冬の里山でバードウォッチング

1月9日、市内南区の国指定史跡「勝坂(かっさか)遺跡公園」で、「勝坂を学ぼう!冬の里山でバードウォッチング」(相模原市教育委員会文化財保護課主催)を実施しました。

冒頭からジョウビタキやツグミを観察できました!

お天気に恵まれて、穏やかな真冬の勝坂では、たくさんの冬の野鳥と出会うことができました。冒頭、まだ双眼鏡の使い方を説明する前からジョウビタキ(オス)が目の前に登場!

ジョウビタキ(写真は別の日に撮影したもの)

じつはこの日、事前に「この鳥に会えたらラッキー」として、ジョウビタキ(冬鳥の代表!)、ツグミ(同)、モズ(小さな猛禽)、コゲラ(一番小さなキツツキ)、エナガ(一番かわいい!)を資料で紹介していました。これは幸先(さいさき)良いと思っていたら、これらの野鳥が次々と登場してくれました。

ツグミ(写真は別の日に撮影したもの)

特に、エナガは参加者の中の一番近い人で2メートルくらい先の頭の上まで来てくれて、そのかわいらしさを肉眼で堪能できました。

エナガ(写真は別の日に撮影したもの)

コゲラも全員でじっくりと見ることができました。木の幹に並行にとまってつつく様子だけでなく、枝を逆さに進んだり、幹を軽くジャンプしながら下降していく様子など、他の鳥にはできない芸当を目の当たりにできました。

コゲラ(写真は別の日に撮影したもの)

最後に、遺跡公園の管理棟でまとめをしました。今日聴いた野鳥の鳴き声を紙に文字で書いてみて、それをお一人ずつ発表していただきました。

最後に室内でまとめ

すると、同じ声を聴いても、人によって文字での表現や聴こえ方に違いがあることがわかりました。図鑑の記述だけが正しいのではなく、自分なりの感じ方や、図鑑に書かれていることの何倍も、実際の観察にはたくさんの情報があふれていることを実感していただけたことと思います。
2時間ほどで、15種類ほどをほぼ全員で観察できて、充実した観察会になりました。

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「宇宙(そら)に飛び出せ!中央区こどもカレッジ」参加者募集中です!

博物館からの「お年玉情報」です。

相模原市の中央区役所主催事業のため、参加対象は中央区に在住・在学の小学3~6年生のみ、ということになりますので予めご了承ください。また、オンラインイベントとなります。詳しい内容・参加方法などはこちらに記載してあります。プレスリリース資料はこちら

中央区こどもカレッジチラシ画像

国際宇宙ステーションの360度動画体験や、宇宙に関する質問コーナー、宇宙飛行士タイプ適性診断、中央区内の宇宙関連施設(JAXA、博物館)の紹介なんて・・・ワクワクしてしまいますね!

申し込みは1/31まで、web申し込みのみで、参加者多数の場合は抽選とのことです。対象者ではない方は、ぜひ身近な対象者のみなさんにお知らせしてくださいね!

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食物連鎖

1月8日午前、博物館お隣の樹林地に設置してあるセンサーカメラのメンテナンスをしていたら、地面スレスレをタカが飛び去り、少し離れた場所の枝にとまりました。

ハイタカ(オス)

ハイタカです。下面(胸から腹にかけて)の淡い朱色の横斑が美しいオスの個体です。それにしても、ちょっと猛々(たけだけ)しい表情です。それもそのはず、足には獲物をガシッとつかんでいました。あたりを警戒しながら、獲物をちぎって食べています。猛禽類は一般的に警戒心が強いのですが、この個体は撮影者をあまり気にしておらず、おそらく警戒していたのはカラスと思われます。カラスは、タカなどの猛禽類を見つけると、事前に危険を回避するために集団で追い払おうとするからです。
さて、ハイタカが食べているのは、小鳥です。すでに翼などの大きな羽は抜かれているため、すぐには獲物の種類がわかりません。

獲物の足をくわえています

そこで、後から写真で検証してみました。上の写真では足の部分をちぎっているのですが、ハイタカの嘴の大きさと比べると、かなり小さな鳥であることがわかります。さらに、別の写真でよく見ると、わずかに若草色の羽が見えました。これはメジロの特徴です。どうやらハイタカは、メジロを捕らえて食べていたようです。
5分ほどで食べ終わり、嘴を枝でぬぐってきれいにしています。

嘴を枝でぬぐっています

満足したのか、ブルブルッと羽をふくらませて顔つきも落ち着いた表情になりました。

羽をふくらませてブルブルッとしています

すると、音もなくスッとどこかへ飛んでいきました。
博物館周辺でいつもたくさん飛び回っているメジロも、たくさんの危険と隣り合わせで生活していることを改めて感じました。

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雪の朝

1月7日、前日に降った雪が朝まで残り、博物館周辺も美しい雪景色になりました。

博物館お隣の樹林地の雪景色

ミズキの冬芽も雪をまとって冷たそうですが、しっかりとカプセルに包まれているため、春の芽吹きには支障が無さそうです。

雪をまとったミズキの冬芽

博物館の裏手の通路で、雪の上についた足跡を見つけました。タヌキのようです。

職員しか入れない場所につけられた足跡

タヌキとイヌ(中型犬)は足跡の形がとても似ていて、両種が通る場所では見分けがつきません。でも、この場所は職員しか入ることができないため、イヌは通りません。従って、タヌキの足跡ということになります。夜はこんな場所を堂々と通っているのかと思うと、ちょっと楽しいですね。
日が高くなるにつれて木々の枝の雪はどんどんとけて落ちていきましたが、地面の雪はまだまだ残っています。そんな午前中、ご近所にある大野村いつきの保育園のみなさんが、いつものようにお散歩に来てくれました。そして、「ゆきだるまを作ったから見て欲しい」ということで呼ばれると・・

カイコの雪だるま!

「おかいこさまの雪だるま!」
なんてかわいい発想でしょうか。真っ白なカイコと雪はたしかにぴったりです。繭の雪だるま?を作ってくれた子もいました。せっかくなので、入口の日の当たりにくい場所に飾ってもらいました。

今日はカイコの雪だるまがお出迎えです

真冬の風物である雪と、思いがけず季節外れのカイコに出会う朝となりました。

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博物館からのお年玉・博物館にお年玉

新しい年が始まり数日が経ちました。仕事など日常が戻っている人もいらっしゃると思いますが、博物館では1月10日まではプラネタリウムで「冬休み特別上映」中です!

クリックで拡大します!


現在開催中の「学習資料展」や十二支ミニ展示についても1月10日までとなっておりますので、この週末、どうぞお見逃しなく。

また、昨年「オリンピック展」を開催したご縁で、エントランスでは引き続き、オリパラグッズを配布しています。博物館からのお年玉としてどうぞお持ち帰りください。

うちわって「なんぼあってもいいですからね~」

お年玉といえば・・・事前のご案内ができなかったのですが、元旦に放送されたFMHOT839「それゆけ!月光団」にて、博物館の新年のご挨拶を放送していただきました。ご来館のみなさまへの感謝とともに、年末にブログに掲載した「研究機関等公開講座JAXAコース」など、様々な企画を進めていますという情報もお話ししました。魅力的な事業が盛りだくさんですので、それらの情報のほうがお年玉かもしれませんね。詳しい内容をお伝えできるようになる日が私たちも待ち遠しいです。

定員にゆとりがある場合は、1/9からは市外の方もお申込みいただけます!

そして博物館へのお年玉?として、1月末にとある備品をいただくことになりました。来館者のみなさまにご活用いただけるものです。届きましたらまたブログなどで紹介したいと思います。こちらもどうぞお楽しみに!

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令和3年度津久井城市民協働調査 発掘調査ニュース②

津久井城市民協働調査として、津久井城跡南部の城坂曲輪群(しろさかくるわぐん)6号曲輪の発掘調査が11月8日から12月1日まで実施されました。

前回紹介した3つの調査区について、何が見つかったのか概要を説明します。

まずは調査区の位置についておさらいです。6号曲輪の位置はこれまで調査をしていた5号曲輪の北東にあり、①~③の調査区を設定しました。

5号曲輪から。赤矢印の位置に調査区があります。

6号曲輪の位置と①~③調査区のおおよその位置

①の調査区では、溝が見つかりました。溝の幅は20~40cmほど、深さは一番深いところで15cmでした。北から南に走り、調査区外へ延びています。

溝(白破線)・深堀箇所(赤線)の様子(南から)

北から見た様子

溝に埋まった土は江戸時代以降のものですが、具体的な時期や用途はよく分かりません。この調査区では一部を深く掘り下げ、土層の堆積状況を確認しました(上の写真の赤枠)。掘り下げていくと縄文時代の打製石斧が出土しました。これは土掘具として使われたと考えられています。そのほかにも縄文土器の破片が数点出土しています。

打製石斧が見つかりました

土層の堆積状況は津久井城が築かれた中世相当の土層がなく、表土の直下に縄文時代の土が認められ、土器や石器が出土しました。出土量はわずかですが、縄文時代の人々の活動が津久井城ができるよりも前にあったことが分かり、貴重な成果が得られました。

②の調査区では石がまとまって見つかりました。

石がまとまっています。

石は10~20cmの大きさで10数点確認できました。石の形は角張ったものが多く見られます。石の周辺を精査していくと、これらの石は上端幅が約3mある溝の中に埋まったものであることが分かりました。(溝の幅:下の写真の白破線)。

溝の様子(南西から)

石を残しつつ、溝の形状やどのような遺物が含まれているのか明らかにするため部分的に掘り下げを行い、下層の状況を確認しました(上の写真の青枠)。また、この部分的に掘り下げた部分から、かわらけの破片が1点見つかりました。

調査の結果、1707(宝永4)年の富士山の噴火により降灰した宝永火山灰がこの溝の埋まり切るころに堆積しており、この噴火よりも前に築かれた溝であることが分かりました。しかし、この溝の詳しい時期や用途を明らかにすることができませんでした。今後、津久井城跡で確認された溝の事例と照らし合わせて考えるなど、検討を重ねていく必要があります。

③の調査区では、硬化面が確認されました。

硬化面の様子

硬化面とは土が字のとおり硬くなっている部分を指します。調査区の南側で見つかり、人為的に締め固められたものの可能性があります。ここからは時期が分かる遺物がみつかっておらず、いつのころの遺構か不明です。調査を進めると②の調査区でみつかった石の集中を含む溝の続きであることが明らかになりました。

現段階の6号曲輪の調査状況から、5号曲輪と同時期に比定される遺構は確認できていません。今年の発掘調査の掘り下げる作業はここまでで、これから先は図面や写真撮影等の記録作業にかかります。

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本年もよろしくお願いします!

令和4(2022)年1月4日、相模原市立博物館は年末年始休館から明けて今日から開館となりました。プラネタリウムの冬休み特別上映学習資料展など、1月10日(祝)まで冬休みシフトでみなさまをお待ちしております。

ヨツスジトラカミキリ(春から夏に雑木林でよく見られるカミキリムシです)

今年もたくさんのイベントや展示を企画しています。市民のみなさまと共に楽しく学び、発見に満ちた博物館となるよう職員一同はりきっております。よろしくお願いします!

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丑から寅へ

相模原市立博物館はすでに年末年始休館に入りました。年を越して切り替わる十二支は、「丑(うし)」から「寅(とら)」です。ウシと言えば、相模原ではやっぱりカモシカ(ウシ科)です。

市内緑区の林道で出会ったカモシカ

そして、野生のトラはいませんが、野鳥のトラツグミは、市内の樹林地で越冬します(博物館お隣の樹林地にも冬の間だけいます)。

市内南区の公園で出会ったトラツグミ

来年も1月4日から無事に開館し、みなさまをお迎えしたいと切に願っています。
新年の博物館のイベント情報等はこちらをご覧ください。

 

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「はやぶさ2」に始まり、「はやぶさ2」で締めくくり、「はやぶさ2」で新たな年が

とうとう令和3年の「仕事納め」の日になりました。

博物館にとってこの令和3年という年は、1月中旬から新型コロナウィルス感染症拡大防止のために休館することから始まりましたが、その休館中の3月には、小惑星探査機「はやぶさ2」の帰還カプセル世界初公開を実施しました。

3月下旬に博物館を再開することになった後も、8月には緊急事態宣言により休館、そして宣言の延長により休館も延長・・・という、なかなか先の見通しがつかない日々を過ごしました。

各種事業についても中止や延期、規模縮小などを余儀なくされる中ではありましたが、そのようななかでも小惑星探査機「はやぶさ2」の帰還カプセルのなかの「宝物」である小惑星リュウグウのサンプル(試料)を、まさに帰還1周年の記念日である12月6日から公開できました。

まさに博物館としては「はやぶさ2」に始まり「はやぶさ2」で締めくくった1年でした。

クリスマスイブにはこんな素敵な「感謝状」も!(実は「相模原市のみなさま」あてにも「感謝状」をいただいています。市役所1階ロビーに展示してありますので、機会があればぜひご覧ください)

JAXAはや2プロジェクト ミッションマネージャの吉川先生が届けてくださいました!

もちろん、一年を振り返れば、「はやぶさ2」以外のイベントももりだくさん!

考古企画展に始まり、オリンピック展、軍都展、「相模原と月」展、そして現在開催中の「学習資料展」。動画配信やミニ展なども工夫を凝らして実施してきました。プラネタリウムでも、いろいろな番組をお届けいたしました。

それぞれ、多くのみなさまにご覧いただきまして、本当にありがとうございました。

国の方針等を受け、博物館ではプラネタリウムの定員の見直しや、対面事業の再開など、もちろん感染対策を行いながらではありますが、少しずつ日常を取り戻しています。

令和4年、博物館では定例のイベントから、初の取り組みとなるものなど、楽しみにしていただけるような企画を進めています。

その企画の一つとして、すでにツイッターやホームページにも掲載しましたが、年明けに受付を開始するものがあります。社会情勢によってはオンライン開催になる可能性もありますが、今のところ対面で実施できるよう準備を進めています。どうぞお楽しみに!

プラネタリウムと講演会のコラボです!

それではみなさま、よいお年を。

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「写真で見る相模原~昭和・平成の生活と民俗~」(No85 正月飾り)

いよいよ年の瀬を迎え、正月の準備に何かと忙しい時期となりました。その中でも、かつては神棚などに供えるお飾りを作ることが盛んに行われていました。このブログでも、No.38やNo.39でしめ縄作りや年神棚(としがみだな)について取り上げていますが、そのほかにも多くの家で撮影させていただいています。

最初の写真は南区新戸で、神棚の飾り物を作っているところです。藁を編み、真ん中にはダイダイやウラジロ・ユズリハを付けます(昭和60年[1985]12月25日撮影)。                 

 

神棚とは別に、臨時に年神の棚を作ることもあり、市内の北側の集落を中心に、年神棚に藁で編んだ叺(かます)を敷くことがあるのはブログNo.39でも紹介しました。写真は緑区相原で、常設の神棚の前側に年神棚を作っているところです(昭和60年[1985]12月26日)。                 

 

正月飾りは、神棚や年神棚以外にもさまざまなところに飾り、これもブログNo.38などで、井戸に細長いしめ縄を飾っている写真を紹介しました。以下の写真は緑区上九沢で順に玄関、神棚、年神棚で、四枚目は屋敷墓にもお供えしています。この家では、他にも屋敷稲荷やエビスなど、多くのところにお飾りをしていました(平成24年[2012]1月6日)。

                 

 

次の写真は珍しいもので、中央区田名には年神とは別に、厄神(やくじん)と疱瘡(ほうそう)神をまつるための臨時の棚を作る家がありました。文化財記録映画「続・相模原の年中行事」を制作した際に撮影されたもので、棚には餅やソバ、酒、灯明(とうみょう)を供え、厄神などを一晩泊める行事とされています。映画撮影時にはすでにやめていたものですが、特にお願いして再現していただきました(平成元年[1989]12月)。                

 

最後は緑区根小屋の神棚のお飾りで、この家では冬至(とうじ)の日に家の周りに水を撒きました。相原地区では、境川から汲んだ水を、屋敷にある建物の屋根にかけると火災除けになると伝えられており、同様の意味を持つ行事と考えられます。正月飾りではありませんが、あまり他では聞かない行事として紹介しました(平成23年[2011]12月)。

 

こうして神様を迎える準備を整えて新たな年に臨むことになります。それでは今年も本ブログのシリーズをご覧いただき、まことにありがとうございました。来年も博物館ともどもよろしくお願い申し上げます。皆様にとって来る年がより良きものとなることをお祈りいたします。

 

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