
小さな白い花がブラシのようについているのが特徴的ですが、そのブラシの柄にあたる部分に数枚の葉がつくのがウワミズザクラで、つかないのがイヌザクラです。しかし、この見分け方は花が木の上の方についていると、遠くてよくわかりません。そこで、葉を見てみましょう。
ウワミズザクラの葉は、いわゆる「サクラの葉だな」と思える形で、鋸歯(きょし:葉の縁のギザギザ)がはっきり見えています。

ウワミズザクラの葉

ウワミズザクラの鋸歯

一方、イヌザクラは葉の形が特徴的で、半分より先の方の幅が広くなります。鋸歯は内側に巻き込むような形で、あまり目立ちません。

イヌザクラの葉

イヌザクラの鋸歯

博物館のお隣の樹林地では、この2種類が向い合わせに咲く場所もあり、上の写真もそこで撮影したものです。新緑に紛れて目立たないことが多いのですが、雑木林などを歩いていると、意外と身近なところにある木です。緑地で白いブラシのような花が咲いていないか、ぜひ探して見てください。

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満開!フデリンドウ

2週間ほど前に、フデリンドウがやっと1株、開花したとこのブログでお知らせしました。ちょうど今、満開です。

フデリンドウ

ただ、この2日ほど雨が続いたため、開いた花は見られませんでした。フデリンドウは晴れていないと開花しないためです。
4月16日はお昼前に晴天となったため、一斉に開花すると、待ちかねていたようにビロードツリアブが吸蜜に訪れていました。

吸蜜に訪れたビロードツリアブ

長い口吻を花の奥に差し入れて吸蜜しますが、モコモコの体のビロードツリアブはギリギリ届いているくらい、花の奥に蜜があるようです。

こうして花の奥に頭を突っ込んでいるうちに、頭が花粉だらけになります

そして、午後3時半を回って日が傾くと、フデリンドウはあっという間に閉店です。

日が傾いて花を閉じたフデリンドウ

フデリンドウはこのように、お天気によって花を開いたり閉じたりできます。もうしばらく、晴れた日には満開のフデリンドウを楽しめそうです。

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「写真で見る相模原~昭和・平成の生活と民俗~」(No99 博物館の活動)

前回のブログでは、中央区田名にお住まいだった大谷タケさんによる糸取りや機織りとともに、大谷さんに博物館で実演していただいた際の様子を取り上げましたが、博物館では日々の資料の収集や調査はもちろん、多くの市民の皆様のご理解やご協力を得てさまざまな事業を行ってきました。今回は、そうしたものを撮影した写真を紹介します。

最初の写真は、やはり大谷さんにお願いした平成10年[1998]7月実施の「糸取り・機織り実演会」で、この年から希望者に、糸取りや簡単な機織りの体験をしていただくことも内容に加えました。一枚目では子どもが座繰り(ざくり)機での糸取りを体験しています。二枚目は、実際に機織り機に糸をセットするまでの作業として、仮筬通し(かりおさどおし)について、参加者が熱心に説明を聞いています。                                

 

ブログNo.18でも取り上げたように、酒まんじゅうは相模原の夏場のごちそうとして、祭りやお盆に各家でたくさん作られました。こうした地域の文化に触れることを目的に、平成9~13年度に「酒まんじゅう作り教室」を行いました。

写真は平成10年[1998]8月の撮影で、講師にお願いした女性が粉をこねる様子を見る参加者と、蒸かし上がった酒まんじゅうをすぐに団扇(うちわ)であおぎ、冷まして表面に照りを出しているところです。事前申込制でしたが、毎回定員を大きく超える申し込みがある人気の教室でした。                                

 

次の写真は、平成7年[1995]11月の博物館開館直前の館内で、ワラスグリという道具で藁の束をこぎ、その藁を使って養蚕に使う改良まぶしを作っています。

常設展示で養蚕の道具を展示するに際して、でき上った改良まぶしだけでなく、それを作る道具とともに展示することを目的に、普段から調査などでお世話になっていた方々にお願いしました。また、実際に作っていただくことで、道具の使い方や作り方を撮影することができました。なお、現在、この改良まぶしは展示替えのため、展示されていません。

                 

 

最後の写真は、平成9年[1997]2~3月に開催した、企画展「川と生活~相模川と人々のくらし~」で展示した船に帆(ほ)をはる様子です。相模川では、昭和初期頃まで物資の運搬をする帆かけ船が通り、展示の目玉の一つとして、実際に展示会場に帆かけを再現しました。                  

帆かけは、例えば帆柱への取り付けや縄の結び方など、さまざまな技術があります。作業は南区磯部地区の民俗資料保存会の皆様にお願いし、帆かけ船の様子を来館者に見ていただくことができました。                                   

 

重ねて述べるまでもなく、博物館は多くの市民の皆様のご協力のもと、内容によっては協働しながらいろいろな活動を展開しています。今後とも、そうした点を大切にしながら、写真を含めた各種の資料を蓄積していきたいと思います。

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【 本日情報解禁!】リュウグウサンプルのレプリカ!?

小惑星探査機「はやぶさ2」が小惑星リュウグウの探査を終え、リュウグウのサンプル(試料)という「お宝」が詰まった玉手箱・・ならぬ帰還カプセルを無事地球に送り届けたのは2020年の12月のことでした。

昨年(2021年)12月に、当館で「リュウグウのサンプル」を公開したことはみなさまの記憶にも新しいところかと思います。

その「リュウグウのサンプル」のレプリカを、JAXA宇宙科学研究所はやぶさ2プロジェクトと、JAXA宇宙科学研究所と夢を創る会相模原市の連携事業として作成する運びとなり、全国の展示施設等を募集することが、本日、報道発表されました。

サンプルレプリカの画像
(画像提供 はやぶさ2プロジェクト)

詳しくはこちら

今度の6月13日の「はやぶさの日」は、全国一斉はやぶさの日ということになりますね。

当館でもそのころに開催するイベントを、あれこれと企画しているところです。どうぞお楽しみに!

※3月26日の宇宙学校・さがみはらに連動して展示した「はやぶさ2」関連ミニ展示は好評につき展示期間延長中です。常設展示室出口あたりのケースに展示してあります。どうぞお見逃しなく。

手前のケース内が「はやぶさ2」関連展示です。イーゼルの写真パネルは展示終了しました。

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尾崎咢堂記念館、4月には…

みなさん、相模原市緑区にある「尾崎咢堂記念館」をご存知でしょうか?
当館の所管施設の一つで、衆議院に25回連続当選し「憲政の神様」と称された尾崎咢堂(歴史の教科書などで習う「尾崎行雄」という名前の方が馴染みがあるかも?)の生誕の地、緑区又野にある施設です。

最近では漫画化もされたこのエピソードでも話題になった人物です。明治の終わりごろには東京市長を務め、ワシントンに桜を贈ったエピソードをご存知の方も多いかもしれません。

今年の1月には相模原市の広報番組で特集もされました。動画はこちら

この時期、桜が満開です。

(過去に撮影したイメージ写真)

ぜひお花見も兼ねておいでください。

(桜以外にも見ごろの花があります。これは以前に撮影したもの)

敷地内にある「咢堂桜」の見ごろはまだもう少し先になりそうです。

この「咢堂桜」とは、品種名ではなく、尾崎咢堂(尾崎行雄)が東京市長時代にワシントンに送った桜が「里帰り」した苗を育てたものです。

咢堂桜が見ごろになったらTwitterなどでお知らせします。どうぞお楽しみに!

※咢堂桜は市内のあちこちに植樹されており、中央区の上溝さくら公園などで見ることもできます。

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「写真で見る相模原~昭和・平成の生活と民俗~」(No98 糸取りから機織りまで)

本ブログのNo.60では、昭和60年(1985)度に製作した文化財記録映画「さがみはらの機織り」を取り上げましたが、博物館では繭の糸取りから機織りまでの工程について、映画とは別に写真撮影をしています。

中央区田名にお住まいだった大谷タケさんは、大人になってから機織りを始め、身近な方に糸取りの方法を習い、機織りは工房に習いに行って覚えました。そして、自分や家族の着物を作ったり、布や小物類を親しい人に配るなど、楽しみながら機織りをされていました。

以下の写真は、平成9(1997)年6月10~11日にご自宅の作業場において、大谷さんが行なっていた一連の作業を撮影させていただいたものです。

最初の写真は製糸で、繭を煮て座繰り(ざぐり)と呼ばれる道具で糸を取っています。ちなみにこの座繰り機は博物館に寄贈いただき、現在、常設展示室で展示しています。                 

大谷さんは、糸もご自分で草木染をして、いろいろな色に糸を染めていました。

糸から布を織るにはいくつかの作業が必要です。次の写真は整経(せいけい)で、たて糸(経糸)の準備です。糸を整経台に掛け、織るものに合わせて糸の長さと必要な本数を決めます。                

次に、仮筬通し(かりおさどおし)で、糸の配列を決めて織り幅を整えます。                

たて糸は、機織り機にセットする緒巻き(おまき)に巻き取っていきます。                

筬(おさ)通しは、筬の櫛(くし)の間にたて糸を一本ずつ通す作業です。               

そして、いよいよ機織りで、たて糸の間によこ糸を入れて織り上げていきます。               

この時には、くず繭から作る真綿(まわた)作りもやっていただきました。真綿を枠にひっかけて伸ばしていくもので、昔は布団の回りに入れて綿が寄らないようにしたり、寒い時には真綿を服の下に仕込んだりしました。

最後の写真は、平成9年(1997)7月13日に博物館で実施した「機織り実演会」です。博物館では平成8年から16年まで、大谷さんにお願いして機織りや糸取りの実演や体験を行っており、今回の写真もその企画や実施のために撮影させていただきました。                 

ここで紹介した写真は、機織りをするために必要な作業の一部ですが、実演会当日も、そうした会場では行えない諸準備の様子を写真パネルで紹介しました。撮影当時に実際に個人で糸取りや機織りをされている方はなく、その一連の工程を撮影できたことと、何より実演会を開催できたことは、開館間もない博物館の活動を広くアピールする機会となりました。

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フデリンドウ開花!といってもまだ1株ですが・・

先月、3月19日の生きものミニサロンで、博物館の駐車場やお隣の樹林地のフデリンドウのつぼみの脇に、印を立てました。そろそろ開花のタイミングなので、お天気の良い日は見回っています。今日(4月1日)はお昼前に青空が広がって来て日が差したので確認に行くと・・

駐車場で1株だけ咲いたフデリンドウ

1株だけ咲いていました!

やっと1株!

ほかはまだつぼみでしたが、この週末から来週にかけて少しずつ咲くでしょう。この花を見ると、本格的に春がやってきたことを感じます。見ごろは4月10日前後からとなる見込です。
そばでは、待ちかねたようにビロードツリアブが飛んでいました。フデリンドウの花の蜜が大好物です。ただ、今日は気温があまり上がっていないので、すぐに落ち葉の上などにとまって日向ぼっこをしていました。

ビロードツリアブ

ほかにも花はどんどん咲きだしています。モミジイチゴも透き通るような白い花を下向きに咲かせていました。

モミジイチゴ

春が加速度を上げて進んでいます。

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今日から令和4年度!今年度もよろしくお願いします。

1月は行く、2月は逃げる、3月は去る・・・というブログ記事を書いたのがつい先日に感じますが、あっという間に3月が去り、今日からいよいよ令和4年度です。

令和4年度、相模原市立博物館では、現在開催中の

舘野鴻絵本原画展
「がろあむし 描かれた相模原の自然」

を含めた数本の企画展やミニ展示のほか、さまざまな事業を企画しています。
開催が間近に迫るものとしては、ナイトプラネタリウム&観望(おかげさまで4月開催分は早々に定員に達し、受付終了しました。今後の予定等はこちらをご覧ください)、そして「ガンダムマンホールいきまーす!」、などなど。

広報さがみはら4/1号

このマンホール関係の事業は市の下水道関係部局との連携により実現したものです。かねてより庁内外の機関等との連携を進め、さまざまな事業を展開してきました。今年度も引き続き、さまざまな取組みを進めてまいります。

もちろん、地域に関する事象について、分野ごとに、また、分野を超える調査研究も進めます。

新しい年度、当館の取組みにぜひご注目ください。

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「写真で見る相模原~昭和・平成の生活と民俗~」(No97 道を巡るあれこれ)

前回は、甲州道中(甲州街道)とその難所であった小仏峠を紹介しました。そして、このブログではこれまでも大山道など、いくつかの道について取り上げてきました。今回は、津久井地域の道に関するいくつかのことについて記していきたいと思います。

甲州道中の関所について、前回のブログで諏訪番所(上野原市)と小仏関所(八王子市)に触れましたが、もちろん東西を抜ける道は甲州道中だけでなくほかにもあり、通り抜けを制限する関所とされている場所があります。

最初の写真は緑区青野原(あおのはら)の関所跡で、甲州道中の裏街道の要所として、地元の人以外は通るのに調べを受けたと言います。後々の時代まで石畳(いしただみ)があったようですが、現在は名残をとどめていません(平成19年[2007]2月16日撮影)。                  

 

また、緑区寸沢嵐(すわらし)にも鼠坂(ねんざか)関所があり、やはり近所の者しか通行を許さず、昼夜二名が交代で警護したとされています。ここには関跡の碑が建っています(平成20年[2008]2月23日)。                                 

 

次の写真は緑区佐野川・下岩(さのがわ・しもいわ)地区で、集落の中を旧道が通っています。甲州道中の裏街道は八王子宿から分かれて和田峠に至り、ここに出てきます。その途中にあるのが下の写真の倉子峠(くらこどうげ)で、かつてはこの場所に小学校があったと言います。さらに、松尾芭蕉(まつおばしょう)や門下の支考(しこう)の句を記した句碑があり、写真の左側にその説明版があります(平成21年[2010]3月10日)。                                    

 

国道413号線は、山梨県富士吉田市と相模原市緑区を結ぶ国道で、西橋本で国道16号線とつながります。山梨県の道志村に至る道で、「道志みち」とも通称され、今回の東京オリンピックでは自転車競技のコースとなりました。その途中の青野原と青根地区の間には、国道の県内最高標高地点の表示があり、こうした意外なものを発見するのもフィールドワークの楽しみの一つです(平成19年[2007]3月7日)。                 

 

この道をさらに山梨方面に進み、市内のもっとも西側に位置する集落が緑区青根で、相模川支流の道志川を境として山梨県と接しています。次の写真は、県境にかかる両国橋から見た道志川で、それとともに橋から振り返ると相模原市の表示板が見られます(平成19年[2007]3月7日)。                                

 

博物館では各種調査をはじめ、市民とともに実施したフィールドワーク等で市内はもちろん、場合によっては関連する市外も含めてさまざまな地区を歩き、写真を撮影してきました。これらの写真も、博物館のさまざまな活動の記録であるとともに貴重な資料であり、本ブログでもいろいろなテーマのもとに紹介するなど、活用しています。

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即席の作画実演も!3月27日の「がろあむし展」

3月27日も舘野鴻絵本原画展「がろあむし 描かれた相模原の自然」の会場に、作者の舘野鴻(たてのひろし)さんが来てくださいました。来場されたみなさんと語らいながら、“制作秘話”を惜しみなく語っていました。展示の一つに、舘野さんのアトリエの様子を再現したコーナーがあるのですが、舘野さんはそこでおもむろに子どもたちと絵を描き始めました!

即席の作画実演会!

 

展示用に複製したスケッチ画の横に、ガロアムシを鉛筆で描き、
「この絵に何点くれるかな?」
「うーん、95点」

ガロアムシは95点をいただきました!

そんなやりとりを楽しみながら、次々と描いていきます。
さらに、持っていたお茶を絵の具皿にたらして、なんと彩色も!

お茶をたらして彩色まで!

アオオサムシのスケッチができあがり!

ミミズを食べるアオオサムシ

ちょっと贅沢な、即席の作画実演となりました。
展示は6月5日(日)まで続きます。舘野さんは、神出鬼没。たまに、ふらりと展示室に来られるかもしれません。

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