ハクビシン

1月29日、博物館お隣の樹林地で野鳥の調査を行いました。すると、遠くから視線を感じます。

ハクビシン

ハクビシンが歩いてこちらへ向かってきます。特に警戒する様子もなく近づいてきたのですが、さすがに気配を察したのでしょう。くるりとUターンし、こちらを時々伺いながら来た道を戻ります。

夜行性の動物ですが、時々昼間も活動します

その向こうはフェンスなのでどうするのかなと見ていると、するすると音もなく登ります。フェンスの上を、尻尾でバランスをとりながら器用に歩いていきました。

フェンスの上を難なく歩きます

博物館のフェンスの上端はワイヤーが立体的に組まれていて、平らになっていないため、歩きやすくないはずです。しかし、ハクビシンは電線を綱渡りするように歩く姿も目撃されることがよくあります。フェンス上を歩くなんて朝飯前なのかもしれません。外来種のハクビシンは、相模原全域に生息しています。こうしてフェンスや電線の上をうまく利用しながら都市部にも分布を広げてきたのでしょう。
このハクビシンはその後、倒木を渡って樹林の中へ消えていきました。

倒れかけた木をつたって樹林内へ消えていきました

後から写真をよく見ると、このハクビシンは右目が陥没していて、おそらく何かの事故で右目を失明しているようでした。それでも毛並みも悪くなく、真冬のこの季節を過ごしている様子にたくましさを感じました。

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考古企画展「古代相模原台地の開発」を開催中です!

令和4年1月29日(土)から3月13日(日)まで、相模原市立博物館特別展示室にて考古企画展「古代相模原台地の開発」を開催中です。

常設展示を通り抜けて、特別展示室へ。

特別展示室入口。大きな看板が目印です。


市内には今から約1,400~1,000年前の古墳時代の終わりごろから平安時代の遺跡が多く残っています。この時期を「古代」としてとらえ、企画展のテーマに設定しました。この時代を主なテーマとした企画展示は当館では初めてです。
企画展では4つのテーマから古代における相模原台地の開発を探ります。その4つのテーマとは「開発の波」、「集落と道」、「古代集落の生活」、「古代の終焉」です。

「開発の波」の展示

「開発の波」では、市内の古代における開発の様子を、集落の分布や土器を中心とする出土品から紹介し、さらに「集落と道」では古代東海道とのつながりや集落間を結ぶ道の存在を推測します。また、「古代集落の生活」として古代の人々の生活について住まい、生活用具の土器、信仰がうかがえる資料などから探り、そして最後に「古代の終焉」で古代松野集落の様子と中世初頭の集落を紹介します。

市内遺跡の出土品が展示されています。 じっくりご覧ください。


身近な遺跡から、古代の暮らしや歴史を学ぶことのできる絶好の機会となっていますので、ぜひご来館ください。この企画展で、「古代」には市内にどのような遺跡があったのか、先人の歩みを振り返っていただければと思います。
なお、担当学芸員による展示解説が2月6日(日)、2月27日(日)、3月13日(日)、午後2時から、特別展示室にて開催予定です(いずれも同内容、申し込み不要です。)

※新型コロナウィルスの感染拡大の状況により、内容の変更や開催中止となる場合がありますので、開催状況については博物館ホームページをご覧ください。

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東京2020大会レガシー(遺産)を紹介~木製ソファ・ミライトワ・ソメイティ~

1/28に東京2020大会レガシー(遺産)として、選手村で使用された「さがみはら津久井産材」で製作された「木製ソファ」のひとつが博物館に設置されました。(木製ソファの市内施設への設置については、こちらをご覧ください。)

津久井産材の「木製ソファ」…二酸化炭素の吸収など環境にも配慮されているそうです

この木製ソファを紹介し、来館者のみなさまに座っていただくだけでも良いのですが、実は当館では東京2020大会関連資料を数多く受け入れておりますので、この木製ソファとあわせて資料の展示も行いました。

東京2020大会レガシー展示全体

注目は、東京2020オリンピック大会マスコットの「ミライトワ」と、パラリンピック大会マスコットの「ソメイティ」のメダルカラー各1組3体の人形で、市オリンピック・パラリンピック推進課から受け入れたものです。

金・銀・銅のミライトワ・ソメイティ…ソーシャルディスタンスをとって表彰台に乗っています

また、ミライトワとソメイティのA1判拡大ポスター(市オリンピック・パラリンピック推進課より受け入れ)と、意外と知られていないそれぞれのプロフィールも紹介しています。

ミライトワとソメイティポスターとプロフィール…実は意外な特技や能力があるそうです

可愛らしいミライトワとソメイティに囲まれながら、木製ソファでくつろいでいただければと思います。

ミライトワ・ソメイティに注目してくれています!

3月には東京2020大会レガシーミニ展示を開催予定ですので、ぜひご来館ください。

 

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博物館にオリンピックのレガシーがやってきた!

北京オリンピックが間近に迫ってきました。相模原市ゆかりの選手も出場するとのことで楽しみですね!詳しくはこちら

さて、なぜオリンピックの話題から始まったかといいますと・・・先日、思わせぶり?に予告した「博物館へのお年玉」(予告していたブログ記事はこちら)がやってきたからなのです。

台車に乗っているものは・・・

そう、「お年玉」というのが オリンピックのレガシー(遺産)品だったのです。

東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会において、選手村の建築物に利用する木材として使われた津久井産材(その時のプレスリリースはこちら)が、オリンピック後に相模原に帰ってきたのですが、その木材を活用して作られた木製ソファなのです。

これです!

以下、「東京2020大会選手村“ビレッジプラザ”へ提供した『さがみはら津久井産材』のレガシー利用」についてのプレスリリースから引用します。

第1弾として、市庁舎や区役所等に『木製ソファ』を設置します。また、木材を伐り出した地元に「木を還す」との想いから、藤野中学校へも設置します。

ということで、博物館にもソファ(ベンチ)を設置することになり、それが届いたのが今日!というわけです。今後、博物館でみなさんに活用していただけることになりました。

プレスリリースの全文はこちら

博物館にご来館の際はぜひチェックしてみてくださいね!

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冬芽のつづき

先日の生きものミニサロンでは、冬芽の観察で盛り上がりました。
ただ、30分という時間の中ではあまりたくさんの冬芽を紹介することはできません。場所を移動するだけでも時間がもったいないので、動き回らなくても見られるものだけを観察しました。せっかくなので、博物館の敷地内にあるほかの冬芽もここで少し紹介します。まずは、毛皮のコートをまとう冬芽の代表格とも言える、コブシです。

毛におおわれたコブシの花芽

上の写真は花芽(かが)で、こちらが葉芽(ようが)です。

小さいけど、毛でおおわれています

そして、形も葉痕(ようこん:葉の落ちたあと)の模様もハートフルな、クサギの冬芽です。

クサギの冬芽と葉痕

こちらは、ヒメコウゾです。口を丸く開けて怒っている人のようにも見えます。

ヒメコウゾの冬芽と葉痕

ミニサロンのブログの冒頭にも紹介したサンショウは、場所によって幼木がたくさん生えていて、その1年目の枝にこのようにかわいらしい冬芽が見られます。

サンショウの冬芽と葉痕

公園などの身近なところでも冬芽の観察はできます。真冬のこの時期が一番見やすいので、こんな木々の表情をぜひ探して見てください。

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NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」関連ミニ展示の紹介①

1月から始まったNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の関連事業として、当館でも1/15よりミニ展示「鎌倉時代初めの相模原の武士団 横山党」を開催中です。

ミニ展示全体

このミニ展示では、鎌倉時代初めに相模原市域に勢力を持っていた武士団横山党と、大河ドラマの13人のひとりで横山党とも関係の深い和田義盛(わだよしもり)という武将の市内の伝承地などを紹介するともに、伝承が記された明治期の地誌資料を展示しています。

和田義盛と横山党コーナーと関連資料展示

今回から3回にわたりミニ展示の解説と、ミニ展示では紹介できなかったことなども交えて各回掲載していきます。まず、今回は横山党について紹介します。

横山党とはコーナー…残念ながら相模原の横山が本拠ではありません

横山党はもとは中央貴族の小野氏(遣隋使の小野妹子や、この世とあの世を行き来できたとされる小野篁などがいる)の末裔で、10世紀頃に武蔵国(むさしのくに)に移り、八王子周辺を本拠とし、進出した土地の名である横山を名乗ったとされる武士団です。

横山党本拠と伝わる八王子市元横山町の八幡八雲神社内にある横山神社

その後、11世紀半ばに源頼義に従い奥州安倍氏を攻めた前九年の役などに活躍し、さらに勢力を広げ(現東京都内のほか埼玉、神奈川、山梨の各県内に一族が分布)、相模原市域にも進出します。そして、進出した土地を名字とし、粟飯原氏、藍原氏(現在の相原周辺)、小山氏、田名氏、矢部氏、小倉氏などを名乗ります。

横山党系図(相模原市中学生社会科副読本『私たちの相模原』より)

ミニ展示では、藍原氏、田名氏、小倉氏、矢部氏の館跡伝承地を写真パネルで紹介しています。

田名氏館跡伝承地の大杉の池。大杉の池は八瀬川の水源の一つ。

特に、矢部氏館跡伝承地周辺は、土塁(館の防御施設)、板碑(中世の供養塔)、館の鬼門(北東)に建つとされる上矢部御嶽神社のほか、発掘調査などで堀も確認され、多くの痕跡があります。

上矢部土塁(奥)と説明版

ミニ展示内では、各伝承地の詳細位置図も展示していますので、ぜひご確認ください。

本ミニ展示は3/13まで開催予定です。次回は、13人の一人「和田義盛」と横山党の関係について紹介します。

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「写真で見る相模原~昭和・平成の生活と民俗~」(No89 どんど焼き・団子焼き④)

どんど焼き関係で最後となる今回は市外の写真です。博物館では、例えば企画展の準備や民俗講座の中で、市民とともに行うフィールドワークの一環として市外の行事も調査しており、市外の状況を知ることで逆に相模原の特徴がよく分かることがあります。

最初の写真は町田市木曽町の境川地区のどんど焼きで、まさに点火したところですが、右下に四角いものが写っています。これは道祖神の石塔で、どんど焼きで実際に道祖神も燃やしており、元からあったものが傷みが大きくなったため、今では新しい石塔を作ってそれを燃やしています。ここではどんど焼きで道祖神を燃やす、という伝承が引き継がれています(平成24年[2012]1月8日撮影)。                  

 

次の写真は、大磯町の海岸で行われる「大磯の左義長(さぎちょう)」で、特徴ある行事として国重要無形民俗文化財に指定されています。海岸に作られた九つのサイトと呼ばれるお飾りなどを積み上げたものが並ぶ姿は壮観で、夜になると点火されます(平成12年[2000]1月14日)。                   

ここでは、橇(そり)のような台に乗せた仮宮(かりみや)を作り、裸の若者たちが極寒の海に引き入れて陸と海側で綱引きをして、その後で仮宮をつぶして地区内を引き回す「ヤンナゴッコ」が行われます。写真は仮宮と、海から上がって引き回しているところで、座っている青年の下側につぶした仮宮が見えています(平成13年[2001]1月14日)。                    

 

どんど焼きは元は子どもの行事とされ、準備なども子どもがしていました。そして、道祖神の小屋に子どもが集まり、そこを通る人たちから賽銭(さいせん)をねだったという話は市内でも聞くことができます。

秦野市堀山下(ほりやました)では「悪魔っ払い」があり、衣装やお面を身にまとった子どもたちが集落の各家を訪れ、「悪魔っ払い、悪魔っ払い」と唱えながら悪いものを払って、お礼の金を貰うということが行われていました。次の写真は、この地区の道祖神の小屋の様子と悪魔っ払いです(平成15年[2003]1月13日)。                  

 

市内では山車(だし)というと夏祭りを思い浮かべますが、県西部では1月に道祖神祭りとして山車が出されています。一枚目の写真は山北町で、地元で花車(かしゃ)と呼ぶ各地区の山車が集まったところです(平成13年[2001]1月14日)。                 

小田原市南鴨宮(みなみかものみや)では大きな山車が曳かれ、山車にたくさんの提灯(ちょうちん)が付けられており、前年に生まれた子どもやその親などの名前が記されています(平成26年[2014]1月11日)。また、同じ小田原市でも前川(まえかわ)の三地区では山車に人形を飾ります。毎年テーマを決め、ちなみに掲載した中宿では、織田信長が討たれた本能寺(ほんのうじ)の変がこの年の内容でした(平成26年[2014]1月11日)。                  

 

最後の写真は箱根町宮城野で、右側に道祖神の小屋、左側には高く掲げた竹にダルマや御幣(ごへい)などを飾ったオンベと呼ばれるものが見えます。日本を代表する温泉地・箱根でもこうした古くからの行事が行われています(平成23年[2011]1月12日)。                   

 

今回は、町田市のように相模原でも同様の伝承が確認されるものとともに、市内では行われていなかったものも取り上げました。市内を中心に視点を広げていくことで、この行事の地域的な特徴や多様性が捉えられ、そうした点を示すのも博物館の役割の一つと言えます。

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1月26日は文化財防火デー!そんな日に博物館に消防車がやってきて・・・

博物館の駐車場に消防車が!

緑が丘分署の消防車です

何事か!?と思った人もいたかもしれませんね。

実は今日1月26日は文化財防火デー(文化庁のホームページの解説ページはこちら)」。

ということで、博物館では、立ち入り検査が行われました。

ミュージアムショップでもチェック!

天文展示室内の消火器もチェック!


3階から地下まで、バックヤードを含め、しっかり検査していただきました。(お忙しい中、撮影にもご協力いただきました。緑が丘分署のみなさんありがとうございました)

これからも引き続き安全で安心な博物館の運営を目指していきます!

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JAXA宇宙科学探査交流棟で川原の石を展示しています

相模原市立博物館のお向かいにあるJAXA相模原キャンパスの宇宙科学探査交流棟には、相模原市立博物館を紹介するコーナーがあります。

宇宙科学探査交流棟の相模原市立博物館紹介コーナー

この博物館紹介コーナーで、令和4年1月26日から、相模川の川原の石を展示しています。相模川の川原の石は、富士山、丹沢山地、関東山地の3か所から、川の水によって運ばれてきたものです。今回はそれぞれの代表的な石を展示しました。1年間ほど展示する予定です。

代表的な川原の石たち

宇宙科学探査交流棟を見学した際には、こちらのコーナーもご覧いただき、さらに、相模原市立博物館にもお立ち寄りいただければと思います。

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生きものミニサロン「真冬の木の枝に春の準備を見つけよう」を実施しました!

1月22日、毎月恒例の生きものミニサロンを実施しました。今回のテーマは「真冬の木の枝に春の準備を見つけよう」です。ズバリ、冬芽の観察です。

サンショウの冬芽

ただし、当館のまわりにはあまり大きな冬芽をつける樹木が無いので、ルーペを持ってもらい、お隣の樹林地へ行きました。

ルーペを持って冬芽をじっくりと観察

最初にみなさんに紹介してとてもウケたのが、ハリエンジュの冬芽です。

ハリエンジュの冬芽

ハリエンジュの冬芽は、枝に埋没するタイプなので通常はあまり紹介する機会が無いのですが・・・ルーペでじっくり観察した参加者のお子さんからは「鬼の顔!」と声が上がりました。若い枝の冬芽が、トゲとセットで、鬼、あるいは般若(はんにゃ)のお面のようにも見えます。
そして、アカメガシワの冬芽は、「毛がいっぱい!」と声が。

アカメガシワの冬芽

すばらしいリアクションだったので、大切な芽を凍結から守る方法として、毛皮をまとうか、カプセルに入れるか(または枝にしまいこむか)という違いを紹介しました。
最後にみなさんで取り組んでいただいたのは、冬芽観察標本づくりです。

オリジナルの冬芽観察標本

ミズキの冬芽を採集し、芽鱗(がりん:冬芽を構成するうろこ状のもの)をはがしながらスチレンボードに張り付けていきます。

配置もいろいろ考えています

何枚もの芽鱗をはがすと、やっと小さな葉の芽が出てきました。ピンセットと指でみなさんしっかり作ってくれました。
ちょっとマニアックな内容かなと心配しましたが、植物に興味を持ってくれるお子さんがたくさん参加してくれたため、とても楽しく盛り上がりました。
来月は2月26日に実施します。お楽しみに!

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