小学校で虫のおはなし

先週、市内の小学校からの依頼を受け、2年生と3年生に向けて昆虫に関するおはなしをしました。
2年生の皆さんからの依頼のお題は「生きものなかよし大作せん」。素敵なタイトルです!
まずは学校の回りにいそうな虫たちとその探し方のポイントをおはなしし、そのあとはお待ちかねの虫探しの時間です。

クイズ、わかるかな?

網や虫かご、カメラ付きのタブレットを手に、校庭や中庭に出発です。

虫を探します!

大人気だったのは「セスジスズメ」というガの幼虫です。

教室に戻り、どんな虫を見つけたか、みんなと共有しました。
児童のみなさんがタブレットで撮った写真をモニターに写して紹介しました。
直に触った虫でも、大きな画面で見るとまた違った気づきがあります。

タブレットから写真をアップロード!ハイテクです

お次は3年生の授業。
こちらの学年はアゲハチョウやモンシロチョウをたくさん飼育しているとのことで、座学でチョウのおはなしをしました。

たくさんの虫かごが並んでいます

質問もたくさんもらいました!
チョウの幼虫や蛹(さなぎ)の色、チョウに寄生(きせい)するハチについて、特に関心があったようです。

みんなチョウが大好きだそうです

元気な小学生の皆さん、お話をしっかり聞いてくれてありがとうございました。
(動物担当学芸員)

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遊ぶカラス

先日、市内南区のある公園近くを歩いていると、ヒマラヤスギのてっぺんあたりを4羽のカラスが飛び回っていました。

若いハシブトガラス

ケンカでもなく、何か明確な目的があるようにも見えなかったので不思議に思い、しばらく観察してみました。どうやらこれは「遊んでいる」ようでした。
鳥の中でも知能が高いと言われるカラスの仲間は、しばしばこうして遊ぶことが知られています。この時も、若い(おそらく今年生まれた)ハシブトガラスが、ヒマラヤスギの頂(いただき)をめぐって陣取り合戦のようなことをやっていました。

陣取り合戦?

風が強い日だったので、向かい風を利用して1羽がとまると、別の個体がちょっかいを出して飛び上がり、その個体がとまる・・ということを5分以上繰り返していました。

てっぺんは安定しないので、長くとまっていられないようでした

そのうち飽きたのか、近くの草地へ飛び去って行きました。カラスは高いところから物を落としては空中で拾い上げたりといった繰り返し行動もよく観察されますし、様々な遊びをします。子どものころからこうした行動をとおして、群での行動や食べ物の探索などの技術を習得していくのかもしれません。
(生物担当学芸員)

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「惑わない星」×みお スペシャルトーク開催しました!

9月8日(日)、プラネタリウムで「惑わない星」×水星磁気圏探査機「みお」スペシャルトークを開催しました。

人気マンガで今年完結した『惑わない星』(講談社)の作者、石川雅之さんと、「みお」のプロジェクト・サイエンティストとして活躍中の村上豪博士(JAXA)によるスペシャルトークです。

石川雅之さん(左)と村上豪博士(右)

今晩の星空解説の後に始まったトークタイムでは、冒頭、国際プロジェクトであるベピ・コロンボ計画と「みお」の現在、そしてこれからの予定について村上博士からお話いただきました。

村上豪博士(左)と石川雅之さん(右)

そして、惑星擬人化マンガという唯一無二のジャンルを切り拓いた『惑わない星』の創作の秘密に迫るお二人の対話に、参加者のみなさんもどんどんと引き込まれていきました。

“水星”のキャラクターをドームスクリーンに映し出してのトーク

特に、「宇宙って怖い!」という原体験があったという石川さんが、どんな思い入れで惑星のキャラクター設定をされたのかといった内容は、独創的な物語の土台がどのように築かれたのかを知る貴重なお話でした。

惑星キャラ勢ぞろい!

終盤、「水星に向き合うことで、人類が一つになれるかもしれない」と思ってプロジェクトを進めているという村上博士のお話がとても印象に残りました。改めて、博物館のお向かいにあるJAXAが世界へ、宇宙へとつながっていることを実感できるひと時でした。

参加者のみなさんへプレゼントされたステッカー(みおと、惑星の中から1枚ずつ配布)

終了後には完結編の第9巻へのサイン会も行われ、石川さんは列に並ばれたお一人ずつに丁寧に対応されていました。

石川雅之さんのサイン会(村上博士のサインを求められてる方も多かったです)

JAXAと連携した贅沢なトークショーでしたが、相模原市立博物館ではこれからもこうしたコラボレーション企画を実施していきたいと思います。

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イネの開花

9月5日、緑区上大島の水田地帯を歩いていると、イネが開花していました。

イネの開花 花びらはないけど、おしべが籾から飛び出ています

イネの開花期は8月中旬ころがピークなので、時期としてはちょっと遅く、晩稲(おくて)の品種かもしれません。近くには、すでに穂を垂れているイネも多くありました。

同じ日に撮影した、実り始めているイネ

イネの開花と言いましたが、じつは、すでに花は閉じています。おしべが籾(もみ)からはみ出ていますが、正確に開花というと、籾が二つに割れた状態で、これは午前中の数時間しか見られません。写真を撮影したのがお昼ころだったため、ほぼすべての花が閉じていました。

開花後のイネ 籾はすでに閉じています

水田の道路際では、田んぼの代表的な雑草であるオモダカが咲いていました。家紋のモチーフにもなっている独特の形の葉が特徴です。

オモダカ 独特の葉の形が特徴です

近くでは、収穫に向けて、農家の方が稲刈りの邪魔になる雑草を取っていました。日に日に田んぼの色も黄金色に変わっていくことでしょう。
(生物担当学芸員)

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【直前情報】石川雅之さんのサイン会実施します!

9月8日(日)に実施のスペシャルイベント「『惑わない星』×水星磁気圏探査機「みお」スペシャルトーク」の直前情報です。

『惑わない星』の作者である石川雅之さんのサイン会を、スペシャルトークの終了後に実施することになりました。
当日、博物館ミュージアムショップにて販売予定の『惑わない星』第9巻(最終巻)をご購入いただいた方限定となります。著者サインをご希望の方は、お早めにご購入ください。

みおⒸ石川雅之/講談社

スペシャルトークでは、「みお」プロジェクト・サイエンティストの村上豪博士から、探査計画の進捗状況や、みおの最新情報もうかがえるはずです。また、『惑わない星』の単行本第4巻に収載されている「スイングバイ解説マンガ」を監修した村上博士から、石川さんにうかがいたいことがたくさんある!とのことですので、どんなお話が飛び出すのか楽しみですね!

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オオシロカラカサタケ

先日、市内南区の相模川沿いにある公園で、こんなキノコが群生しているのを見ました。

オオシロカラカサタケ

オオシロカラカサタケと思われます。もともと暖地性のキノコなのですが、近年、公園の芝生などによく見られるようになりました。

オオシロカラカサタケ(幼菌)

幼菌はかわいらしく、成長して傘を広げると直径15センチメートルくらいになる立派な姿をしています。が・・・毒キノコです。誤食すると激しい胃腸症状を引き起こします。雑木林によく生えている、食用のカラカサタケと色合い以外よく似ているので、注意が必要です。
ただ、カラカサタケ自体も、一見すると猛毒のキノコが多いテングタケの仲間によく似ています。

毒キノコの代表格、ベニテングタケ

野外観察会などでキノコを観察していると、「これは食べられますか?」ときかれることがよくあります。そんなときはちょっと意地悪く「食べてみたらわかるかもしれません。命の保証はできませんが・・」と答えます。キノコ採りの初心者は、野外で自分が見つけたキノコを食べてはいけません。地元の「キノコ採り名人」の指導のもとで採集したキノコだけを食べるべきです。キノコは種類がとても多く、図鑑に掲載されていないものの方が多いくらいです。間違った迷信や、ネット上にも誤情報があふれています。そうした情報を決してあてにしないでください。
「食べられるかどうか」より、キノコ、すなわちカビの仲間が、生態系の中の分解者として有機物を無機物へと分解する極めて重要な役割を担っている存在であることを意識していただきたいと思います。
(生物担当学芸員)

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令和6年度歴史分野実習~5・6日目(最終日)~ 展示設営・展示解説

皆さんこんにちは。歴史分野実習生です。
分野別実習5日目の8月29日は、展示の設営作業を行いました。

タイトルパネル作成の様子

地図の作成の様子

自分たちが作った解説パネルやキャプション、写真や地図を展示するために、印刷とカットをして、スチレンボードに貼り付けました。サイズの大きいパネルのカットはまっすぐ切るのが難しく、協力しながら作業を行いました。展示に使う備品や資料を揃えて、一日の最後に取り掛かったのは展示のセッティングです。

ケース内にパネルを仮留めしています

配置や角度などを細かく気にする必要があり、特に解説パネルをケース内の壁に固定するために、虫ピンで打ち付ける作業は難航しました。何とかパネル等の設営を乗り越え、最終日を迎えました。

最終日の8月31日は、来館者の方に向けて展示解説を行いました。事前に作成した解説のシナリオが伝わるか、来館者の方とのコミュニケーションが上手くとれるかどうか、不安が残りました。

学芸員による展示解説を見て勉強

そんな中で、自分たちの展示解説の直前に実施していた考古担当学芸員による展示解説を聞くことができました。自分たちが面白いと思う部分を伝えることが重要だと学び、展示解説の手助けになりました。

展示解説の様子

そして、実際に来館者を迎えた本番では、自分たちが伝えたいことを意識しながら展示解説しました。来館者の方も展示に興味を持って下さり、質疑応答などのコミュニケーションをとりながら展示解説を行うことができました。「初めて知った!」、「勉強になった!」といった感想をいただく一方、私たちが学ぶこともとても多かったです。

私たちの実習期間はこの日で終わりですが、制作した展示「甲州道中と明治天皇巡幸」は11月10日まで博物館で観ることができます。ぜひお越しください!

(令和6年度歴史分野実習生)

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秋色の河原

9月2日、台風が去っても雲の動きや風にその名残を感じる中、市内南区の相模川を歩きました。日差しは強烈でしたが、木陰ではなんとなく秋の気配を感じます(暦上は秋なので、気配というのも変ですが・・)。そんな季節感を強く感じさせてくれるのが、ツルボの花の、やさしい色合いです。

ツルボの花

ツルボの花茎が立ちあがってくると、秋の訪れを感じます。
こちらのガガイモは夏の終わりから咲きますが、やはり初秋の河原の印象が強い花です。

ガガイモの花

キンエノコロは、これぞ秋の河原!という色合いです。

キンエノコロ

オオブタクサの花ももうすぐ満開です。秋花粉に悩まされた昨秋を思い出してしまいました。

オオブタクサ

突然飛んできて、クズの葉の上にピタッととまったのはイチモンジセセリです。

イチモンジセセリ 触角の影がかっこいい!

このチョウは、幼虫がイネ科の葉を食べることから、田んぼにいると害虫とされてしまいます。しかし、河原にいるぶんには大きな目をしたかわいいチョウですね。
大汗をかきながらこうした秋の生きものを観察するのもなんだか不思議な気分ですが、着実に季節が動いているのを感じられました。
(生物担当学芸員)

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生物分野実習6日目(8月30日)

こんにちは!生物分野の実習生です。

今日は一日かけてミニ展示を制作しました。
まずはタイトルを確定させ、パネルの最終調整にとりかかりました。レイアウトや文章を直前まで修正し、なんとか印刷が間に合いました。
博物館の展示パネルを作る際には、印刷した紙をのり付きのスチレンボードに貼り付け、周りを裁ち落とします。まっすぐ切るのは難しく、皆慎重に作業を進めました。

各々でパネルを作ります

慎重に…

さらに、実習初日に採集して展翅(てんし)した自分たちの標本にラベルを付け、標本箱に収める作業も行いました。

平均台という道具で標本の高さを揃えます

ラベルをつけて、学術標本のかたちになりました

標本箱に収める際にはバランスの良い配置を意識し、形を崩さないように並べていきました。

標本の配置は…

多少の不格好さはありますが、標本箱に整然と並ぶ昆虫たちは私たちに達成感を与えてくれました。
今回のミニ展示にはこうして制作した私たちの標本も展示しています。ご来館の際はぜひご覧ください。

今日で生物分野の実習は終了です。
6日間で博物館の役割や業務の中での大変さ、楽しさを学ぶことができました。
ここまでのブログもみなさんお楽しみいただけましたでしょうか?
お読みいただきありがとうございました!

私たちの展示です!

(生物分野実習生)

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ウスバキトンボ

8月30日(金)から9月1日(日)まで、大雨となる予報のため尾崎咢堂記念館および吉野宿ふじやは臨時休館いたします。詳しくは当館ホームページなどでご確認ください。相模原市立博物館は本日以降、通常開館の予定です。

さて、台風接近による不安定な天候の中でしたが、8月28日に南区下溝の水路沿いを歩きました。風が穏やかになると、どこからともなくウスバキトンボが湧き上がってきました。

ウスバキトンボ

数十匹から、多いときで50匹くらいいたでしょうか。関東周辺では、8月のお盆のころから急に数が増えてくるので、「精霊とんぼ」などとも呼ばれます。
ところでこのトンボは少々不思議な移動をします。春、南西諸島などで羽化した成虫がどんどんと北上し、途中で繁殖をしながら北日本まで到達します。ところが、幼虫は冷温に弱く、少なくとも関東地方以北では越冬できずに死滅すると言われています。それでもわざわざ北海道までも北上するのはなぜなのでしょうか。まさか、温暖化によってウスバキトンボの幼虫の越冬可能な地域が広がるのを予見しているわけでもないでしょうし、不可思議な生態です。
近くでは、ジュズダマが開花していました。もう少し季節が進むと、さまざまな模様のじゅず玉が実るでしょう。

ジュズダマの花と若い果実

そして、クサギの花にはホシホウジャクが訪れていました。

クサギの花を訪れているホシホウジャク

蛾に見えませんが、ストロー状の口吻を伸ばして花の奥の蜜を吸っています。眼がこちらを見ているように見えますが、これは瞳孔ではありません。複眼の中央部分が影のように暗く見えているだけで、偽瞳孔と呼ばれるものです。この偽瞳孔のせいか、ハチドリのようにも見えます。
こうした生きものたちは、風雨の中どこに身を隠しているのでしょう。台風の進路とともにちょっと気になりますね。
(生物担当学芸員)

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