クサグモ現る(2021)

過去に何度か、春先にクサグモを最初に見かけた日のことをこのブログに書いています。
日付を確認すると2012年4月17日、2013年3月28日、2019年3月21日、2020年2月29日。
2月末から4月中旬までばらつきがあります。「気づいた日」なので、必ずしもその年の状況を正確に表しているとは言い切れないところがありますが、すべて同じ地点での観察です。
さて今年はどうかというと、初めて網を確認したのが3月10日。

クサグモの網(3/10)

網の上にいる個体を見かけたのは3月11日でした。

体長2mmほどのクサグモの幼体(3/11)

観察している植え込みが昨年大きく剪定されていたので、今年は出現しないかと思っていましたが、ちゃんと例年どおりの時期に現れました。

網の上を歩き回るクサグモ幼体。腹部先端の糸いぼを大きく開いて糸を出しているのがわかります(3/26)

今、だんだんと気温も上がり、多くの個体が活発に動き始めています。

カテゴリー: 生きもの・地形・地質 | タグ: , , | クサグモ現る(2021) はコメントを受け付けていません

小学生のカイコの学習成果を展示中

博物館で昨年初夏に学習支援を行った、カイコを用いた学習の成果が博物館エントランスに展示されています。
こちらは光が丘小学校(中央区)3年1組のみなさんによる展示です。

光が丘小3-1の展示

ランプシェード、うちわ、コースター、そして5齢幼虫の拡大模型!

カイコ(5齢)の拡大模型

とてもよくできていて、そのまま博物館の資料にしたいくらいです。
さらに、観覧された人へのリーフレットも充実しています。すべて、児童のみなさんによる手彩色!早い者勝ちですので、ぜひ展示をご覧になって素敵なリーフレットを入手してください。

何種類ものリーフレットが用意されています

光が丘小学校3年1組では、一クラス(20名)でとてもたくさんのカイコを飼育し(1000頭以上!)、カイコについての調べ学習や、繭を利用した様々な工作、そして、残った蛹の利用まで考えて実践してくれました。

そして、こちらは大島小学校(緑区)3年生による展示です。

大島小学校3年生による展示

繭の利用方法の実践例として、繭から絹タンパクの一つであるセリシンを取り出して、それを石けんにしてくれました。

シルク入り石鹸

シルク入り石けん!お肌にとても良さそうです。しかも、美しいですね。
さらに、繭人形なども作り、学芸員へのお手紙も一緒につけてくれました。

心のこもったお手紙と、かわいい繭人形

みなさんとても熱心にカイコと向き合い、カイコの命について真剣に考えてくれたようです。すばらしい学習成果は、春休み中(大島小は31日まで)展示されていますので、ぜひご覧ください。

カテゴリー: オカイコサマ, 生きもの・地形・地質 | タグ: | 小学生のカイコの学習成果を展示中 はコメントを受け付けていません

プラネタリウム寄席「ほしぞら亭」無料上映始まりました!

3月27日から、プラネタリウム寄席「ほしぞら亭」の無料上映が始まりました。
今年1月17日に開催予定だった同タイトルのイベントが、新型コロナウイルスの感染拡大により中止となったため、収録を行いました。その様子はこのブログでもお伝えしました。

その映像を、プラネタリウムのドームに投影します。入場は無料で、3月27日以降の土曜日と日曜日、そしてゴールデンウイーク中の4月29日、5月1日から5日までのお昼の12時00分(3/27,28,4/3,4は12時10分)から1演目ずつ上映します。
3つのタイトルをぜひお楽しみください!

カテゴリー: おしらせ, 天文 | タグ: , , , | プラネタリウム寄席「ほしぞら亭」無料上映始まりました! はコメントを受け付けていません

ワカバグモ

博物館正面の植え込みで撮った写真です。
この中にクモがいるのがわかりますか?

よーく探してみてください。中央やや右上(写真をクリックすると拡大されます)。

ワカバグモ(メス亜成体)体長10mm程度。オスは目の周りなどが赤くなります。

名前はワカバグモ。その名の通り全身緑色をしています。
網を張らずに徘徊して獲物を探します。木の葉の上などで見かけます。
アップにして目の配列を観察してみます。

目のあたりを拡大しました。

8個の単眼が、まるで全方位をカバーするように並んでいて、死角があまりなさそうです。
獲物にされる側にしてみたら、たまったものではないかもしれませんね。

カテゴリー: 生きもの・地形・地質 | タグ: , , | ワカバグモ はコメントを受け付けていません

春まっさかりの楽園へ

市内に自生する絶滅危惧植物の現況は、できるだけ毎年確認しています。春に咲くものが多いのですが、今年はサクラの開花が早めなため、年度末の慌ただしい中、3月24日にいずれも市内緑区の自生地を巡回してきました。まずは、オキナグサの自生地です。

オキナグサ

楽園のような場所で、そばにはオカオグルマも咲いています。

オカオグルマ

地元の方が草刈りなどの手入れをしてくださっているおかげで維持されています。
次に訪れたのは、カタクリの自生地です。花はすでにピークを過ぎていました。

カタクリ

ここは県内唯一のギフチョウの発生地(県天然記念物)に近いので、ギフチョウがどこからともなく飛んできて、タチツボスミレにとまって吸蜜していました。

ギフチョウ

さらに別の場所へ移り、いくつかの早春植物を確認しました。こちらはアマナです。

アマナ

いずれも、地元の方や土地の所有者による草刈りなどの管理が行われることで維持されている場所です。維持管理に携わる方々へ敬意を抱きつつ、今年も無事に確認できたことに安堵しました。

カテゴリー: 生きもの・地形・地質 | タグ: , | 春まっさかりの楽園へ はコメントを受け付けていません

シリーズ「相模原ふるさといろはかるた」で見る名所紹介㉝ 陣馬山

高層ビルや 富士山も 陣馬山から一望に

(こうそうびるや ふじさんも じんばさんからいちぼうに

標高855mの陣馬山は、相模原市北西部、東京都八王子市との境界に位置しています。陣場山とも表記され、戦国時代、北条氏と武田氏が陣を構えた場所だったことが名前の由来とされていますが、諸説あります。

中央のなだらかな山が陣馬山

山頂に立つ白馬の像が登山者を出迎えてくれます。この白馬の像は、1960年代後半に京王帝都電鉄(現在の京王電鉄)が観光地として売り出すために建てたものです。

陣馬山山頂

陣馬山山頂に立つ白馬の像

神奈川県立陣馬相模湖自然公園、東京都立高尾陣場自然公園に指定されており、関東の富士見百景、かながわの景勝50選、八王子八十八景に選ばれています。山頂からは360°の眺望を楽しむことができます。

陣馬山山頂から北東を望む

陣馬山山頂から南を望む。丹沢山地の山々。

陣馬山はほとんどが千枚岩(せんまいがん)からできています。千枚岩は板状に薄く剥がれやすい性質を持つことから、その名前がつけられました。千枚岩はもともとあった岩石が、地下深くで高い圧力を受けて別の岩石に生まれ変わったものです。陣馬山で見られる千枚岩の多くは、泥が固まってできた泥岩(でいがん)が変化したものです。陣馬山の千枚岩は神奈川県最古の岩石の一つです。

陣馬山登山道に見られる千枚岩

陣馬山の麓、沢井川で見られる千枚岩

 

カテゴリー: ふるさといろはかるた, 生きもの・地形・地質 | タグ: , | シリーズ「相模原ふるさといろはかるた」で見る名所紹介㉝ 陣馬山 はコメントを受け付けていません

色々な石展⑧ 「緑色の石」コーナー

閉会した開館25周年企画「色々な石展」について、今回は、8「緑色の石」コーナーを紹介します。

前回までの記事はこちらから。
1「色々な石」コーナー
2「透明な石」コーナー
3「白色の石」コーナー
4「黒色の石」コーナー
5「青色の石」コーナー
6「黄色い石」コーナー
7「赤色の石」コーナー

8「緑色の石」コーナーの展示の様子です。

「緑色の石」コーナー

緑色凝灰岩(りょくしょくぎょうかいがん)は名前のとおり緑色をした凝灰岩で、海底火山噴火の堆積物が岩石になったものです。丹沢山地に広く分布しています。

緑色凝灰岩

緑色片岩(りょくしょくへんがん)は玄武岩(げんぶがん)などが地下深くで高い圧力と熱を受けてできた岩石です。埼玉県の長瀞(ながとろ)の岩畳で見られます。

緑色片岩

カルシウムとクロムを主成分とするザクロ石(いし)は灰クロムザクロ石と呼ばれ、緑色をしています。灰クロムザクロ石は大きな結晶になることはまれです。蛍石(ほたるいし)は鉄を精錬するときに利用されています。

灰クロムザクロ石(左)と蛍石(右)

藍晶石(らんしょうせき)には緑色をしたものもあります。

藍晶石

8月の誕生石であるペリドットの鉱物名はカンラン石(せき)です。ペリドットは宝石名です。

カンラン石

ほとんどカンラン石からできている岩石がカンラン岩(がん)です。カンラン岩は地球のマントルを構成している岩石です。

カンラン岩

エメラルドは宝石名で、鉱物名は緑柱石(りょくちゅうせき)です。緑色のものをエメラルド、水色のものをアクアマリンと呼んでいます。

緑柱石(エメラルド)

次回は、9「金色の石」コーナーを紹介します。

カテゴリー: 生きもの・地形・地質 | タグ: , | 色々な石展⑧ 「緑色の石」コーナー はコメントを受け付けていません

「写真で見る相模原~昭和・平成の生活と民俗~」(No51・地神講)

前回は、彼岸に行われる念仏講について取り上げましたが、このほかにも同じ信仰を持つ人々が集まって行う講にはさまざまなものがありました。

今回取り上げる地神講(じじんこう・じちんこう)はその名のとおり、土地の神・農業の神とされ、春分と秋分の日にもっとも近い社日(しゃにち・干支の戊[つちのえ]の日)に講を行い、この日は畑などに出て土を耕してはいけないとされていました。ちなみに今年の社日は、春が3月21日、秋は9月27日です。

最初の写真は、中央区田名の望地(もうち)地区の地神講(昭和63年[1988]3月20日撮影)で、地区の皆様が公会堂に集まり、歓談しています。また、床の間には掛け軸が飾られており、土の神として「地神埴山毘賣命(じじんはにやまひめのみこと)」と記されています。

 

職員ブログNo.49で紹介した中央区上溝・番田地区では、地神講の際に武神像が描かれた掛け軸を飾りました。各地の地神講で使われた掛け軸は、番田地区と同じ図柄が多く見られ、武神像を刷った掛け軸が各地に普及していました。

 

そうした中で次の写真は、明治45年(1912)の片野湘雲(かたのしょううん)画とされる手書きの掛け軸です。片野湘雲は明治8年(1875)生の上溝出身の日本画家ですが、やはり地神として武神像を描いています。南区当麻の下宿地神講からご寄贈いただきました。

 

地神講の資料としては、市内各地に見られる石仏もあります。相模原地区には地神塔が39基あり、「地神塔」などと記されています。造られた時期は寛政10年(1798)に始まり、ほとんどが明治7年(1874)までというように、江戸時代後期から明治初めの比較的短い期間に建てられたのが特徴です。

写真は中央区上矢部のもので、天保14年(1843)11月の造立です。

また、南区下溝には、五角柱の塔に神話上の五つの神名を記したものがあり、望地の地神講で飾られた埴山毘賣命(ここでの表記は「埴安媛命」)も記されています。この塔は安政3年(1856)の造立ですが地元では「雹塚(ひょうづか)」と呼ばれ、日本全国から土を持ってきて、雹による作物の被害がないように祈ったという言われがあります。

 

今回の石仏の写真は、平成15年(2003)度に実施した特別展「相模原の石仏―石仏が伝える地域の歴史―」の準備のために撮影したもので、博物館が保管する写真には、農作業や行事・祭礼等のほかにも、こうした石仏や伝説の地にまつわるものなど数多くあります。今後ともさまざまなテーマの基に紹介していきたいと思います。

カテゴリー: 民俗むかしの写真, 考古・歴史・民俗 | タグ: | 「写真で見る相模原~昭和・平成の生活と民俗~」(No51・地神講) はコメントを受け付けていません

ゴミグモ類4種

3月も下旬にさしかかり、博物館周辺の生き物も動きが活発になってきました。
イベントなどでせわしない事もあり、ついブログまで手が回らずにいたのですが、ふと気づくと最近の写真の中にゴミグモの仲間が4種含まれていることに気づきました。
せっかくなので比較してみましょう。

ゴミグモ(2021.3.6.撮影) 垂直円網を張り、ゴミのリボンを付着させてそのなかに隠れる。腹部には8つの突起があり、複雑な模様をしている。下向きにとまる。

ギンメッキゴミグモ(2021.3.15.撮影) 垂直円網を張り、上を向いてとまります。腹部背面は銀色をしていて、網に糸で装飾をつける事があります。

シマゴミグモ(2021.3.18.撮影) 垂直円網を張り、そこに白い飾りをつける事がある。上や横を向いてとまる。

マルゴミグモ(2021.3.19.)撮影 水平円網を張、その上にとまります(斜めや垂直に円網を張る事もある)。網の上に卵のうを並べてつけます。

いずれも初夏に目立つクモですが、既にこの時期に姿を現してるという事は、幼体で越冬して、暖かくなるとすぐに網を張り始めているのだという事がわかります。
この仲間は比較的目の細かい円網を張り、網にゴミや糸による装飾をつける事が共通しています。見た目や生態も少しずつ違うので、4種が一度に見られてちょっと得をした気分です。

カテゴリー: 生きもの・地形・地質 | タグ: , , , , , | ゴミグモ類4種 はコメントを受け付けていません

本日から再開しました!

緊急事態宣言に伴い休館していましたが、本日3月23日(火)から再開です。予定どおり午前9時30分に開館しました。開館時間に合わせてご来館くださった第一号のお客様に、記念写真を撮らせていただきました!

再開第一号のお客様です!

休館に入る前と同様に、館内の導線を一方通行とし、プラネタリウムも定員を70席とするなど、コロナ対策シフトでの開館です。外はすっかり春の風が吹いていて、ミズキも例年より少し早く芽吹いています。

ミズキの芽吹きは例年より少し早め

2階の喫茶室に掲示されている、学芸員が撮影した相模原の自然の風景や生きものの写真も、春っぽいものに替えました。

2階喫茶室の写真(すべて相模原市内で撮影したものです)

再開と同時にスタートしたミニ展示「下水道×博物館共催「ミニ下水道ワールド~まんほーる編~」です。

市下水道部と博物館のコラボレーションによるミニ展示です!

さらに、昨年から続くカイコを用いた学習支援の成果を、光が丘小学校(中央区)と大島小学校(緑区:24日から)が展示してくれています。

カイコの学習成果を発表するミニ展示

待望の考古分野企画展も、4月1日からスタートするために鋭意準備中です。
宣言解除とはいえ、まだまだ警戒を怠るわけにはいきません。入館時の検温や手指消毒などご協力いただきながら、しっかり活動を進めたいと思います。

カテゴリー: 今日の博物館 | タグ: , | 本日から再開しました! はコメントを受け付けていません