トモエガモの顔の不思議な模様

1月8日、近隣の公園に行くと、池にトモエガモのオスが泳いでいました。

トモエガモ(オス)

かつては比較的珍しい冬鳥で、飛来すると話題になるような種類でした。しかし近年、県内のあちらこちらへ飛来するようになり、相模原市内の記録も増えています。
それにしても、不思議な顔の模様です。その名のとおり、巴模様(和太鼓に描かれることが多い、勾玉が並んだような日本の伝統的な文様)を連想させますが、色合いといい、その複雑さといい、「なぜこうなったの?」と問いかけたくなるような模様です。

トモエガモ(正面から見たところ)

カモの仲間には、このように複雑で不思議な模様の種類が少なくありません。こちらはシノリガモという海ガモの一種です(相模原では見ることはできません)。

シノリガモ(オス)茨城県の海岸で撮影

筆で白い絵の具を無造作に置いたような模様です。目の少し後方に白くて丸い点があり、見ようによってはこちらが目のようにも見えます。
パンダの目の周りが黒いのは、急所である目を外敵から守るためというのが一つの理由と推測されています(はっきりしたことはわかっていません)。そうだとしたら、タヌキなどの目の周りの模様も同じような理由かもしれません。
カモの仲間にも、愛称「パンダガモ」がいます。和名はミコアイサですが、オスは見事なパンダ模様。

ミコアイサ(オス)

トモエガモやシノリガモ、ミコアイサの模様が目の位置をわかりにくくするためのものかはわかりません。しかし人間にとっては、これらの鳥たちの魅力の一つであることは間違いありません。カモたちの模様や行動を見ながらあれこれ想像を膨らませるのは、冬の楽しみの一つです。
(生物担当学芸員)

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さがみはら文化財ユニークべニュー作品展 開催中!【1月31日まで】

現在、当館では「さがみはら文化財ユニークべニュー作品展」を開催しています。
ユニークベニュー??はじめて耳にする方も多いと思います。

『Unique Venu=:特別な場所』を意味し、ヨーロッパで生まれた考え方です。
歴史的建造物・神社仏閣・城跡・美術館・博物館などの独特な雰囲気を持つ施設を会場としたイベント等を実施することで、特別感や地域特性を演出できます。

今回市内にある文化財建造物の魅力をより多くの方に知ってもらうために、
さがみはら文化財ユニークべニューとして、旧中村家住宅(国登録有形文化財)、
小原宿本陣・旧青柳寺庫裏(くり)(神奈川県指定重要文化財)の3施設を会場に、
教育委員会文化財保護課と、博物館、フォトシティさがみはら実行委員会がタッグを組み、写真教室などの写真と文化財を掛け合わせた連続イベントを実施しました。

今回の作品展はその最終回。集大成です!

各参加者がカメラ越しに見つけた文化財の魅力がもりだくさん。
建物全体の写真があれば、こんな所あったっけ?と見逃してしまいそうな細部の写真まで様々です。

展示場所は、当館の入口からまっすく進んで・・・

特別展示室の右側奥です。

ユニークな顔フォトフレームも!!

文化財建造物の魅力はその現地に行って、佇まいを肌で感じることにあります。ぜひ現地にも足を運んでみてください。あなたもカメラを持って文化財にでかけませんか?

中村家住宅(市ホームページ)  旧青柳寺庫裏(市ホームページ)
小原宿本陣(市ホームページ)

展示は1月31日まで実施していますので、じっくりとご覧ください。
(担当学芸員)

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40日ぶりの降水

1月6日の午後から本降りになった雨は翌7日の朝まで残りました。まとまった降水は、昨年11月27日以来なので、40日ぶりの雨となりました。その間相模原では、ほんのわずか、車のフロントガラスに水滴が乗って初めて気づく程度の雨や、ちらちらと一瞬だけ雪が降ったことはありましたが、降水量が記録されるほどの雨は降っていません。これだけの期間雨が降らないのも珍しいですね。
7日の午前には晴れて青空が広がりました。ひさしぶりの降水でマンリョウの果実もみずみずしさを取り戻したようです。

マンリョウの果実

博物館前庭の木々にも水滴が並んでいました。

背景は博物館の天体観測室

後からよく見たら、水滴の中に天体観測室が写りこんでいました。

水滴にクローズアップしたところ

またしばらく晴天が続きそうな予報なので、今回の雨は生きものたちにはとてもありがたい天の恵みとなることでしょう。
(生物担当学芸員)

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マガモの潜水

先日、近隣の公園の池で何気なくマガモを見ていました。すると、チャポンと潜水しました。1度ではなく、何度も何度も繰り返していました。

マガモ(オス)

勢いよく潜ります

体は完全に水中へ

カモの中でも、潜水が得意なグループ(魚介類を主食とするもの)と、マガモの仲間のようにあまり潜水をしないグループ(雑食性で、主に水草や藻類などを食べるもの)がいます。マガモの仲間も、まったく潜水をしないわけではないのですが、地上を歩いたり、水面の食物を食べることが多く、特に水面ではこのように逆立ちして食べているところをよく見ます。この日も、何度か潜水した後にこのように逆立ち採食をずっとしていました。

逆立ち採食

盛んに潜水していたのでビデオでも記録しておこうと録り始めたら、この時は23秒ほど潜っていました。残念ながらちょっと離れた場所へ浮上したので、一部始終を記録、というわけにはいきませんでしたが・・

マガモの仲間の潜水はだいたい5秒前後のことが多く、この日もだいたいそれくらいの潜水を繰り返していました。ちょうどビデオで録画している時だけ長々と潜っていたので、カメラを意識して(警戒して?)いつもより長めに潜っていたのかもしれません。
(生物担当学芸員)

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本日(1月4日)から通常開館です!

新年明けましておめでとうございます。
昨年12月28日から年末年始休館となっていた相模原市立博物館は本日、1月4日から開館します。自然・歴史展示室のほか、リニューアル工事中のプラネタリウムに代り、ミニプラネタリウムを無料で観覧できます。投影時間など詳しくはこちらをご覧ください。
さて、休館中、閑散とした博物館周辺でしたが、ちょっと賑やかだった場所もあります。それは、入口のアプローチ脇に設置したバードバス(野鳥の水浴び場)です。開館時間中は来館者の出入りがあり、落ち着いて水浴びをすることができません。でも休館中は落ち着いて水浴びできるようです。

水浴びをするメジロ(館内から撮影)

水浴びは羽毛を清潔に保つために必須の行動なのですが、このところまとまった雨がまったく降っていないため、水浴びできる場所があまりないのでしょう。センサーカメラがメジロの他、ヒヨドリやシジュウカラ、エナガなどが頻繁に訪れる様子をとらえていました。
下はメジロの群が水浴びする様子です。

エナガの群も大騒ぎしながら水浴びをしています。

博物館は4日、5日と開館し、6日は月曜日なので休館となります。
2025年は当館の開館30周年となり、プラネタリウムのリニューアルはじめ大きなイベントがたくさん控えています。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
(生物担当学芸員)

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本日(12月28日)から年末年始休館となります

相模原市立博物館は本日、12月28日から来年1月3日まで年末年始休館となります。
しかし職員は出勤し、館内のメンテナンスや年明けの開館に向けた準備などを行っています。今回は今年最後のブログということで、博物館周辺の植物の状況について紹介します。
今年は夏が長く、9月から11月にかけて気温の高い日が多かったせいか、紅葉も少し遅めでした。その影響か、お隣の樹林地ではいまだにモミジの仲間が葉をつけたままです。

年末なのに紅葉が残るタカオカエデ(イロハモミジ)

モミジだけでなく、コナラも一部の株は紅葉したままの葉が残っています。

同じく葉がついたままのコナラ

一方で、12月に入ると果実が赤く実るアオキは、まだ色づく気配もありません。

青々としたアオキの果実

そんな写真を撮っていたら、コジュケイに出会いました。

コジュケイ

じつはここ数年、お隣の樹林地からコジュケイの「チョットコイ、チョットコイ」の鳴き声が聞かれなくなっていました。アライグマが頻繁に現れるようになり、いつも地上にいるコジュケイが餌食になってしまったかな、と思っていましたが、今年に入ってから鳴き声も復活していました。
コジュケイは大正時代に狩猟鳥として朝鮮半島から移入された外来種です。しかし、定着してからの時間も長く、すっかり日本の森に馴染んでいます。再び見られるようになり、なんとなくホッとしたような気持ちになります。
今年もこのブログでさまざまな情報や学芸員の日々の活動などをお伝えしてきました。来年もまた楽しんで読んでいただけるよう、素材集めをがんばろうと思います。
(生物担当学芸員)

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12月28日(土)~1月3日(金)まで休館となります

相模原市立博物館は本日12月27日が、2024年最後の開館日です。12月28日(土)~1月3日(金)まで年末年始休館となります。
お知らせがてら、冬らしい話題を・・。博物館の敷地や周辺の樹林地には様々な樹木が生えています。その中で、冬に葉を落とす落葉樹には、葉の落ちた痕(葉痕:ようこん)や、来春の芽吹きに備えた休眠芽(冬芽)があります。それが、なんとなく顔に見えたり、動物に見えたり・・まずは、サンショウです。

サンショウの冬芽(中央上)と葉痕(中央下)

何に見えるかはご覧になっているみなさんに委ねます。こちらはガマズミです。

ガマズミ

さらに、ヒメコウゾ。

ヒメコウゾ

こちらはヤブムラサキです。

ヤブムラサキ

いかがでしょうか。特に何に見えるというわけではありませんが、早春を象徴するコブシも、モコモコの冬芽を付けています。大切な新芽を守るため、毛皮のコートを羽織っているのです。

コブシ(葉芽)

同じくコブシですが、上の写真は葉の芽、下の写真は花の芽です。

コブシ(花芽)

身近な樹木の冬の表情は、身近な樹木でも必ず見ることができます。ゆっくりお散歩しながら枝を見つめてみてはいかがでしょうか。
(生物担当学芸員)

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【開催中!】市史ミニ展示 相模原市誕生から70年、あの頃の風景と世相

【年末年始休館のお知らせ】相模原市立博物館は12/28(土)~1/3(金)まで休館となります。

現在、当館の自然・歴史展示室内で市史ミニ展示を行っています。

今年度が市制施行70周年であることから、今回は70年前の風景、世相をテーマとしました。70年前の風景を写真パネルで紹介しつつ、当館に所蔵されている鈴木重光(しげみつ)コレクションから展示資料を選定しています。

鈴木重光(1887~1967)は旧津久井郡内郷村に生まれた民俗学者・郷土史家です。
民俗学者の柳田国男とも親交が深く、多くの著作を残しています。
当館では鈴木重光が集めた資料約8万点を収蔵しています。

展示風景

橋本駅に到着するSL1956(昭和31)年

三越の特売会の案内

この展示は、自然・歴史展示室内にて2月2日まで開催しています。
年始のご来館の際にはぜひご覧ください。
(展示担当学芸員)

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クズクビボソハムシ

【年末年始休館のお知らせ】相模原市立博物館は12/28(土)~1/3(金)まで休館となります。

もう2週間ほど経ってしまったのですが、市内の幹線道路沿いで、ボロボロになった植物を見つけました。

道路沿いに…

どこにでもある植物のクズですが、葉っぱがボロボロになっているのです。
普通の葉っぱと比べると一目瞭然です。

ボロボロの葉っぱ

普通の葉っぱ

これは、外来種のクズクビボソハムシという昆虫の食べあとです。
葉っぱをめくると…いました。

寒そうにじっとしています

この虫はコウチュウ目のハムシ科というグループに属しています。ハムシ=葉虫の名のとおり、植物の葉を食べ、なかでもこの種はクズのみを食べます。
実はこの虫は、ここのところ分布が拡大傾向にあるといわれています。
同じ市内でも館の周辺のクズの葉にはまだ食べあとがないので、市内にもこの虫がいるところといないところがあるようです。
この虫がいるところでは、クズの葉が冒頭の写真のように見るも無残な姿に食べられてしまいます。そのため、この虫がいるかいないかはすぐにわかります。
ぜひお近くのクズの葉をチェックしてみてください。
(動物担当学芸員)

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小さな鳥、大きな鳥

【年末年始休館のお知らせ】相模原市立博物館は12/28(土)~1/3(金)まで休館となります。

真冬らしい天候が続いています。早いものでもう年末。相模原市立博物館の今年の開館も、今日(12月26日)を含めてあと2日となりました。博物館周辺でも冬鳥がやってきています。中でも、国内最小クラスの鳥が冬越しをします。こちらはミソサザイです。

ミソサザイ(市外で撮影)

基本的にやぶの中で生活するため、めったに明るい場所へ出ません。上の写真はたまたま開けた場所へ出てきたところですが、すぐにまたヤブの中へ潜っていきました。
こちらも図鑑などで国内最小と書かれることの多い、キクイタダキです。込み入った枝の中を動き回るので、なかなか撮影できない鳥でもあります。

キクイタダキ(市外で撮影)

鳥というより、セミのような大きめの虫が動き回っているようにも見えます。キクイタダキは、年によって市内で多く見られる年と、ほとんど目にしない年があります、今年はどうでしょうか。
小さな鳥ばかりではありません、冬は大きな鳥もやってきます。こちらはコハクチョウです。

コハクチョウ(2013年に市内緑区の相模川で撮影)

数年に1度程度、市内の相模川へもやってきますが、定期的な越冬地は県内にはありません。大きい上に純白なので、飛んだ時などとても大きく見えます。
そしてこちらはとても珍しい飛来記録になりますが、2017年に市内緑区へ飛来したナベヅル(若鳥)です。

ナベヅル(2017年に市内緑区で撮影)

この時は約3か月間にわたって滞在し、大きな話題になりました。
他にも、西日本で野生復帰したコウノトリが飛来することもあり、冬場は特にこうした大きな鳥の飛来が期待できます。今年はどんな冬鳥の話題が持ちあがるのか、楽しみに待ちたいと思います。
(生物担当学芸員)

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