いよいよ明日から!はやぶさ2帰還カプセル世界初公開

※今回の公開期間(3月12日~16日)は事前申し込みの抽選に当選された方のみ入館できます。

いよいよ、明日(3月12日)午後から、はやぶさ2帰還カプセルの世界初公開です。
3月11日午前、帰還カプセル本体が相模原市立博物館へ到着しました。慎重に運びます。

カプセルの搬入作業

残念ながら展示室内の設置の様子はまだお見せできないのですが、すべての展示資料が無事に設置されました。
はやぶさ2プロジェクトマネージャーの津田雄一博士(JAXA)も様子を見に来られました。

中央左側の方が津田雄一博士です

こちらは急遽設置された、帰還カプセルを空輸したジェラルミンケースの展示です。帰還カプセル本体が展示されている特別展示室から出たところに設置されています。

空輸用のケース

また、今日はカプセル開発担当の山田哲哉博士による帰還カプセルの説明動画が展示室内で撮影されました。こちらは近々、JAXAから配信される予定です。お楽しみに!

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2011年3月11日から10年 その1

東日本大震災から10年が経ちました。
博物館ではあの時も、JAXAとの展示の打ち合わせをしている最中でした。広報室のロケットの模型などが次々と倒れ、尋常ではない事態が起きたことを直感しました。
そして、発災から1週間後、災害支援協定を結んでいた銀河連邦の岩手県大船渡市へ、災害支援隊の一員として学芸員が1名参加し、1週間、支援活動を行いました。大船渡市の目抜き通りの、3月19日の様子です。

三陸鉄道リアス線盛(さかり)駅前の目抜き通り 2011.3.19

当時、支援隊が寝泊まりしていた施設のエリアは電気、ガス、水道がすべて止まっていました。雪がちらつく日もありましたが、不思議なことに寒さに凍えた記憶はありません。しかし、断続的に続く地鳴りには震えました。

相模原市の支援隊が寝泊まりしていた場所 2011.3.21

相模原市の支援隊は、主に全国各地から届く支援物資の仕分け作業を行いました。場所は、大船渡小学校の体育館です。この建物は海岸から一段高くなった場所にあるのですが、入口まで浸水しました。ご近所の方が自発的に入口の泥をかき出し、掃除してくれたそうです。もちろん、そうした方々も被災者です。

大船渡小学校体育館に設けられた支援物資の集積所 自衛隊のみなさんと作業しました 2011.3.21

三陸鉄道リアス線の惨状を目にしたときは、10年後の今、復活していることなど想像もできませんでした。

盛駅近くの踏切 2011.3.19

大船渡市越喜来(おきらい)地区は中心部がすべて津波の被害に会い、越喜来小学校の立派な建物は屋上まで波をかぶりました。

越喜来小学校校舎 2011.3.23

発災から1週間、被災地のみなさんがどんな様子で過ごしていたのか、どんなことを語っていたのか、見聞きした者の定めとして伝えていかなくてはいけないと思っています。これから何回かに分けて、紹介したいと思います。

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準備着々「はやぶさ2」帰還カプセル世界初公開展示

3月12日から、いよいよ「はやぶさ2」帰還カプセル世界初公開展示が始まります。
館内では導線の設置など、着々と準備が進んでいます。

館内の導線、サイン類もはやぶさ2シフトになっています

会場となる特別展示室内には、専用の展示ケースが設置され、中に入る帰還カプセルを待つばかりです。

展示ケース内はまだ空(から)です

なお、3月12日から公開は始まりますが、期間中(3月12日~16日)は事前申し込みいただき、抽選に当選された方のみ入館できます。駐車場は、博物館敷地内の駐車場は閉鎖し、臨時駐車場へのご案内となりますのでご注意ください。
詳しくは当館ホームページをご覧ください。

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色々な石展⑥ 「黄色い石」コーナー

閉会した開館25周年企画「色々な石展」について、今回は、6「黄色い石」コーナーを紹介します。

前回までの記事はこちらから。
1「色々な石」コーナー
2「透明な石」コーナー
3「白色の石」コーナー
4「黒色の石」コーナー
5「青色の石」コーナー

6「黄色い石」コーナーの展示の様子です。黄色い石は他の色に比べると種類が少ないです。

「黄色い石」コーナー

はっきりとした黄色を示す鉱物の一つが硫黄(いおう)です。火山の噴気孔の周囲に形成されることが多いです。

硫黄

黄水晶(きすいしょう)やトパーズは淡い黄色です。黄水晶はシトリンとも呼ばれています。

黄水晶

トパーズ

紫水晶(むらさきすいしょう)を灰の中で加熱すると、黄色〜オレンジ色になります。

紫水晶を熱処理した黄水晶

ザクロ石は多くのものは赤色をしていますが、カルシウムを主成分として含むものは黄色やオレンジになることがあります。

1mmにも満たない小さなザクロ石からできている岩石です。

次回は、7「赤色の石」コーナーを紹介します。

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「写真で見る相模原~昭和・平成の生活と民俗~」(No49・資料の収蔵)

前回、三月節供に嫁の実家から贈られるオクリビナについて、博物館が保管している資料の写真を紹介しましたが、博物館には市民の皆様から御寄贈いただいた膨大な数の資料を収蔵しています。

次の写真は、博物館三階にある「生活資料収蔵庫」で、主に民具や生活資料を保管しています。このほかにも、例えば土器や石器、あるいは古文書や記録類など、資料の素材別に収蔵庫があり、温度や湿度の調整など注意を払いつつ、将来に引き継ぐために大切に保存されています。また、博物館が開館して25年が過ぎ、それぞれの収蔵庫は満杯に近い状況になっています。

 

 

 

 

 

 

 

 

もちろん資料は保管するだけではなく、さまざまに活用されています。写真は平成14年(2002)度に実施した収蔵品展「講中の共有道具」のPR用ポスターのために撮影したものです。博物館は、展示や教育普及活動、調査や研究等、こうした多くの資料に支えられて活動しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

以下の写真は、地域の共有で保管していた食器類などの講中道具が市(まだ博物館の開館前)に寄贈されることになり、その際に撮影されたものです(昭和58年(1983)3月4日・中央区上溝番田地区)。

道具類は椀小屋・講中倉などと呼ばれる小屋にあり、その中にさまざまな道具が整理されて置かれていました。ちなみに二枚目の写真で紹介したポスターに写っているものも、この地区の講中道具の一部です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

資料の寄贈に際しては、毎回、必ず寄贈者の方と内容等を確認しますが、この時も地域の皆様が集まって何があるか調べていきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

そうするとちょっと変わったものが発見されることもあり、これは明治19年(1886)の年号がある幕です。葬式があった際には庭などに祭壇を作り、周囲にこの幕を張ったと言います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後の写真は、葬式の後の念仏を唱える時に使った数珠(じゅず)を持っています。このように、多くの人が集まって念仏を行ったということを教えていただくとともに、講中道具を寄贈するに際しての記念撮影ともなりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

今回紹介したような博物館での活動に関する写真もいろいろ撮影しており、これらも機会を捉えて紹介したいと思います。

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シリーズ「相模原ふるさといろはかるた」で見る名所紹介㉛ け

憲政の父咢堂 津久井の 又野に生誕し

(けんせいのちちがくどう つくいの またのにせいたんし)

読み札の「咢堂」とは明治から昭和に活躍した政治家である尾崎行雄のことで、咢堂は文筆活動を行う際の雅号(がごう)です。

尾崎行雄は1858(安政5)年に現在の緑区又野に生まれました。1874(明治7)年、福沢諭吉の慶應義塾に入塾し、その後、新聞社や欧米で議会政治について学びます。

1880(明治23)年の第一回衆議院議員総選挙では当選し、以後63年にわたり25回連続当選を果たします。これは世界記録となっています。1903(明治36)年には第3代の東京市長となり、下水工事、街路樹栽培など数多くの政策に尽力しました。1912(明治45)年には東京市長を辞任し、犬養毅と憲政擁護運動を行い、1914(大正3)年には大隈内閣の下で司法大臣を務めました。尾崎は生涯の中で政党政治の実現にむけ大変な努力をし、また普通選挙や不戦(2つのフセン)を唱えました。

東京市長時代の尾崎

アメリカのワシントンにあるポトマック湖畔の桜は、1912(明治45)年に尾崎が日米友好の証として贈ったものです。これは当時のアメリカ大統領夫人がワシントンに日本の桜を植えたいと希望したことを、当時の東京市長であった尾崎行雄が知り、荒川堤の桜の苗木を送りました。

近年においても桜の活動が見られ、2019年3月には地元の有志団体である「尾崎行雄を全国に発信する会」がこの桜の孫の代にあたる苗木をアメリカへ送っています。

現在、生誕地の又野には絵札にも描かれている尾崎咢堂記念館があります。(https://sagamiharacitymuseum.jp/ozakigakudoukinenkan/)

尾崎咢堂記念館 外観

館内には尾崎の生涯と数々の業績を記した資料が展示されています。「議会政治の父」、あるいは「憲政の神様」と国民に慕われた尾崎行雄。郷土の偉人としてその足跡を辿ってみてはいかがでしょうか。

・このかるたは、当館のボランティア市民学芸員が2017年に制作したものです。
・このかるたは、博物館にて貸出し可能です(現在は当面の間、貸出しを休止しております)。
・尾崎咢堂記念館は現在、休館中です。開館予定は相模原市立博物館ホームページにてお知らせいたします。
・貸出しの詳細やその他このかるたに関心のある方は、博物館までお問い合わせください。(042-750-8030)
・貸出し使用時には感染症予防のため、事前・事後の手洗い・消毒などを必ず行ってください。

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色々な石展⑤ 「青色の石」コーナー

閉会した開館25周年企画「色々な石展」について、今回は、5「青色の石」コーナーを紹介します。

前回までの記事はこちらから。
1「色々な石」コーナー
2「透明な石」コーナー
3「白色の石」コーナー
4「黒色の石」コーナー

5「青色の石」コーナーの展示の様子です。

「青色の石」コーナー

「青色の石」コーナー

紫水晶(むらさきすいしょう)はアメシストとも呼ばれています。最近では「アメスト」と呼ばれることが多いですが、正しくは「アメスト」です。

紫水晶

アクアマリンは宝石名で、鉱物名は緑柱石(りょくちゅうせき)です。水色のものをアクアマリン、緑色のものをエメラルドと呼んでいます。青色のオパールはオーストラリアで多く産出します。

緑柱石(アクアマリン)(左)とオパール(右)

サファイアは宝石名で、鉱物名はコランダムです。赤色のものをルビー、それ以外の色のものをサファイアと呼んでいます。

コランダム(サファイア)

青色片岩(せいしょくへんがん)は光が通るくらい薄くすると、青色に見えます。青色の原因は藍閃石(らんせんせき)などの青色をした角閃石(かくせんせき)のなかまが多く含まれているためです。

青色片岩

青色片岩の顕微鏡写真

博物館でつくった硫酸銅(りゅうさんどう)の結晶です。結晶を作るのには時間と手間がかかるので、“結晶を育成する”とも言います。

博物館で育成した硫酸銅の結晶

次回は、6「黄色い石」コーナーを紹介します。

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ムカデの足の数

林に転がっている丸太を、よっこらしょと動かすと、よく見かけるのがこの生き物。

倒木などの下に潜んでいるムカデ。素早く動いてすぐに隠れてしまいます。

ムカデです。漢字で書くと「百足」。ヤスデ等とともに「多足類」に分類されています。
あまりじっくり見る機会はないかもしれませんが、本当のところ足は何本あるのでしょうか?

トビズムカデ

これはトビズムカデ(とび色+頭=トビズという名前です)。以前、博物館の入り口前を散歩しているところを捕獲したものです。いかにも「ムカデ」といった風貌しています。
足の数を数えると、一番後ろの尻尾のようなものを含めて21対。つまり21×2=42本。意外に少ないですね。

イッスンムカデ

こちらは博物館周辺で最もよく見られるイッスンムカデ。
15対(30本)と、更に少ない。

実は、ムカデの仲間は種類によって足の数が異なっています(幼虫は少ないという事もあります)。

ジムカデの仲間

一番足の数が多い種類。ジムカデの仲間です。
ちょっと多いので一瞬ためらいましたが、数えました。
41対(82本)。

やっぱり100本には届かないようです。
というわけで、数えてみた結果、
「ムカデの足の数は数十本」
という事が確認できました。

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啓蟄 アズマヒキガエルも産卵

3月5日は二十四節季の啓蟄(けいちつ)です。「冬籠(ごも)りの虫が這(は)い出る」という意味で、動物たちの動きが活発化する季節です。
市内中央区の公園でも、アズマヒキガエルのひも状の卵がありました。状態から見て、数日前に産卵したものと思われます。

アズマヒキガエルの卵(3月6日、中央区で撮影)

ただ、この場所の産卵量からするとまだ少なく、ピークはこれからと思われます。アズマヒキガエルは1週間ほどの短い繁殖期間にオスとメスが集まって産卵します。オスはメスをめぐって鳴きながらとっくみあいます。この様子を“カエル合戦”と呼び、昔から季節の風物とされてきました。下の写真は同じ場所の3年前のカエル合戦の様子です。

20匹以上のアズマヒキガエルが集まっていました(2018年撮影)

暗闇の中、オスは他の個体が近づくと、背中から抱きつきます(抱接=ほうせつ)。間違えてオスに抱接してしまうこともありますが、抱きつかれたオスは「ククク」と鳴いて「オスだよっ!」と合図します。すると抱きついた方はパッと放します。この鳴き声をリリース・コールと言います。運よくメスと抱接できても、他のオスが後からちょっかいを出してきます。そうすると後ろ足キックで対抗したりします。

メスを待つオスたち

時に1匹のメスにたくさんのオスが抱きついて身動きが取れなくなり、“カエル玉”になってしまうこともあります。

カエル玉の状態 メスは苦しくてもがきますが、オスは離れません

こうなると、中のメスは締め付けられたまま水中に沈み、時には窒息死してしまうこともあります。
早春の夜の闇の中、アズマヒキガエルの戦いはもう少し続きそうです。

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絶滅危惧植物も春着々

博物館の敷地内で、市内に自生する絶滅危惧植物の系統保存のための栽培を行っています。植木鉢やプランターで育てているだけのものですが、そんな植物も春のスイッチが入ってきています。
こちらはオキナグサ(キンポウゲ科)です。

オキナグサのつぼみ

種名の翁(おきな)草とは、この白い毛が密生する様子から名づけられました。つぼみがこれだけ大きくなっているので、今月中に咲きそうです。
こちらはカワラノギク(キク科)です。少し立ち上がったロゼット葉(越冬葉)が特徴です。

カワラノギクのロゼット葉

昨年秋からすでにこの状態でしたが、少しずつ葉が伸びて色合いも濃くなってきました。
ツメレンゲ(ベンケイソウ科)のロゼット葉です。放射状にまとまった肉厚の葉が冬の終わりころから少しずつ大きくなり、まるでバラの花のように見えます。

ツメレンゲのロゼット葉

夏頃、中央から花芽が立ち上がり、秋の終わりころに花が咲きます。
カザグルマ(キンポウゲ科)は、新芽を伸ばしています。ゴールデンウィーク頃には花が咲くでしょう。

カザグルマの新芽

どんな花が咲くのか、それはまた花が咲いたときにこのブログで紹介します。

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