巣箱の壁に居候

10日ほど前、敷地内に設置している鳥の巣箱の壁に居候がいると教えてもらいました。

巣箱の正面に黒い何かが…!?

近づいてみると、何かが集団を作っています。

ヨコヅナサシガメというカメムシのなかまです。

ヨコヅナサシガメの集団

体が大きく、腹部が横に張り出し、白い模様がある個体は成虫です。
そして、少し小さい個体は幼虫。
カメムシのなかまの成虫と幼虫ではこのように大きさや姿かたちが異なるほか、成虫にはある翅(はね)が、幼虫にはまだありません。

ヨコヅナサシガメはサクラの樹が好きなようで、幹のくぼみなどにこうして集団を作っているところをしばしば見かけます。
この巣箱がかかっているのもサクラの樹です。
樹のどこかからみんなで移動してきたのでしょうか。
本日確認したところ、この集団はまたどこかへお引っ越ししていました。
どのように移動し、どのように集団を形成するのか、とても興味深いです。
(動物担当学芸員)

 

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【好評につき今年も開催!】市民学芸員による“こどもの日”イベント

5月5日は子どもの成長や健康を願う国民の祝日、「こどもの日」です。また、同日は「端午の節句」と言い、古来重要な節目だったものが江戸時代に幕府の式日となり、武家社会へ定着したのちに民間にも広まっていったとされています。

現代の「端午の節句」は男の子の健やかな成長を願い、初節句(赤ちゃんが生まれてから初めて迎える節句)に鯉のぼりや五月人形が贈られたり、柏餅やちまきを食べてお祝いしたりする行事として親しまれていますが、「こどもの日」は性別に関係なく子どもの幸福をはかる日と定められています。

五月人形展示の様子

当館では、今年もこどもの日を盛り上げるべく、博物館ボランティア「市民学芸員」による「五月人形展示」を開催しています。
さらに、5月5日(日・祝)と6日(月・祝)の2日間は、こどもの日にちなんだ特別なイベントを用意しました!

まずは、展示している鎧兜や鯉のぼりをバックに、兜を被って記念撮影。写真撮影を楽しんでいただけた方には、市民学芸員お手製の折り紙の独楽(こま)または鯉のぼりの飾りを先着順でプレゼントしています。

折り紙の独楽と鯉のぼりの飾り。市民学芸員の手作りです。

兜を被って、はい、ポーズ!

このほか、自分で選んだ色や柄で作るミニ鯉のぼり、実際に被れる大きさの兜作り(新聞紙製)など、市民学芸員による折り紙教室を行っています。折り紙が苦手なお子さまもご安心ください!市民学芸員が丁寧にレクチャーします。

市民学芸員に教わりながら、一生懸命作っています。

上手にできたね!

初日はたくさんのお子さまとご家族で賑わい、お楽しみいただけたようです。

明日5月6日(月・祝)も、午前10時から午後2時までイベントを開催します。ゴールデンウィーク最終日の思い出づくりに、ぜひ当館へお越しください。

(歴史担当学芸員)

※画像は全て了承のもと掲載しています。

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若葉の上で

5月3日、来月から始まる恒例「カイコの飼育展示」に向けて、博物館敷地内のクワの木の状態を見て回りました。
クワを利用するのはカイコだけではありません。瑞々しいクワの若葉の上には、いろいろな生きものがいました。まずはこちら、クワコです。

クワコの幼虫

カイコと先祖を同じくすると言われる野生の蛾です。すでに3齢(2回脱皮をした)幼虫ですが、色合いはまだ鳥のフンに擬態しています。終齢(5齢)になった時の変化を見逃さないようにして、また紹介したいと思います。
そして、その名もワカバグモ。ハエの仲間を捕らえてお食事中でした。

ワカバグモ

こちらはダイミョウセセリ。たまたまクワの葉にとまったところを撮影しました。幼虫の食草はヤマノイモ科の植物です。近くのフェンスにヤマノイモやオニドコロがたくさんからみついているので、この付近ではよく見られます。

ダイミョウセセリ

こちらはクワではなく、近くのセンニンソウの葉にとまったホソオビヒゲナガ。トビケラのような体つきですが、体の何倍もある長い触角が特徴の、蛾の仲間です。

ホソオビヒゲナガ

そして、この日もエレガントな姿を見せてくれたキビタキです。

キビタキ(オス)

長い時間、様々なフレーズでさえずっていました。
(生物担当学芸員)

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キビタキのさえずり

博物館お隣の樹林地には、毎年夏鳥のキビタキが渡ってきます。今年も元気に囀っています。5月2日には駐車場の近くで鳴いていたので撮影できました。

さえずるキビタキ(オス)

新緑の中でさえずる姿がとても映えますね。
さえずりながらも、獲物を探しては捕らえていました。

さえずりの合間に毛虫を捕らえたところ

動画も撮影したのでご覧ください。

キビタキのさえずり

姿も声も美しいですね。
ところで、ここ10年ほど、この時期になると博物館の前庭にギンランが咲きます。

ギンラン

高さ15~20センチほどの小さな植物ですが、れっきとした野生ランなので、拡大すると花が立体的でとても美しいです。

ギンランの花のアップ

次から次へと鳴いたり咲いたり・・春は忙しいです。
(生物担当学芸員)

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カザグルマが開花・・・したのですが

先日のこのブログで、中庭のカザグルマが開花したらお知らせしますと書いたのですが・・確かに開花はしました。

カザグルマの花(中庭)

ただ、つるがうまく近くの樹木に絡みつかず、地面に近いを這っていたため、低い位置に咲きました。そうした花はかなりの確率で、咲いたと同時に虫食いだらけになってしまいます。つぼみのうちから穴を開けて食べてしまうイモムシもいるのですが、上の写真を撮影した時、ちょうど花の上にダンゴムシが乗っていました。ダンゴムシは基本的に湿り気のある地面を好むので、こんな花の上に乗っかっている理由は一つしかありません。

花の上のダンゴムシ 雄しべの先端をもぐもぐ食べているように見えます

雄しべの先端をもぐもぐと食べているようでした。カザグルマはキンポウゲ科の植物で、この仲間の多くが花弁を持ちません。カザグルマも、白く花弁のように見えるのは萼です。この萼が穴だらけなのもダンゴムシのしわざかどうかはわかりません。しかし、地面に近いところに咲くとこうなりやすいところから、ダンゴムシの食べ痕であることが疑われます。引き続き、観察を続けたいと思います。
系統保存のために博物館の公用車駐車場脇で栽培している株は、きれいに咲いています。

公用車駐車場脇で咲いたカザグルマ

中庭の株も、少し高い位置につるを伸ばせるよう、花が咲き終わったらつるを調整しようと思います。
(生物担当学芸員)

 

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【市民学芸員かわら版】麻布大学いのちの博物館出張展示、好評のうちに終了しました。

先週金曜日、2月1日から麻布大学いのちの博物館で開催していた「市民学芸員かわら版」バックナンバー展の会期が終了したため、この展示を担当する当館ボランティア「市民学芸員」の情報発信チームメンバーとともに撤収作業を行いました。

展示会期中の様子

手際よくパネルを外し、設営時以上にスピーディな作業で撤収が完了しました。少し名残り惜しい気持ちにもなります。

ペンチで丁寧にピンを外していきます。

この展示は年度をまたいで開催しましたが、昨年度中だけで1,000人近くの観覧者の方にご覧いただけたようです。また、4月は大学の入学シーズンということで、新入生をはじめとする多くの学生の皆さんにも展示を楽しんでいただけたとのことでした。

普段の「市民学芸員かわら版」は最新号のみ館内に掲示しているため、情報発信チーム力作のバックナンバーを一挙に展示する機会を得られ、改めてたくさんの方にご覧いただけたことを嬉しく思います。

撤収に参加した市民学芸員情報発信チームのメンバー。お疲れさまでした。

先日、最新号「潤水都市さがみはらPart3 魅力あふれる相模湖」を発行したばかりではありますが、情報発信チームでは早くも次号のテーマについて鋭意検討中です。
今後の「市民学芸員かわら版」も、ぜひご注目ください!

(歴史担当学芸員)

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カラフルなスズメガたち

博物館の最寄り駅のエスカレーターで、手すりの土台に綺麗な蛾がとまっているのを発見しました。
すかさず手で掬い上げたところおとなしく手のひらに乗ってくれたので、自宅で撮影に協力してもらいました。

ベニスズメ

ベニスズメという、黄土色とピンク色のコントラストがとても鮮やかな、美しい蛾です。
脚は白っぽく、まるで白い手袋をしているようです。

それから数日後の出勤中、今度は綺麗な緑色の蛾を見つけました。
こちらはウンモンスズメという種で、抹茶ラテを混ぜたような模様が特徴です。
この蛾の脚はピンクで、こちらもとてもおしゃれです。

ウンモンスズメ

この個体の観察を終え歩き始めると、なんと同じ壁にもう1頭、ウンモンスズメがとまっていました。

2匹目のウンモンスズメ

 

そして、3匹目!?と思いきや、今度は街路樹のケヤキの葉でした。

引っかかったケヤキの葉

ウンモンスズメの翅(はね)の緑色は、植物の葉の色に似せているのかもしれませんね。

ウンモンスズメの幼虫はケヤキの葉も食べることが知られています。
今回発見した2頭も、おそらく街路樹のケヤキを食べて成長したのだと思われます。

ピンク色のベニスズメと緑色のウンモンスズメは、おなじスズメガ科というグループの蛾です。
スズメガのなかまには毒をもつものはおらず、夜行性なので昼間はじっとしています。街中で見かけたらぜひじっくりと観察してみてください。
大きな目をしていてチャーミングですよ。
(動物担当学芸員)

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道ばたの花畑

大型連休に入り、博物館も連日多くの来館者で賑わっています。
そんな中、通勤途中などに見かける道ばたの雑草も花盛りとなっています。よく目立つのはブタナです。

ブタナ

タンポポと間違えられることが多いのですが、花が咲く茎が二股に分かれるのが特徴です(タンポポは必ず1本の茎に1つの花です)。
ゲンノショウコに近い仲間のアメリカフウロも小さな花をたくさん咲かせています。

アメリカフウロ

花というと目立つ花弁のものばかりではありません。踏みつけに強い草の代名詞、オオバコも花盛り。

オオバコ

さらに、造形がかわいらしいイネ科のコバンソウも。

コバンソウ

パカッと口を開けたようなカラスムギも今が開花期。

カラスムギ

植込みなどの雑草も数週間ごとに花が入れ替わって、よく観察するととても楽しいです。
(生物担当学芸員)

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外来の寄生植物と、在来の絶滅危惧種

4月26日、博物館のお隣の樹林地でヤセウツボが開花していました。

ヤセウツボ

この何年か、同じ場所で毎年咲いているのですが、この植物は地中海沿岸原産で外来の寄生植物です。マメ科の植物などに寄生し、明治期に牧草としてヨーロッパから輸入されたシロツメクサやムラサキツメクサなどに混入してやってきたのではないかと言われています。花はアップで見るとなかなかきれいなのですが、寄生植物だけに緑の葉を持たないせいか、なんだかアンバランスですね。

ヤセウツボの花のアップ

こちらは公用車の駐車場脇で栽培している、絶滅危惧種のカザグルマが開花しかけているところです。

開花しかけているカザグルマ こちらは在来の絶滅危惧種です

毎年大型連休のころに開花するこの花は、博物館の中庭にも植栽しています。今年、そちらの株はまだ咲いていないのですが、連休の中頃には開花しそうです。県内でも自生地がごくわずかしかない植物なので、開花したら館内から見える場所に掲示を出す予定です。
(生物担当学芸員)

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ランが花盛り

博物館は今、ランの仲間が花盛りです。中庭に植栽された野生ランの一種、エビネが盛大に咲いています。

エビネ

以前は数株だけだったのですが、花が咲いた後、花径を引き抜いたり、冬場に葉に光が当たるように手入れをしていたら株が増え、円を描くように広がって咲くようになりました。花を拡大して見ると“雑木林の女王”の風格ですね。

エビネの花

さらに、向かい側の小さな中庭にはこんなランが咲いています。カヤランです。

カヤラン

昨年の台風の後に緑区のある林道に落ちてたという株を譲り受けたので、中庭に植えてみました。植えると言っても、カヤランは着生ランなので、樹木の幹に、水苔(みずごけ)と一緒にしばりつけておいただけです。そのうちの1株が開花しました。大きさは1cmに満たない小さな花ですが、しっかりとランの顔をしています。
さらに、こちらは一般の方が入れないお隣の樹林地のエリアなのですが、キンランが開花しました。

キンラン

5年ほどまえから急に咲くようになったのですが、これはおそらく、周辺のミズキが何本も枯れて林床まで日の光が届くようになったことで、眠っていた株が覚醒して開花するようになったのだと思われます。

キンランの花

春から初夏へと移り変わる、華やかな季節となりました。
(生物担当学芸員)

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